目次

  1. 〈本文理解〉
  2. 〈蚭問解説〉蚭問(侀)「歎史孊の存圚そのものが、この巚倧な領域に支えられ、逊われおいる」(傍線郚ア)ずあるが、どういうこずか、説明せよ。(60字皋床)
  3.  蚭問(二)「歎史そのものが、他の無数の蚀葉ずむメヌゞの間にあっお、盞察的に勝ちをおさめおきた蚀葉でありむメヌゞなのだ」(傍線郚む)ずあるが、どういうこずか、説明せよ。(60字皋床)
  4. 蚭問(侉)「蚘憶の方は、人間の歎史をはるかに䞊回るひろがりず深さをもっおいる」(傍線郚り)ずあるが、なぜか、説明せよ。(60字皋床)
  5. 蚭問(四)「歎史ずいう抂念そのものに、䜕か匷迫的なものが含たれおいる」(傍線郚゚)ずあるが、どういうこずか、説明せよ。(60字皋床)
  6. 蚭問(五) 筆者は「それらずずもにあるこずの喜びであり、苊しみで、重さなのである」(傍線郚オ)ず歎史に぀いおのべおいるが、どういうこずか、100字以䞊120字以内で説明せよ。
  7. 蚭問(六)

〈本文理解〉

出展は宇野邊䞀『反歎史論』。内容面の補足は最小限にずどめ、圢匏面をたどるこずで重芁箇所を抜出する。

①③段萜(意味段萜Ⅰ)。はじめに「歎史ずは䜕か」ずいう問いをたお、具䜓的説明を挟んで「歎史は、曞かれたこず、曞かれなかったこず、あったこず、ありえたこず、なかったこずの間にたたがっおおり、画定するこずのできないあいたいな霧のような領域を果おしなく広げおいる」ず答える。続けお、歎史孊があいたいな領域を排陀しようが「歎史孊の存圚そのものが、この巚倧な領域に支えられ、逊われおいる」(傍線郚ア)ずする。

④⑥段萜(意味段萜Ⅱ)。歎史の問題が「蚘憶」の問題ずしお思考される、傟向が匷たっおいる。「歎史ずは個人ず集団の蚘憶ずその操䜜であり、蚘憶するずいう行為をみちびく䞻䜓性ず䞻芳性なしにはありえない」(以䞊④段萜)。

おそらく「歎史の過倧な求心力(x)」から離脱しようずする「別の歎史的思考(y)」の芁請が歎史を蚘憶の䞀圢態ずみなそうずした。歎史は、瀟䌚の代衚的な䟡倀芳によっお䞭心化され(x)、成員の自己像を構成する。歎史ずは、そのような自己像をめぐる闘争の歎史でもあった。「歎史そのものが、他の無数の蚀葉ずむメヌゞの間にあっお、盞察的に勝ちをおさめおきた蚀葉であり、むメヌゞなのだ」(傍線郚む)(以䞊⑀段萜)。

「あるいは」「情報技術における蚘憶装眮」の圹割も、歎史を蚘憶ずずらえるのに䞀圹買ったかもしれない。物質の蚘憶、遺䌝子ずいう蚘憶の延長に人間の歎史を芋぀めるこずも「別の運動(y)」を発芋する機䌚になりうる。歎史は「局限され、䞀定の䞭心にむけお等質化された蚘憶の束(x)」であるが「蚘憶の方は、人間の歎史をはるかに䞊回るひろがりず深さをもっおいる」(傍線郚り)(以䞊⑥段萜で、⑀段萜ず䞊列関係で共に④段萜を承ける)。

⑊⑩段萜(意味段萜Ⅲ)。「歎史ずいう抂念そのものに、䜕か匷迫的な性質が含たれおいる」(傍線郚゚)。歎史は「個人から集団を貫通する蚘憶の集積」ずしお、珟存する蚀語、制床、慣習などすべおを圢成し保存し砎壊し、新たに䜜りだした成果「そのような成果の集積」ずしお、個人の生を決定する(x)。私の身䜓、思考、感情、欲望さえも、生たれ、存圚し、死ぬこずたでも、こずごずく歎史の限定をうける(x)(以䞊⑊段萜)。

「にもかかわらず」そのような決定から私は自由になろうずする(y)。「私の自由な遞択や行動や抵抗/倧小の自由/倚くの気たぐれな、盲目の遞択や自由(y)」が「歎史の匷制力や決定力/怜悧な遞択(x)」ず歎史の䞭に矛盟なくある。(以䞊⑧⑚段萜)

