〈本文理解〉

出典は重松清の小説「鷹乃学習」

1️⃣ ホームは駅舎と繋がった一面だけだが、ずいぶん昔ーーいま70才になった父が子どもの頃には、向かい側にもう一面、貨物の引き込み線用のホームがあったらしい。電化も複線化もできずじまいで廃線になった路線でも、かつては急行列車が日に何便も走っていた。…父は、城下町の工業高校に通った。卒業後は、急行列車で大阪に出て、自動車メーカーに勤めたが、母と結婚すると早々に帰郷して、地方振興局の地元採用職員になった。私が城下町の普通科高校を卒業したときには、すでにこの路線に急行列車は走っていなかった。…上京したときも、高校時代と同じように城下町に出て、そこから一時間ほどかけて空港へ向かった。東京の私大に通い、東京で就職をして、結婚もして、子どもをつくり、そして、いま、家族をなくした。
 
ホームから線路をぼんやり見つめた。レールはまだ撤去されていなかったが、雑草に覆われ、錆でうっすらと赤茶けて、ああ、もう、ここを列車が走ることは永遠にないんだ、というのを実感する。私から少し離れて線路を覗き込んでいた翔太は、「東京って、どっち?」と訊いてきた。「あっちだ」「直接、東京まで行けるわけじゃないんだけど、まあ、大きく見れば、ここから右だ」。返事はなかった。
 
両親の離婚の話は、もう聞かせている。妻が懇々と説明した。パパとママはこれから別々に暮らし、パパとはめったに会えなくなるし、もしかしたら新しいパパができるかもしれないけど、いまのパパがあなたのお父さんだというのは、これからもずうっと変わらないんだから…。どこまで理解してどこまで受け容れたのかはわからない。翔太は黙ってうなずいたらしい。…
「そろそろ行くか、おじいちゃんもおばあちゃんも待ってるぞ」。声をかけると、翔太は遠くを見たまま、「ねえー」と言った。「おじいちゃんとおばあちゃんに、バイバイって言ったほうがいい?」「言わなくていい、そんなの」「でもー」「また会えるんだ。会いたくなったらいつでも会えるんだから、べつにお別れじゃないんだって、そうだろ、だからそんなこと言わなくていいし、言うなよ、おばあちゃん寂しがるから」。【早口になった】(傍線(ア))。行くぞ、ほら、行こう、と車に戻る私を、翔太は黙って追ってきた。
 
2️⃣ 夕食のテーブルには、母の心尽くしのご馳走が並んだ。田舎のばあちゃんだから料理が上手につくれない、と母は申し訳なさそうに謝ったが、翔太は、そんなことないよ美味しいよ、とたくさん食べて、お代わりもした。子どもなりに気を使っているのだろう。ビールの味が少し苦くなった。
両親も、このたびの帰省がどういう意味を持つのかわかっている。母はよくしゃべって、よく笑った。…父は、ときどき相槌を打つくらいで、おしゃべりに加わらなかった。孫と過ごす最後の一晩を、まるごと母に譲り渡したのだろう。仲の良い二人だ。…そんな二人の血を引き、夫婦でいたわりあう姿を間近に見てきた息子が、離婚をして、翔太と別れてしまうことになるのを、両親はどう思っているのか。…
母の携帯電話が鳴った。メールが着信したらしく、画面に目を落としたあと、鼻白んだ様子でため息をついた。結婚して城下町に住んでいる私の姉からだった。母は何日も前から、今夜顔を出さないかと姉を誘っていた。姉の子ども二人、翔太にとってはイトコとなる男の子と女の子も連れて来るように言ってあったらしい。だが、姉は「いまは忙しくて家を空けられないから」とメールで断ってきた。母はがっかりしていたが、じつを言うと私はすでに姉から「悪いけど、行かないからね」と告げられていたのだ。「会わないほうがいいよ」ーー翔太のために。「みんなで集まって、にぎやかに盛り上がって、思い出の一晩みたいになると、後々のことを考えるとよくないんじゃない?」。
私もそう思う。おじいちゃんとおばあちゃんとは、淡々とお別れをしたほうがいい。…もともとお盆と正月ぐらいしか帰省していなかったので、両親にも翔太にも微妙なよそよそしさがあった。結局それは解消できないままになってしまったが、【かえってそのほうがお互いによかったんだよ】(傍線(イ))、と自分を納得させた。
 
