目次

  1. 〈本文理解〉
  2. 問「こうした方向ぞの、人間の思い぀めた突進」(傍線郚)ずあるが、その前にある様々な具䜓䟋を通じお、著者はどのようなこずを蚀おうずしおいるのか、説明しなさい。(行)
  3. 問「私は、単玔な自然、原始賛矎の論には、どうしおも䞎するこずができない」(傍線郚)ずあるが、なぜ著者はこのように考えるのか、説明しなさい。(行)
  4. 問「人間の「自然状態」」(傍線郚)ずあるが、著者は、これがどのようなものであるべきだず考えおいるか、説明しなさい。(行)
  5. 問「この難問」(傍線郚)ずあるが、どのようなこずか、具䜓的に説明しなさい。(行)
  6. 問「私の孊んだ人類孊の知識ず、私がよそ者であるずいうずりえを掻かし」(傍線郚)ずあるが、「ずりえ」ずいうのは具䜓的にどのようなこずか、説明しなさい。(行)
  7. 問「頭からさぶりずかぶるなたの感情」(傍線郚)ずあるが、どのような感情か、具䜓的に説明しなさい。(行)

 

〈本文理解〉

出兞は川田順造『曠野から アフリカで考える』(1973)。著者は人類孊者で、レノィ=ストロヌス『悲しき熱垯』の翻蚳で知られる。
 
①段萜。このサノァンナに生きる人々の生掻は、荒々しい自然に察しお人間がきわめお受動的にしか生きないずき、人間がひきずらなければならない悲惚を私にみせ぀ける。だが、それずは逆に、自然に察しお人間がいどみ、人間のも぀ある皮の欲求に自然を埓わせようずする努力をしゃにむに぀づけたずすれば、そのゆき぀く先は、䞖界の䞀郚にわれわれがすでにみおいるように、䞀生土をふたず、合金の檻のなかでひたすら無粟卵を産み぀づける鶏や、怍物の実ずしおの機胜をたったくうばわれた、気の毒な皮子なし西瓜を぀くり、倧気や海を汚し、性行為を生殖からきりはなし、たもなく死ぬこずがわかっおいる病人の、心臓の錓動がずたらずにいる時間をただ少しでもながびかせるために、気管を切開しお、最期に蚀いたいこずもいえなくしおしたう医孊を生みだすこずになるのであろう。そしお、「こうした方向ぞの、人間の思い぀めた突進」(傍線郚)は、人間のも぀欲求の䞀郚分だけを絶察化し肥倧させたいわゆる合理䞻矩ず結び぀いお、䞀局たがのはずれたものになったのであろう。だが、この土地の人々の生掻をいくらかでも知ったあずでは、「私は、単玔な自然・原始賛吊の論には、どうしおも䞎するこずができない」(傍線郚)。自然をたもれずか、自然にかえれずいうようなこずが、それ自䜓人工的な圢で問題になるのは、人間がある皋床自然を制埡するのに成功したあずのこずである。自然にうちひしがれたたたの人間ずいうのは、みじめであり、腹立たしくさえある。
 
②段萜。理想の楜園ずしおの「人間の「自然状態」」(傍線郚)は、実際にはおそらく過去に存圚しなかったし、珟圚も地䞊に存圚しないだろう。いうたでもなく、私がいた芋おいるこのアフリカの䞀隅の人々の生掻は、ペヌロッパの怍民地支配に螏みにじられしがりずられたあずの、それなりに「自然状態」からはきわめお遠いものである。しかし、アフリカの自然・歎史・瀟䌚に぀いおいた私がもっおいるわずかな知識ず䜓隓から考えられるかぎりでは、過去をいくらさかのがっおも、アフリカに理想郷があったずは思えないし、私の孊んだかぎりでの、珟代の人類孊の知芋も、原始状態を理想化するこずのむなしさを教えおいるようだ。私は、人類の歎史は、自然の䞀郚でありながら自然を察象化する意志をも぀ようになった生物の䞀぀の皮が、悲惚な詊行錯誀をかさねながら、個人の䞀生においおも、瀟䌚党䜓ずしおも、叡智を぀くしお、぀たり最も「人工的」に、みずからの意志で自然の理法にあらためお垰䞀する、その暡玢ず努力の過皋ではないかず思うこずがある。人間の理想ずしおの「自然状態」は、無気力に自然に埓属した状態ではなく、たた、すでにある手本をさがしおみ぀かるものでもなく、意志によっお人間が぀くりだすべきものなのであろう。
 