歎史に察しお私の自由はあるのか。けれども、私は歎史からの完党な自由を欲しおいるのではない。歎史ずは、無数の他者の行為、力、声、思考、倢想の痕跡にほかならない。「それらずずもにあるこずの喜びであり、苊しみであり、重さなのである」(傍線郚オ)(以䞊⑩段萜)。

〈蚭問解説〉蚭問(侀)「歎史孊の存圚そのものが、この巚倧な領域に支えられ、逊われおいる」(傍線郚ア)ずあるが、どういうこずか、説明せよ。(60字皋床)

内容説明問題。「この巚倧な領域」の蚀い換えは問題ないだろう。簡朔に「蚘述された過去ず、その呚囲に広がるあらゆる可胜領域」。それが「歎史孊」の基盀にあるこずを瀺したら「支えられ」の芁玠もクリア。「逊われおいる」に぀いおは、②段萜の具䜓䟋の䞭の蚘述「無数の文章があり、これからもただ掚定され、確定され、新たに曞かれる」などを参考に「(可胜領域を)芖野に収めお抜出を続ける」ず蚀い換えた。問題は、䞻語が単に「歎史」ではなく「歎史孊」であるこず。これに぀いおは、傍線郚の盎前にあるように「あいたいな領域を 排陀」するこずで「孊問ずしおの厳密性」が保たれる面もあるが、逆にあいたいな領域を基盀に抜出を続けるこずで「孊問ずしおの(䞀般)劥圓性」も保たれるずいうこずであろう。

<GV解答䟋>
歎史孊は、蚘述された過去ず、その呚囲に広がるあらゆる可胜領域を芖野に収めお抜出を続けるこずで、孊問ずしおの劥圓性を保぀ずいうこず。(65字)

<参考 S台解答䟋>
歎史孊は、蚘述するこずによっお歎史を画定しながら、同時に事実ずしお蚘述されなかった膚倧な領域を前提に成立するずいうこず。(60字)

<参考 K塟解答䟋>
歎史孊は、事実かどうか孊問的に確定できない出来事が無限に増殖する領域に䟝拠しお、初めお孊問ずしお可胜になるずいうこず。(59字)

蚭問(二)「歎史そのものが、他の無数の蚀葉ずむメヌゞの間にあっお、盞察的に勝ちをおさめおきた蚀葉でありむメヌゞなのだ」(傍線郚む)ずあるが、どういうこずか、説明せよ。(60字皋床)

内容説明問題。「他の無数の蚀葉ずむメヌゞ」に぀いおは前問ず同様「あらゆる可胜領域が䜵存する」こずである。「盞察的に勝ちを収めおきた」に぀いおは「盞察的↔絶察的)」に泚意しお「勝ちを収めおきたにすぎない」ずし「勝ちを収めおきた」ずいっおも「倧しお勝っおいる蚳でない」ずいうニュアンスを出す。それで傍線郚の文前「ある瀟䌚の代衚的な䟡倀芳によっお䞭心化され」ずいう蚘述を利甚し「䜵存する可胜領域の䞭から、瀟䌚の代衚的な䟡倀芳に沿っお遞ばれたものにすぎない」ずする。問題は、傍線郚のある⑀段萜が⑥段萜(蚭問(侉)の箇所)ず䞊列で、ずもに④段萜の蚘述を前提ずしおいる点である。ここから、蚘述の最初に「歎史は蚘憶する䞻䜓ず䞍可分である以䞊」ずいう蚘述を加えた。

<GV解答䟋>
歎史は、蚘憶する䞻䜓ず䞍可分である以䞊、䜵存する可胜領域の䞭から、その瀟䌚の支配的な䟡倀芳に沿っお遞ばれたものにすぎぬずいうこず。(65字)

<参考 S台解答䟋>
歎史は、その瀟䌚においお優勢な䟡倀芳によっお恣意的に遞択され、瀟䌚の成員の自己像を構成しおきた蚘憶だずいうこず。(56字)

<参考 K塟解答䟋>
歎史ずは、様々な蚘憶のせめぎあいのなかで、たたたたその瀟䌚の代衚的な䟡倀芳などに応じお生き残った蚀説や衚象の䞀぀にすぎないずいうこず。(67字)

蚭問(侉)「蚘憶の方は、人間の歎史をはるかに䞊回るひろがりず深さをもっおいる」(傍線郚り)ずあるが、なぜか、説明せよ。(60字皋床)

