問2 「格差と教養」「実利を超越した教養」「人文社会系の知」の語句を用いて、現代における教養について歴史・民族・文学・言語のいずれかの側面から、あなたの考えを600字程度で述べなさい。

 格差と教養の結びつきが見られなくなった現代においては、実利を超越した教養を獲得していくために人文社会系の知の価値を再認識していくことが重要になると私は考える。  

 近年、科学技術の発展や消費社会の浸透に伴い、私達が暮らす社会は便利で豊かなものとなっている。また、都市化が進んだことによって人々は村社会から離れてより条件の良い仕事や環境を求めることができる時代になったと言えるだろう。  

 しかし、そうした状況は同時に過剰な消費を中心とする社会や生き方を生み出し、人々の孤立を生じさせている。実際、市場には常に大量の商品が出回り、私達はそれを飽くことなく消費し続けている。そのことによって自然環境も深刻な影響を受けているのである。また、かつての村社会に見られた人と人との繋がりは大きく失われ、特に都市においては孤独を抱えて生きている人も少なくない。こうした社会はすでに限界に達しており、個人としても社会としても持続可能な在り方を模索することがこれから必要となる。そこで、歴史や民俗学の観点からこれまでの人々の暮らしや文化を見直すことが私達の生きる日常や社会を相対化し、個々の生き方や社会のあるべき姿を再考する契機になりうる。その点で、目先の利益に追われるのではなく自らの生き方や社会の在り方を学ぶことができる人文社会系の知に価値があると言える。  

 以上のことから、現代においては実利を超越した教養を獲得していくために人文社会系の知の価値を再認識していくことが重要になると私は考える。(632字)