傾向と対策

受験生にとっての最大の関心事は「どうやって勉強したら点が取れるか」だと思います。ここで2021年度受験から見えて来る勉強のポイントを述べさせてもらいます。

 

世界史の勉強は、ズバリ、「用語を押さえること」です。従来のセンター試験でも同じですが、社会科の勉強はまず用語を理解することが大切です。用語は建物に例えればブロックのようなもので、その一つ一つが組み合わされて、例えば「古代ローマ」と言ったような一つの建物が出来上がります。  用語の覚え方のまず1番目に来るのがその内容です。一つの用語を覚える時のポイントは「いつ・どこで・何が(誰が)・何した:そしてどうなった」の五つの点をハッキリ確認することです。例えば、古代ローマ史を勉強すれば、必ずポエニ戦争が出てきます。学校の教科書でポエニ戦争の所に、第一回ポエニ戦争はシチリア島の争奪戦と書いてあり、イタリア半島とポエニ (=カルタゴの別名)の中間にある島だからと説明されています。このことを知っていれば、第5問の「地域1」がシチリア島とわかります。ちなみに世界史Bでは、シチリア島のブロックは次のようになります。「いつ: 前3世紀中頃/第1回ポエニ戦争・どこで:シチリア島・誰が:ローマとカルタゴ・何した:シチリア島と地中海の覇権の争奪戦・シチリア島が共和国ローマの初の「属州」になった。」です。

 

2番目に大事なのは、どのブロックがどのブロックの上下にあるのか、または建物全体の中でどんな位置にあるのか、です。こうしたブロックどうしの相対的位置関係が、出来事の起こった順番決めるのに役立ちます。例えば同5問の問3ですが、「地域2」は、「島国」「14世紀から15世紀の戦争」「1851年の万博」「紅茶」、からイギリスとわかります。また「地域3」はすぐにアテネとわかります。ではその順番は? 問題文中に「すべてローマの支配下に入った」とあります。ローマとイギリス関連は? 教科書に「ハドリアヌスの長城」の写真が載っています。「いつ」は? ハドリアヌスといえば5賢帝の一人なので、A.D1世紀末から2世紀末です。その頃にはイギリスはローマの支配下とわかります。あとはギリシャ。ここがポイントになりますが、第3回ポエニ戦争の終結と同時にギリシャもローマの属州になります。これらの知識から、順番は地域1→地域3→地域2と並べられます。  

 

共通テストの社会科の出題方式は「考えさせる」出題です。なので、考えるための情報の整理の仕方として、上に述べた「用語」の内容と、一つのテーマの中での「位置」が様々な時代とテーマへのアプローチとして大きな助けとなります。世界史、楽しい!!

 

地歴担当 熊井弘明