今年もセンターが終わり、いよいよ本格的な2次対策に移ります。

国語で差をつけたいと思っている生徒は可能な限り個別で引き受けますので、ご連絡下さい。

私、大岩は、論述の日本史・世界史・地理・倫政も担当しますので、こちらも興味ある方はお問い合わせくださいね。

 

以下は、再録になります。
【GV現代文記述講義】
今日は東京大学の昨年(2016年)の国語第一問の設問(二)(三)を題材(出典は内田樹「反知性主義者たちの肖像」)に、GVでの講義を少しここで再現しようと思います。
現代文の問題は、特に記述の場合、やっても大して伸びないし、他の教科に時間を回そうと考えている人が多いと思います。しかし、そう考えるのは解答の必然性を見極める訓練をしていないからだと思います。解答の必然性が見えれば、質の高い解答が再現可能になります。つまり努力が十分に報われます。
では、解答の必然性はどこに求められるのか?それは「設問」にあります。「設問」には「出題者のメッセージ」が込められていて、僕らはそれを正しくキャッチしなければならない。問われていることに答えるのだから当たり前ですね。しかし多くの場合、「設問の分析」が非常に甘いのです。もちろん現代文の実力のベースは論理的な「読解力」と「表現力」にあることは言うまでもありませんが、ここではそれを前提として、設問を分析して答えを導く所に解説を集中します。
下に本文の該当箇所を示してありますので、是非、読んでもらってから、解答を考えてみてください。

 

設問(二)
「この人はあらゆることについて正解をすでに知っている」(傍線部イ)とはどういうことか、説明せよ。(60字程度)
「どういうことか」という問いかけは「内容説明問題」に分類します。基本的な姿勢は、「要素に分けて、本文の言葉を利用して、言い換え」です。
そこで「この人は(a)」と「あらゆることについて正解をすでに知っている(b)」の2つに分けます。「この人」の指示内容は、一般化して「反知性主義者(x)」で良いでしょう。場合によっては、xを具体的に説明する必要もありますが、ここでは助詞の「は」に注目します。「は」は「対比」を含意する場合があります。ここでもxに対して「反知性主義者でない人(y)」が想定されています。
次にb要素ですが、ここには一見言い換えが必要な言葉はないように見えます。でも「何か」引っ掛かりませんか?「正解をすでに知っている」って学校の先生とかカンニングとか「特殊」な場合を除いて、「普通」おかしくないか?
一般に、書き手は読み手に対して「一定の了解(自明性)」があることを前提として文を書きます(小説の場合はより顕著ですね)。僕らは、全うな読者としてそれに「気づか」ないといけないんです。
「正解をすでに知っている(x)」はおかしい。通常は「すでに知っていない=何かの後で知る(y)」ものなんですね。ならば解答の方向性は「反知性主義者は、yではなくxだ」みたいになりますね。
それでyとxを「本文の言葉を利用して」言い換えるんですが、yについては傍線のある④段落だけではピンときませんね。そこで視野を広げて⑥段落以降を参考にするのですが、ここにも必然性があります。⑥段落以降には、筆者の考える「知性的なあり方」つまり「反知性主義者でないあり方(y)」が示されているからです。
それでyとして僕は、特に⑧段落の二文目「人間は集団として情報を採り入れ~合意形成を行う」に着目しました。それとの対比でxは、④段落から、特に三文目「~手持ちの合切袋から、自説を基礎づけるデータ~取り出すことができる」に着目しました。

<GV解答例>
反知性主義者は、現実の事象に対応して他者と解決を探るのではなく、既得の知識を真理とみなし、全ての事象に適用しようとすること。(62字)

<参考 S台解答例>
反知性主義者は自己の信ずる真理性を絶対的なものと思い込み、他者の判断を考慮する余地を全く持たないということ。(54字)

<参考 K塾解答例>
自説を根拠づける豊富な知識を盾にして他人に一方的に語る人は、自らの思考枠がすべてに妥当する絶対性を備えていると思い込んでいること。(65字)

 

設問(三)
「『あなたは生きている理由がない』と言われているに等しい」(傍線部ウ)とはどういうことか、説明せよ。(60字程度)
「どういうことか」なので内容説明タイプで、基本方針は「要素に分けて、本文の言葉を利用して、言い換え」です。
それで傍線部を見ると主部が欠如しているので、それを補うと「『あなたが何を考えようと、何を判断しようと、それは理非の判定に関与しない』ということは(a)/『あなたは生きている理由がない』(b)/と言われているに等しい(c)」となります。aは個別具体的な記述なので一般化する必要があります。④段落の反知性主義者のあり方(x)を参考に、aを「自らを絶対化し他者性を無視する反知性主義者の言動」ぐらいに一般化すると良いでしょう。
そして、この設問の一番の肝はb要素の中の「生きている理由」をどう分かりやすく言い換えるかです。これについて直接的な記述はありません(つまり自明とされている)。しかし「生きている理由」を奪う反知性主義者が「他者性を無視する」(x)なら、逆に「生きている理由」を「自他の関与」(y)の方向でまとめれば良いと思います。(人は、人と人の間に生きる「人間」だもの。笑)
加えて「生きている理由」は、例えば「靴下を左足からはく理由」とか「水曜の夜はカレーを食べる理由」とか何でもいいけれども、より根本的な次元にあります。ここも解答に表現したいところです。c要素については、そのままでも構いませんが、書いておかないと減点です。

 

<GV解答例>
自らを絶対化し他者性を無視する反知性主義者の言動は、自他が影響を及ぼしながら生きる人間の根源的あり方を否定するに等しいということ。(65字)

<参考 S台解答例>
自己を絶対化して他者の判断を無化する反知性主義者の言動は、人々の生きる力を否定して衰弱させる機能をもつということ。(57字)

<参考 K塾解答例>
自分の思考が相手に無視されることは、他者と応答し合いながら知を生成していくという人間の生のあり方が否定されるのと同じだということ。(65字)

 

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