母のおしゃべりの話題は、この秋に城下町で開かれるお祭りのことになった。築城百何十周年かの節目を祝って、大名行列が再現されるのだという。戦国武将や忍者や日本刀が登場するゲームが大好きな翔太は目を輝かせて「行きたい!」と言いだした。「おばあちゃん、連れてって!」「うん、じゃあ、行こう行こう」。声をはずませて応えた母は、次の瞬間、父の目配せに気づいて、顔をこわばらせた。翔太も、あ、そうか、という表情になって、それきり黙ってしまった。母はぎこちなく「いま、なにかやってるかな」とひとりごちて、リモコンを手に取ってテレビを点けた。バラエティ番組の陽気な笑い声が、思いのほか大きなボリュームで流れてきた。父も母も耳が遠くなってきたせいだろうか。ビールがまた苦みを増してしまう。場の空気を変えたくて、ツバメの巣の話をした。駅以外で、どこか巣をつくっていそうな場所を尋ねると、母は総合病院と葬祭ホールの名前を出した。「いまはもう、それぐらいしか、にぎやかな場所はないから」。拗ねたように、ぼそっと言った。私はコップに残ったビールを空けた。気の抜けた生温さが、【そっくりそのまま苦みになってしまっていた】(傍線(ウ))。
 
3️⃣ 翌日、実家をひきあげた足で、母に言われた総合病院に回ってみた。ツバメの巣は、確かにあった。だが、やはり巣立ちは終わったのだろう、ヒナのいる気配はなく、しばらく待っても親鳥が姿を見せることもなかった。「どうする?これがツバメの巣なんだけど、空っぽになってるな、もう」。翔太がどうしてもヒナがいるのを見てみたいと言うなら、葬祭ホールにも寄ってみるつもりだったが、正直、気乗りはしない。…もっとも、翔太の反応は意外とあっさりしたものだった。「もういいよ。しょうがないよね。来るのが遅かったんだから」。かえって私のほうが、翔太の物わかりの良さに戸惑ってしまう。「来年、この巣を土台にして、また新しい巣をつくるんだよね」「ああ…」。来年の話が出たとき、ゆうべのことがよみがえって、ひやっとしたが、翔太は巣を見上げて、バイバーイ、と両手を振った。実家を発つときも、そうだった。玄関の外で見送ってくれた母は涙ぐんでいたし、父も寂しさを隠しきれない顔をしていた。そんな二人に、翔太はまるで明日も会えるかのような軽い口調と明るい笑顔で、「じゃあね、おじいちゃん、おばあちゃん、元気でね、バイバーイ」と両手を振って、車に向かって駆けだしたのだ。母の嗚咽は聞こえていただろうか。父は崩れ落ちそうな母の体を、肩を抱いて支え、もういい、早く行け、あとは心配しなくていいから、と私を手で追い払った。私はツバメのヒナほど上手に巣立ちはできていなかったのかもしれない。
 
4️⃣ 総合病院の駐車場を出るときに「いまからどうする?」と訊いた。…翔太は少し遠慮がちに言った。「あのね…昨日の駅、もう一回行っていい?」「いいけど?」「で、ホームから線路に降りてもいい?いいよね?もう電車走ってないから、だいじょうぶだよね?」。ドラマの主人公が線路を歩いている場面がカッコよかったーーいつかテレビで観たことがあるのを、昨日ホームにいるときに思いだしたのだという。「ぼくもやってみたいんだけど、いい?」思いも寄らないリクエストに最初は困惑したが、だめだと言う理由も見つからない。「よし、じゃあ行ってみるか」。おそらく、これが、親子としての最後の思い出になるだろう。
 
