小論文は、ただの過去問ではありません。
そこには、いまの社会をどう見るか、どんな前提を疑うか、どの立場から問題を考えるかが詰まっています。
今回取り上げるのは、2023年度 富山大学 人文学部の小論文です。
テーマは「SNS時代の民主主義」。
SNSで目にする意見は、本当に社会全体の声なのでしょうか。
一部の強い意見が炎上し、それをマスメディアが取り上げ、さらにSNSで拡散される。そうした循環の中でつくられる「ネット世論」と、民主主義のあり方について考える問題です。
GV小論文ジャーナルでは、過去問の解答例を通して、社会の見方・考え方を読んでいきます。
2023年度 富山大学/人文学部
次の文章を読んで、以下の問いに答えなさい。
出典は山口真一「SNS時代の民主主義 世論は誰が作るのか?」。
筆者は、ネット世論は誰が作ると考えていますか。200字以内で要約しなさい。
SNSが普及した現代、誰もが自由に発信できるようになる一方、誰の制止も受けず強い想いを発信することも可能になったため、社会の意見分布の中ではごく一部の少数者が極端な意見を繰り返し発信し炎上する。その炎上した意見をテレビを中心としたマスメディアが取り上げて厳しく追及し人々の批判をあおることで広範囲に拡散し、それを少数者がSNSで投稿、再びマスメディアが取り上げるという両者の共振と相乗効果で作られる。(200字)
筆者の考えに対するあなた自身の考えを、800字以内で述べなさい。
民主主義では、国民に選ばれた政治家は人々の意見に耳を傾けて政治をし、人々は他の人の意見も参考にしながら投票行動を決めるので、世論というものは極めて重要である。マスメディアと、マスメディアに取り上げられる一部の極端な声によって作られるネット世論は世論とは言えない。政府・政治家も、メディアも、企業も、人々自身も、ネット世論について正しい認識を持ち、適切に参考にすることが、SNS時代の民主主義を育む上で欠かせない、と筆者は主張する。こうした筆者の考えに基本的に賛同した上で、ネット世論を取り巻く状況がより複雑で深刻さを増していること、そうしたネット世論に対してどういう態度や取り組みが求められるかについて、以下考察を深めていきたい。
まず筆者は政府・政治家にもネット世論について正しい認識を持つことを求めるが、国内外の現状において政治のポピュリズム化が進み、一部の政治家はむしろネット世論の有効性を「正しく」認識し、その形成に積極的に関与することで自己に有利な政治的状況を作ろうとしている。そこでは、より多くの人の意見を包摂する政策を掲げるのではなく、分断をあおり「敵」を攻撃することで自らへの支持を強固にする傾向が顕著になる。それにフィルターバブルやエコーチェンバーといったネット特有の性格が加わり分断に輪をかけるのだ。ネット世論を正常化していくためには、教育を通したリテラシーの向上、若年層のSNSへのアクセス制限、政治家によるネットを利用した悪質な世論操作に対する罰則の強化が検討される必要があるだろう。
ただ、より根本的で重要なのは、地域の政治家、企業、アクティビストを中心に地域コミュニティを活性化し、住民のそれへの参加を促すことではないか。顔の見える範囲で人々が意見を交換し、知性と他者への想像力を涵養することが、ネット世論に対抗し民主主義を再建する上で不可欠なのである。(800字)

小論文を「なんとなく苦手」で
終わらせない。
小論文は、ただ「書き方」を覚えるだけでは伸びません。
問いを読み取り、背景を理解し、自分の考えを言葉にする力が必要です。
GVでは、推薦・総合型選抜対策、小論文対策、志望理由書対策まで、
一人ひとりの志望校やテーマに合わせてサポートしています。
- 小論文を何から始めればいいか分からない
- 志望理由書の内容が浅いと言われた
- 推薦・総合型選抜に向けて、考える力と言葉にする力を鍛えたい
- 社会問題について、自分の意見を持てるようになりたい
小論文を「なんとなく苦手」で終わらせたくない人は、ぜひ一度ご相談ください。







コメントする
You must be logged in to post a comment.