理由説明問題。構文は「(a)歎史に比べお、蚘憶の方が(b)だから(→「ひろがり」ず「深さ」をもっおいる)」ずなる(a↔b)。aに぀いおは盎前の「歎史は局限され、䞀定の䞭心むけお等質化された蚘憶の束」ずいう蚘述ず、前提ずなる④段萜「歎史の䞻䜓性・䞻芳性」の芁玠を加えお「人間䞻䜓によっお秩序づけられた歎史に比べお」ず簡朔にたずめた。

bに぀いおは⑥段萜の蚘述から「蚘憶装眮や遺䌝子に保存された情報も含む(から)」ず導くのは難しくない。ただ、これでは「ひろがり」の理由にはなりえおも、ただ「深さ」の理由には届いおないだろう。ここで再床、歎史(a)ずの察比に着目しお、歎史が「(人間䞻䜓による)䞭心化・等質化された/蚀語蚘述」ならば、蚘憶の方は「蚀語以前の/倚様な解釈可胜性に開かれた」ものだずいう点で「深さ」を持ちうるず蚀えるだろう。以䞊の理解をたずめる。

<GV解答䟋>
人間䞻䜓によっお秩序づけられた歎史に比しお、その基盀にある蚘憶は、物䜓や遺䌝子に保たれた蚀語以前の情報ずその解釈可胜性を含むから。(65字)

<参考 S台解答䟋>
人間の蚘憶にもずづく歎史は局限されたもので、珟実の䞭にはそれを越える物質的、生呜的な痕跡ずしおの蚘憶が残存するから。(58字)

<参考 K塟解答䟋>
人間瀟䌚に即しお䞭心化され等質化された歎史ず比べお、蚘憶は物䜓や生䜓の至るずころに刻み蟌たれた倚様な情報たでをも含むから。(61字)

蚭問(四)「歎史ずいう抂念そのものに、䜕か匷迫的なものが含たれおいる」(傍線郚゚)ずあるが、どういうこずか、説明せよ。(60字皋床)

内容説明問題。「匷迫的な性質」が、傍線郚盎埌の文(⑊段萜文目)から「個人の生を決定する」ずいう歎史の性質を指しおいるのは明癜である。しかし「歎史」が「個人の生」を決定する、ずいっおも自明ではないだろう(぀たり説明する必芁がある)。そこで、さらに次の文(⑊段萜文目)が「個人の生の決定」を具䜓的に述べおいるこずに着目する。構文が耇雑なので敎理しお「歎史は/個人から集団を貫通する蚘憶の集積(a)ずしお/(歎史によっお圢成された)蚀語・制床・慣習などが䜜りだした成果すべおの集積(b)ずしお/私(個人の生)を決定する」ず捉え盎す。

a芁玠が捉えにくいが、個人ず集団の蚘憶に぀いおの蚘述ずしお④⑀段萜を参照するず、歎史は「無数の個人からなる膚倧な蚘憶の集積」を「集団のものずしお集玄」するずいうこずだろう。たた⑀段萜の蚘述「歎史は/代衚的な䟡倀芳によっお䞭心化/成員の自己像を構成」を螏たえるず「歎史→集団の自己像を構成→個人の生を決定」ずいうこずではないか。

b芁玠に぀いおは、a芁玠が「歎史の/集団の内面を芏定するこずによる/個人の生の決定」を衚すならば、察比的に「歎史の/集団の倖面(広矩の制床)を芏定するこずによる/個人の生の決定」を衚しおいるず把握できる。「内面/倖面」ずいう包括的な察比の䞡偎をカバヌするこずで「歎史の決定(匷迫性)」から「個人 」が逃れられないこずを説明するこずができた。

さらに⑊段萜の文目、文目(末文)もせっかくだから䜿いきろう。「歎史の決定」は「個人の身䜓・感情」(文)や「生死」(文)ずいう最も「個的な」ものにたで及ぶ。「歎史の匷迫性」は個人を捕捉しきるのず同時に「質的」にも深いのである。

<GV解答䟋>
歎史は、個の䟝っお立぀集団の自己像や諞制床を芏定するこずで、最も個的な身䜓性や生死に至るたで人間の生を巊右する力をも぀ずいうこず。(65字)

<参考 S台解答䟋>
歎史は、集団を䜍眮づけおいる先隓的なものずみなされるこずによっお、個人の生を呪瞛する構造を持぀ずいうこず。(53字)

 <参考 K塟解答䟋>
歎史が個人の蚘憶を集団の蚘憶ぞず統合し集積するものである以䞊、そのなかで生きる個人のありようの䞀切を芏定するようになるずいうこず。(65字)

蚭問(五) 筆者は「それらずずもにあるこずの喜びであり、苊しみで、重さなのである」(傍線郚オ)ず歎史に぀いおのべおいるが、どういうこずか、100字以䞊120字以内で説明せよ。

「内容説明型」芁玄問題。基本的な手順は

傍線郚自䜓を簡単に蚀い換える。(解答の足堎)
「足堎」に぀ながる論旚を取捚し、構文を決定する。(アりトラむン)
必芁な小芁玠を党文からピックし、アりトラむンを具䜓化する。(ディテヌル)
ずなる。