5️⃣ 昨日と今日、たった一日しかたっていないのに、駅舎を抜けてホームに出ると、陽射しが目盛り一つぶん強まったのを確かに感じた。…私はホームから線路に下りて、翔太を抱き取ってやろうとした。ところが、翔太は「だいじょうぶだよ、自分で下りるから」と手助けを断った。「けっこう高いぞ、無理すんなよ」「へーき、へーき、ぜんぜんオッケー」と言いながら、いざホームの端に立つと見るからに身がすくみ、膝を折り曲げてしまう。「足元も悪いし、ほら、パパが下ろしてやるって」と私は両手を掲げて、翔太を迎え入れる体勢をとった。「だいじょうぶ!できる!」翔太は甲高い声をあげるのと同時に、曲げた膝をバネにして、線路に飛び下りた、というより、落ちた。…私は思わず「手とか膝、擦りむいてないか?」と訊きそうになったが、体を起こした翔太は、ほら、できたでしょ、と言いたげに、私にニッと笑った。
 
走りだす。駅舎を背にして、右ーー東京の方角に向かって。何歩か進むと、また足元の砂利が崩れて、転びそうになる。つんのめって、四つん這いになって、また起き上がって走りだす。何度も転んだ。…それでも翔太は私を振り向かなかった。立ち止まることもなかった。前に、前に、遠くへ、遠くへ、走っては転び、起き上がっては走り、また転んでは起き上がって、走りつづけた。私はふと我に返り、翔太を追いかけてしばらく走ったが、途中でやめた。はずむ息を整えながら、【遠ざかる息子の背中を、じっと見つめた】(傍線(エ))。夏の陽射しが、線路に陽炎をのぼらせる。翔太の背中がゆらゆらと揺れる。
昔、ここには急行列車が走っていたのだ。
 
 

問一 (語句の意味)

〈GV解答例〉
(1)「鼻白んだ」→興ざめした
(2)「釘を刺した」→念を押した

 

問二「早口になった」(傍線の箇所(ア))とあるが、「私」はなぜそのような態度をとってしまったのか。30字以内で説明せよ。

理由説明問題(心情)。一般に「早口になる」のは緊張や不安などの無意識の機制が働くからである。よって意図したものでないように解答を構成する必要があるが、そこでの感情には幅があるので、状況を正しく把握するところから始めよう。
 
「私」は妻と離婚することになり、息子の翔太を連れて実家の両親(翔太にとっては祖父母)を訪ねる直前の場面である。翔太はこのあと母のところで暮らすことになっており、祖父母とは今後めったに会えないことになる。そのことを翔太は幼いながら理解しており、父である「私」に「おじいちゃんとおばあちゃんに、バイバイって言った方がいい?」と尋ねた。それを「私」が否定し言葉を重ねたとき、ついその口調が「早口になった」のである。つまり、翔太の発言は図星であり、「私」はそれを否定しながらも動揺が表れた、よって「早口になった」のである。
 
〈GV解答例〉
翔太の発言が図星であることを否定しながらも動揺が表れたから。(30)
 
〈参考 S台解答例〉
別れを思う息子の気遣いが悲しくて、慌ててかばおうとしたから。(30)
 
〈参考 K塾解答例〉
翔太と会話を続けることが気まずく、早くきりあげたかったから。(30)
 
〈参考 Yゼミ解答例〉
祖父母との別れ方を気遣う翔太に動揺し、取り繕おうとしたから。(30)
 
〈参考 T進解答例〉
祖父母に対する翔太の思いを否定しようと躍起になったから。(28)
 
 

問三「かえってその方がお互いによかったんだよ」(傍線の箇所(イ))とあるが、どういうことか。本文の内容に即して40字以内で説明せよ。

心情説明問題。「かえって」というのはパラドックス(逆説)を導く表現である。パラドックスは矛盾する一対を明確に示し、字数や重要性を衡量してその一対が成立する理由を加えればよい。
 
ここで矛盾する一対は、「その」の指す内容と「お互いによかった」である。すなわち、両親と翔太の間によそよそしさがあり、それが解消できないままになってしまったことは、一見よくないことだが、それが「お互いによかった」というのである。ここまでは自明。よって短い字数の中でも、矛盾する一対が同時に成立する理由を簡潔に加える必要がある。
 
