各大問毎の考察

【第1問AB】
例年通り単文を聞き、その状況を説明する選択肢を選ぶ問題。但し、各問題の合間の時間が短いためきちんと集中していないと、テンポよくどんどん進んでしまう。そのため素早く状況を理解し、選択肢の正誤を処理する必要がある。聞く際のポイントとなるのは、否定語(were’nt/didn’t) や短縮形(there’s)を聞き逃さないことである。

 

【第2問】
会話を聞いて、その状況を示すイラストを選ぶ問題。第1問同様、音声が短く分かりやすい日常的な内容であるため、取り組みやすい問題となっている。前で述べた、否定語や短縮形を聞き逃さない為にも、日頃から音の繋がり(リンキング)を意識しながら練習することが重要である。

 

【第3問】
第2問に引き続き、会話を聞いて問いに答える問題。会話と問題に書かれているリード文から会話のシチュエーションをすぐに想像出来れば、選択肢を判断し易い。会話の流れの中で、最初に想定していた内容が変更されることがよくあるため、早計に答えを出して満足するのではなく、しっかり最後まで音声を聞いて把握しなければならない。

 

【第4問AB】
時系列順の並べ替えや、表の穴埋め、条件から選ぶ形式に変化は無く、難易度も易しい方であった。日頃の授業で行う練習問題から注目しているように、細かい条件の見逃し・聞き逃しの無いように心掛けたい箇所である。問22~25では、問題の表に書かれているBoy’s(=男の子用)を忘れると誤答を選んでしまうため注意が必要である。問26では、複数の文の中で一つでも条件に当てはまらないポイントがあれば、すぐにその選択肢を消去しながら進めていくと効率的に正解に辿り着ける。

 

【第5問AB】
共通テストリスニングの中で、最も音声が長く、苦手にしている人が多い箇所であるが、昨年の共通テストや模試の形式からの変更は無かった。題材は、新しい働き方についてであり、昨今の時事問題を踏まえた興味深い内容である。今回は専門用語が出て来たため、問題音声の前の与えられた準備時間にワークシートに目を通した上で、問27には専門用語の定義や特徴が問われ、問28・29にはその働き方の利点が問われることを事前に察しておくことが求められる。問27-31まではキーワードやフレーズに注目して回答を進めるが、問32-33は講義全体の内容を踏まえて選択肢を吟味する必要があり、社会的な堅い内容を長文で聞くため、これまでの設問と比べてかなり難しさを感じる。選択肢を読み、答えを回答する時間が足りないと感じる人も居ると思うが、講義内容の難しさを踏まえると、出来る箇所から順次取り組み、答えが分からず回答時間が過ぎたら、気持ちを切り替えて次の問題に進むという思い切りを持って行ってほしい。

 

【第6問AB】
問34-35は、2人の会話の双方の主張のポイントを抑えながら解く形式である。この形式では、互いに意見が異なる場合が多いため、会話の中で相手の発言に対しての反論・否定(I don’t like〜 / Not for me)や、譲歩・逆接→主張(butの後ろに意見を強調)する流れをヒントにしながらそれぞれの立場を掴むことが必要である。第6問Bは、第5問に次いで苦手意識のある人が多い問題であるが、その原因は、複数の人がランダムに何度も発言を繰り返すからである。今回は4人のディスカッション形式で会話が展開されており、その会話の中で相手に呼びかけている名前を聞き逃さず拾うことで、誰がどの意見であるのかを掴むことが非常に難しく感じた。問題音声も長く、一言一句全てを捉えることは困難であるため、事前に与えられた準備時間に事前に問いを読み、問36ではトピックに賛成の意見を持つ者を捉え、問37では、4人の中で特にBrianの立場を表す発言に注意しながら内容の全体像を掴むことが重要である。

 

 

全体考察とリスニング対策について

全体的な大問数や、形式の変更はなく、解いた印象では昨年通り、もしくはやや易化しているように感じた。日頃授業で扱っている練習問題や模試と比べると、音声のスピードもゆっくりで丁寧に発言されているように思われた。共通テストからの傾向であるイギリス英語も使用されていたが、内容が聞き取りやすかったため、難しく感じることはなかった。但し、第5問や第6問Bの長尺の音声は、昨年同様、解くのに手前のかかる形式が続いており、音声の内容もアカデミックな内容であるため、普段から私たちの社会に関わりのあるトピックや、ニュースで扱われている話題を、実際の英語の文脈の中で読んだり聞いたりすることが効果的な対策である。その際にはポッドキャストやYouTubeなどを使用すれば、日常的に英語を耳に慣らすことが可能である。特に頻出の話題は、今回も出題された環境問題やテクノロジー系に加えて健康面(ヘルスケア・医療)や学習系(勉強の仕方など)、ビジネス系のトピックである。

 

練習問題や復習を行う際には、解答の確認をして何度か聞いて満足するだけではなく、音声スクリプトを読んで答えの根拠を探すことを徹底し、さらに長文の音声内容を捉えるために聞きながらメモを取る技術を練習する必要がある。共通テスト試行後、リーディングと同配点の100点になったリスニングであるが、受験者の意識の中で優先順位が低く、科目として後回しにされる傾向が強い場合が見受けられる。短期間で急に点数が上がる科目ではないため、継続的に英語音声を聞くことに慣れ、耳から英語で情報を得ることの面白さを体感して欲しい。

 

英語担当 Arisa