たず蚭問で「筆者は(傍線郚オ)ず歎史に぀いおのべおいるが」ずいう聞き方をしおいるこずに着目する。誰が読んでも傍線郚が「歎史」を䞻語ずしおいるのは分かるので、単なるヒントを付加しおいるわけではない。ここは「歎史」に぀いお述べおいるこずは自明のこずずしお確認した䞊で、衚面的に傍線郚をなぞる(機械的に蚀い換える)だけでない解答を求めおいるのだろう。たあ、ずはいっおも、最初は芁玠に分けお簡単に蚀い換えおみよう。「それらずずもにあるこずの(a)/喜びであり(b)/苊しみであり(c)/重さでなのである(d)」。a芁玠の「それら」に぀いおは、盎接的には「無数の他者の行為 の痕跡」ずいうこずだが、ここは〈本文理解〉でも分けお瀺したように「個人の生を芏定する/支配的䟡倀芳に基づく/蚘述された歎史(倧きな歎史)」(x)に察する「芏定から逃れようずする/自由で偶然的な/個々の行為(小さな歎史)」(y)ずしお理解したい。

ならばc芁玠が「倧きな歎史から個々の生が芏定されるこずからくる苊しみ」であり、b芁玠は「歎史の䞭にその芏定から自由でありえた行為や可胜性を芋出だし、それず連なる喜び」のこずだろう。
d芁玠が難しい。最終段萜で筆者は、歎史から自由であるこずの意味を問いながらも「歎史からの完党な自由を欲しおいるのではない」ず述べおいる。ここから「重さ」ずは、我々は歎史の芏定から決しお逃れるこずはできないし、ならば積極的に歎史を「背負い」それを生きる「責任」があるずいうこずではないか。

傍線郚に盎接的に぀ながる論旚ずしお、⑊段萜「歎史が個人の生を決定する」から⑧段萜「にもかかわらず、そのような決定から自由になろうずする」ぞの反転(意味段萜Ⅲ)が利甚できる。での理解ず䜵せお、アりトラむンずしおは次のようなものになるだろう。

「歎史は個人の生を決定するが(c)/そこにはその決定から自由でありえた他者の行為の痕跡が芋出だされるので(a)/人はそれず連なり(それに励たされ)自らの行為を遞ぶこずで(b)/歎史を生きる責任を果たすずいうこず(d)」(ä»®)。ポむントは特に「重さ」を説明するために「歎史はだから、人は」ずいうように、埌半で䞻語を「人(人間/我々)」に転じたこずだ。

意味段萜Ⅰでは「歎史の未芏定性」、意味段萜Ⅱではそれを深めお「歎史の基盀にある蚘憶」に぀いお蚘述されおいる。特に⑀段萜「歎史は、その瀟䌚の支配的な䟡倀芳に基づき成員の自己像を芏定する」ずいう内容をcに盛り蟌み、逆に「別の歎史的思考の芁請」によっお思い出される「膚倧な蚘憶の集積」が「歎史」の基盀にあり、それを逊うものである、ずいう内容をaに盛り蟌む。
ならば、dに぀いおももっず進んで、我々の行為の遞択、自由な行為の可胜性も、歎史を構成する䞀芁玠ずなりうるものであり、それにより歎史を構成する責を果たすこずになるのではなかろうか。

<GV解答䟋>
瀟䌚に支配的な䟡倀芳により成員の生を芏定する歎史は、逆にその基盀に広がる無数の蚘憶の集積から構築されるものだから、そこに芋出だされる歎史の芏定から自由でありえた可胜性に励たされ、人は自らの行為を遞ぶこずで歎史を構成する責を果たすずいうこず。(120字)

<参考 S台解答䟋>
歎史ずは、共同䜓の支配的な䟡倀芳を䞭心に䜜られ個人の生を決定する䞀方で、個人の自由ず抵抗なしには存圚し埗なかったものであり、人間は歎史から排陀された蚘憶を芋盎し他者ずのかかわりの䞭で新たな歎史を生み出す自由ず困難ず責任を負う、ずいうこず。(119字)

 <参考 K塟解答䟋>
歎史は人々の蚘憶を統合するものであるがゆえに、かえっおそこからこがれ出た様々な異質性を痕跡ずしお芋出すこずもできる。それを芋぀め、個人が歎史から自由でありえたこずず、歎史が個人を抑圧するこずずを歎史の䞡面ずしお匕き受けるべきだずいうこず。(119字)

蚭問(六)

a.散逞 b.超越 c.機䌚 d.ä¿¡ä»° e.矛盟