その理由については、直前に挿入される姉の発言が手がかりとなる。「みんなで集まって…思い出の一晩みたいになると、後々のことを考えるとよくないんじゃない?」。この発言に「私」も同意し、「おじいちゃんとおばあちゃんとは、淡々とお別れをしたほうがいい」と考えたのであった。つまり、両親と翔太の間に残ったよそよそしさは、今後の別れのことを思うと、逆に(←かえって)好都合だった、ということである。
 
 
〈GV解答例〉
両親と翔太の間に残ったよそよそしさは、今後の別れを思うと逆に好都合だということ。(40)
 
〈参考 S台解答例〉
関係性が薄ければ、互いに早く忘れられ、心の傷が浅く済むのでよいと考えていること。(40)
 
〈参考 K塾解答例〉
祖父母と孫の関係がよそよそしいままだったことが別れに際しては幸いしたということ。(40)
 
〈参考 Yゼミ解答例〉
翔太が祖父母と親密過ぎないのは、別れに後腐れが伴わずむしろ好都合だということ。(39)
 
〈参考 T進解答例〉
淡々とした別れのためには、翔太と祖父母の間にあった微妙なよそよそしさが幸いしたということ。(45)←字数over
 
 

問四「そっくりそのまま苦みになってしまっていた」(傍線の箇所(ウ))とあるが、「私」がこのように感じた理由は何か。本文の内容に即して60字以内で説明せよ。

理由説明問題(心情)。「私はコップに残ったビールを空けた/気の抜けた生温さが/そっくりそのまま苦みになってしまっていた(傍線部)」とある。ビールが苦みを味わう飲み物であることは未成年の受験者にも常識であろうが、ここではその苦みと重なる心理的な悲哀を表している。その心理的な「苦み」は、直接的には、「いまはもう、それ(総合病院と葬祭ホール)ぐらいしか、にぎやかな場所はないから」と「拗ねたように」言った、母の一言からきている。地元の衰微を嘆く母の一言は、老いた両親と重なり「私」を悲しい気分にさせたのである(a)。
 
次に広く場面を押さえると、「私」が妻と離婚することとなり、もう会うこともないかもしれないという暗黙の了解のもとで、翔太とその祖父母にあたる「私」の両親とが夕食を共にする、その場面(2️⃣)の結部に傍線部はある。これを踏まえるならば、母の一言には孫との別れからくる母(と父)の寂しさも表れていると言えるだろう(b)。そう考えれば、母が「拗ねたように」言った(と「私」には感じられた)、その宛先は当然「私」より他なく、両親に孫との別れをもたらした「私」は責めを受けているようで重苦しく感じられ、ビールの味がことさら苦かったのである(c)。
以上より、「活気を失った地元の衰微を拗ねるように嘆いた母の一言に(a)/自分の離婚により孫をも奪われる(c)/老いた両親の寂しさを読み取ったから(b)(→ビールが苦い/悲しい/重苦しい)」とまとめた。
 
〈GV解答例〉
活気を失った地元の衰微を拗ねるように嘆いた母の一言に、自分の離婚により孫をも奪われる老いた両親の寂しさを読み取ったから。(60)
 
〈参考 S台解答例〉
最後の機会になるであろう息子と祖父母のやり取りが、互いを気遣いながらも空回りしていく、後味の悪いものとなったから。(58)
 
〈参考 K塾解答例〉
その場の雰囲気をにぎやかなものにするために言ったことが、かえってつらい気持ちを増すものとなっていると感じられたから。(58)
 
〈参考 Yゼミ解答例〉
翔太に余計な気を遣わせ、両親の老化も感じたうえに、空気を変えようとした話題も逆効果となり、陰うつな気持ちになったから。(59)
 
〈参考 T進解答例〉
翔太と祖母のやり取りに気まずさを感じて話題を変えようとしたが、その話題がかえってその場の雰囲気を暗くしてしまったから。(59)
 
 

問五「遠ざかる息子の背中を、じっと見つめた」(傍線の箇所(エ))には、「私」のどのような思いが表れているか。本文全体を通じた「私」の翔太に対するまなざしの変化に着目して、75字以内で説明せよ。

