【2017共通テスト試行調査/国語第1問(記述式)/解説】

前回の2018年大学入学共通テスト試行調査、国語第1問に引き続き、今回は前年の試行調査から同じく国語第1問を解説します。

2018試行調査/国語第1問↓↓
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=955183668005987&id=156247554566273

2017試行調査/大学入試センターによる解答等
https://www.dnc.ac.jp/daigakunyugakuki…/pre-test_h29_01.html

 

〈大問構成〉

はじめに「青原高校」の「生徒会部活動規約」が提示されている。続いて、同校生徒会部活動委員会の執行部会で、生徒会部活動委員会に提出する議題について検討している様子が【会話文】としてあげられ、その時使用された【資料①】~【資料③】が与えられている。
傍線部と空欄ア、空欄イが【会話文】に設けられ、それぞれ問1、問2、問3に対応する。うち問1、問2は「規約」を参照し、問3は【資料①】~【資料②】を参照する。
解答手順としては、はじめに【会話文】を通読して概要をつかみ、各設問を検討する過程で、適宜「規約」【資料】の該当箇所を参照するのが妥当だろう。「規約」や【資料③】の新聞記事など、全情報を漠然と読み通すのではなく、必要な情報を設問条件から割り出して、狙いを定めて吟味することが肝要である。

 

〈設問解説〉
問1 傍線部「当該年度に部を新設するために必要な、申請時の条件と手続き」 とあるが、森さんが新聞に載せるべき条件と手続きはどのようなことか。50字以内で書け(句読点を含む)。

 

設問条件から即、「規約」のうち、第3章(部の新設・休部・廃部)、第12条と第13条のみに照準をしぼらねばならない。第14条「部の新設には、生徒会総会において出席者の過半数の賛成を必要とする」は、「申請時の手続き」という条件からもれるので除外する。この二条項をつなげて解答を作成すると、「同好会として3年以上活動していることを条件とし、当該年度の4月第2週までに所定の様式に必要事項を記入し、生徒会部活動委員会に提出すること。」(69字)となり、制限字数を大きくオーバーする。ここから、「要を得て簡潔」な解答に仕上げる技能が求められるのだ。できるだけ本文の言葉を残したまま言い換えてみよう。

まず前半部を、「同好会として3年以上活動した上で」とする。特に「条件/前提」は、「Aの上でB」と表現できればよい。後半部について、「当該年度」は新聞を見る立場からすると自明なので省く。「所定の様式に必要事項を記入し~提出する」はくどいので、表現を工夫し「所定の様式に則り~申請する」とした。

 

<GV解答例>
同好会として3年以上活動した上で、4月第2週までに所定の様式に則り生徒会部活動委員会に申請すること。(50)

 

問2 空欄アに当てはまる言葉を、要望の内容が具体的に分かるように、25字以内で書け(句読点を含む)。

 

空欄補充問題。【会話文】での前後のつながりが空欄を埋める前提となる。該当箇所は、「(兼部規定の)見直しの内容は、あくまで双方の顧問の許可があることを前提とした上での、条件の緩和です。これまで認められてこなかった、「 ア 」という要望です」とある。ここから、兼部規定について「双方の顧問の許可」は前提とした上で、その他で「これまで認められてこなかった」条件が何かを導けばよいことが分かる。
そこで「規約」を参照すると、第二章の第8条に兼部規定が定められていることが分かる。それによると、兼部は原則禁止だが、「ただし、体育部と文化部との兼部については、双方の顧問の許可が得られれば可能とする」とある。ここから、これまで認められてこなかったのは、「体育部と文化部との兼部」以外の兼部、すなわち「体育部間での兼部、および文化部間での兼部」ということになる。「および」(並列)の代わりに「並びに」は可能だが、「または」には「選択」のニュアンスがあるので避けたい。あとは字数制限上、「体育部間、および文化部間での兼部」(A)とし、空欄後の「という要望」につながるように、「Aを(も)可能にしてほしい」とする。

 

<GV解答例>
体育部間、および文化部間での兼部も可能にしてほしい(25)

 

問3 空欄イについて、ここで森さんは何と述べたと考えられるか。次の(1)~(4)を満たすように書け。
(1) 二文構成/80~120字以内(句読点を含む)。会話体にしなくてよい。
(2) 一文目/「確かに」ではじめ、具体的な根拠を二点挙げて、部活動の終了時間を延長することに対する基本的な立場を示す。
(3) 二文目/「しかし」ではじめ、延長についての提案がどのように判断される可能性があるか、具体的な根拠と併せて示す。
(4) 根拠は【資料①】~【資料③】による。

 

空欄補充問題。空欄の前後は以下の通り。「(部活動の終了時間の延長の)提案の方向性はいいと思う(A)のですが、課題もあると思います(B)。「 イ 」→なるほど、そう判断される可能性がありますね」。解答は、条件(2)(3)より「確かにC。しかしD。」という、「譲歩ー逆説構文」で構成することになる。CはAと対応し、これが「延長」に対する基本的立場(←(2))となる。つまり、「確かに~E~延長するという方向性はいいと思う(→延長は妥当と言える)」となる。さらに、(2)より「妥当と言える」根拠を二点挙げる必要があるが、これについては【資料①】より「延長の要望が多い(E1)」、【資料②】より「市内の高校の多数も延長を認めている(E2)」を抽出する。この(E1+E2)に「ので(から)」をつけてEに代入する。
DはBと対応する。そこで(3)より、課題の内容を具体的な根拠と併せて示した上で、「延長」がどのように判断される可能性があるか、をまとめねばならない。これについては【資料③】の新聞記事から、下段の文章の結論部分(「しかし、部活動の終了時間の延長の実現には課題もある」以下)に着目する。つまり、「本校の通学路の道幅が狭い(F1)/(また)/交通量のピークが午後六時前後(=延長した場合の下校時間(←②))となる(F2)」ので(根拠)、「安全確保に問題が生じ(G)」る(課題)。よって、「反対される可能性がある(H)」。以上より、二文目は「しかし/(E1+E2)ため/G/H」とまとめられる。

 

<GV解答例>
確かに、部活動の終了時間の延長への要望は多く、市内の高校の多数も延長を認めていることから、延長は妥当と言える。しかし、本校の通学路は道幅が狭い上、延長を認めると交通量のピークと下校時間が重なるため、安全確保に問題が生じ、反対の声も予想される。(120)

 

沖縄県那覇市の大学受験予備校グレイトヴォヤージュ