全体の概要

今年度の共通テストから得点が100点に増加したリスニングは、試行調査や模試の形式とはそれほど大きな違いは見られなかった。問題作成方針にも見られるように、日常会話や身近なシチュエーションで使用される英語の表現と、講義形式で説明されている、アカデミックな内容や情報をまとめて理解する2つのタイプの問題から構成されていると分析した。 さらに新しくなった点は「英語の多様性」である。従来のような聞き取りやすいアメリカ英語ではなく、イギリス英語や、また日本人のようなnon-nativeが話す設問もいくつか見られたため、発音やイントネーションに慣れていなければ聞き取りづらく感じたかもしれない。

しかし従来の「キレイな」発音のアメリカ英語とは、むしろ私たち日本人の、「英語とはこのように話されなければならない」という固定観念の表れであり、近年のトレンドとして、世界中で話されている様々なバージョンの英語を認めていこうという動きは、個人的に興味深いと感じる。その背景には、まさに言語は変わりゆく生き物であり、正しい形はひとつでは無いことから、英語の発音の上手さだけに囚われる必要はなく、そこに英語を聴く「楽しさ」がある。

概要と考察を踏まえたこれからの勉強法

リスニング対策を始める際には、まず問題演習を繰り返しながら、音のルール(リンキング、消える音など)を実際に確認してほしい。問題を解く際には必ずメモを取り、キーワードを早く書く練習を重ね、さらに復習ではスクリプトを読みながら聞きながら、自分の声で発音しながら行うことが基本である。

正しい練習方法を習得したら、あとは聴く量を定期的に保てば、ある程度(7割ほど)までは得点が出来るようになるはずなのでリスニングはそれくらいの点数で満足という人はそれでOK。但し、それ以上である満点近い点数まで目指したいならば、さらなるアウトプットが必要であると考える。さらなるアウトプットとは、”exposure”(=英語が周りに溢れてる環境に積極的に身をさらすこと)である。英語のスピーキングを行うことも方法のひとつであり、私はいつでもお待ちしていますので、ぜひ遠慮なく訪ねてきてほしい。笑

 

各大問毎の考察

大問1~2は、音声が2度読まれる比較的容易な文であるため、ここをしっかり得点源にしたい。但し、第1問の設問の中には細かい文法項目(時制や主体客体の区別)に注意しなければ、選択肢で迷ってしまう問題もあったり、第2問のイラスト問題では、直接答えとなる単語を発言せず、該当のイラストを描写する問題が見られたりした。リスニングの「音声そのもの」が聴きとれているのかどうか、に加えて発言の内容を理解、解釈しているのかが問われている。第3問以降からは音声が1度しか読まれず、さらに第4問からは難易度も一層上がるため、特に集中して聴くことが求められる。

読まれる音声の量も多くなるため、会話の流れと場面を想像しながら、その内容の大意(結局、この人は何を言いたいのか)を正しく捉えることが必要である。第5問は全体の中で音声が長く、難しい内容であるため、その中で情報をいかに多く聴きとれるのかがカギとなる。ワークシートやグラフを活用して分かる箇所から答えていかないと、焦って次の問題に間に合わなくなる可能性があるので注意が必要である。第6問は、複数人で話す問題も出題されているため、「誰」が「何をどのように」考えて発言しているのかを区別し、整理して答えを導きだすことが求められる。

 

英語担当 Arisa