心情説明問題(変化)。3️⃣の終わりに「私はツバメのヒナほど上手に巣立ちはできていなかったのかもしれない」とあり(両親との話題はこれが締めとなる)、4️⃣以降から「私」と息子翔太の別れに焦点が絞られる。傍線部は小説の結部にあり、その象徴的なシーンに込められた「私」の翔太に対する思い(A)と、設問条件からAに至る前の「私」の翔太に対するまなざし(B)を、対比的に答える必要がある。Aについては4️⃣以降、特に5️⃣の傍線部につながる内容を読み取ることになるが、Bからの変化を踏まえて適切な内容を抽出する必要があるので、まずはBを整理するところから始める。
 
Bについては、1️⃣3️⃣から根拠を探したい。1️⃣3️⃣は翔太と祖父母(「私」の両親)の別れを話題の中心において展開するが、その射程の先には翔太と父である「私」の別れも含まれており、それに対する「私」の思い(B)が表現されている。まずは1️⃣、祖父母を訪れる前の場面で翔太が「おじいちゃんとおばあちゃんにバイハイって言ったほうがいい?」と言った場面、翔太は今回の訪問の意味するところを正しく理解して発言しているが、それに対して「私」は明らかに動揺している(問二)。次に2️⃣のはじめ、翔太が「母の心尽くしのご馳走」を苦手なニンジンも選り分けせず「たくさん食べ」ていたが、その様子を見て「私」は「子どもなりに気をつかっているのだろう」と思い、ビールを苦く感じている。さらに3️⃣の結部、いざ祖父母と別れる場面で翔太は「まるで明日も会えるかのような軽い口調と明るい笑顔で/『…バイバーイ』と両手を振って/車に向かって駆け出した」という場面。こう見ると、翔太の態度は一貫している。すなわち、両親の離婚がもたらす状況を正しく理解し、冷静に対処している(b1)。そうした振る舞いは「私」には予想外のことで、戸惑いや驚きを禁じ得ないのである(b2)(3️⃣のどこかあっさりした態度も自分にも向かうとすると寂しく映るのでは?)。
 
こう押さえると、5️⃣の傍線部につながる場面「とにかく、翔太は自分一人で線路に下りた/走りだす/翔太は私を振り向かなかった/走っては転び、起き上がっては走り、また転んでは起き上がって、走り続けた」という態度も翔太の、これから離れて暮らすことになる父親からの自立の決意を象徴していると考えられる(a1)。それに対し、「私」も一度は翔太を追ったが、途中でやめ、「遠ざかる息子の背中を、じっと見つめた」(傍線部)のである。これが象徴する「私」の思いは、まだ幼いと思っていた翔太に対するまなざし(b3)を改め、自立に向かい進んでいく翔太を潔く送り出そうというものであろう(a2)。以上より「まだ幼いと思っていた翔太が(b3)/自らの離婚がもたらす状況に冷静に処していることに(b1)/戸惑いを感じたが(b2)/今は自立に向かい進んでいく息子を(a1)/潔く送り出そうとする思い(a2)」とまとめた。
 
〈GV解答例〉
まだ幼いと思っていた翔太が自らの離婚がもたらす状況を冷静に処していることに戸惑いを感じたが、今は自立に向かい進んでいく息子を潔く送り出そうとする思い。(75)
 
〈参考 S台解答例〉
子どもだと思っていた息子が物分かりよくたくましく育っていることに気づき、新たな生活に進もうとする様子を寂しく感じつつも、父として送り出そうとする思い。(75)
 
〈参考 K塾解答例〉
幼いと思っていた翔太が、親を頼ることなく独力で走っていく姿に、子が巣立ち自立していくさまを見て、再び帰らない失われた時間を思って感慨にふけっている。(75)
 
〈参考 Yゼミ解答例〉
未成熟で自分の庇護下にあると思っていた翔太が、既に傷つきながらも一人で進もうとする意志を持つことに気づき、別れの寂しさを抱えつつも見守ろうとする思い。(75)
 
〈参考 T進解答例〉
離婚によって翔太にかかる精神的負担や、その後の関わり方に悩む中、前を向いて自分の力で進もうとしている翔太の姿を見て、感慨深い思いを抱いている。(71)