③段萜。私は、二十䞖玀埌半のアフリカ瀟䌚を語るのに、自然ず人間ずいう察眮をあたり重くみすぎたかもしれない。いたこの囜の人たちの生きおいる生掻が、半䞖玀あたりのフランスの怍民地支配によっお、どれだけふみにじられたあげくのものであるかずいうこずは、簡単に蚀い぀くせない。 倩然資源の面で搟取される䟡倀の乏しいこの囜の、埓順で蟛抱づよい人たちが、近隣の、もっず搟取䟡倀の高い怍民地ぞ「人的資源」ずしお、ムチで狩り出されお行ったかずかずの蚘憶。そのあげくの村の荒廃。入れわわりに流しこたれた安物の商品ず貚幣経枈。そしお、思考や感性の根底から埓順な子矊に぀くりかえおゆくような、フランス語の矩務教育。
 
④段萜。どうすればいいのかヌヌこの囜の心ある人たちがたえず考え぀づけおきた「この難問」(傍線郚)に、私が安盎な答えを出せるはずもない。よそ者の私が、日頃土地の人、政府の人や、技術揎助の倖人などず話しお思うのは、フランスの制床や技術、物の考え方から蚀語たで芋習うこずをやめお、皮盞な「近代化」をいそがずに、遠たわりなようでも、生掻の最基局郚から、祖先以来の生掻様匏や技術の再怜蚎しおいったらどんなものかずか、蟲業など生掻技術の怜蚎を、珟地語を甚いお、成人もふくめお、さかんにする気運は぀くれないものだろうかずか、怍民地分割の郜合できめられたいたの囜境を絶察化せずに、長い目でみおもっず必然性のあるアフリカ再統合の可胜性を、近隣のアフリカ諞囜ず協力しお探れないものか、などずいったこずだが、こうした傍目八目の理想論は、珟実の政治情勢や、あらゆる面で圢をかえお存続しおいるフランスの桎梏のために、かんたんには実珟しそうもない。ただ、圚来の生掻様匏・技術の再怜蚎、その基瀎資料の蒐集などは、「私の孊んだ人類孊の知識ず、私がよそ者であるずいうずりえを掻かし」(傍線郚)お、近い将来に、いた䌁画しおいる条件がずずのえば、土地の人に協力しお実際にやっおみようず思っおいるこずの䞀぀だ。 倖来者は土地の人に「教える」のではなく、むしろ土地の人の知識や経隓の深い意味を「孊んで」、それを成熟させる觊媒になるこずが倧切なのではないだろうか。 
 
⑀段萜。ずはいうもの、いたの私にずっおは、日々の䜓隓のなかで、「頭からざぶりずかぶるなたの感情」(傍線郚)の前に、抜象的な思考にみちびかれた確信などずいうものが、いかにかげのうすいものでしかないかを思い知らされるこずの方が倚い。知り合いの村の人に頌たれお、病人を私の小型トラックでテンコドゎの病院に運ぶずきだけにはたしかにヌヌこの土地に倚い髄膜炎で重䜓であったある男の子は、この私蚭救急車があったために、䞀呜をずりずめたヌヌそれが党䜓からみればずるにたらぬ気䌑めにすぎないこずがわかっおいおも、私は、ささやかな充足感のようなものを感じる‥‥。

 

〈蚭問解説〉問「こうした方向ぞの、人間の思い぀めた突進」(傍線郚)ずあるが、その前にある様々な具䜓䟋を通じお、著者はどのようなこずを蚀おうずしおいるのか、説明しなさい。(行)

 
内容説明問題。解答範囲は、①段萜二文目の「だが〜自然に察しお人間がいどみ、人間のも぀ある皮の欲求に自然を埓わせようずする努力をしゃにむに぀づけたずすれば」(a)から、傍線郚を含む䞀文「こうした方向ぞの、人間の思い぀めた突進は、人間のも぀欲求の䞀郚分だけを絶察化し肥倧させたいわゆる合理䞻矩ず結び぀いお、䞀局たがのはずれたものになったのであろう(次文は「だが」→傍線郚)」(b)たで。その間が「人間の思い぀めた突進」の「様々な具䜓䟋」ずなっおいる。以䞊の構造から、「様々な具䜓䟋」を通じお著者が蚀おうずしおいるこずの倧筋は、「人間がある皮の欲求に自然を埓わせようずした結果(a)/たがのはずれたものずなる(b)」ずいうこずになる。ここでの「ある皮の欲求」ずの「たがのはずれた」を具䜓化するために、「様々な具䜓䟋」自䜓を怜蚎し、吟味する必芁が出おくる。
 
そこで具䜓䟋の芁玠を順に抜出するず、「無粟卵を産む鶏(c)/皮子なし西瓜(d)/倧気・海掋汚染(e)/生殖から切り離された性行為(f)/延呜医療(g)」ずなる。これら〜の芁玠をの垰結ずしお抜象化し分類するず、「自然の摂理の棄損(c・d)/生存の物質的基盀の解䜓(e)/生存の倫理的基盀(なぜ生きるのか)の解䜓(f・g)」ずなる。こうたずめおみるず、人間が自らの生存欲求に埓い自然に挑んだ結果(a)、その生存の基盀自䜓が脅かされる(b)ずいうアむロニヌが芋えおくる。以䞊より「肥倧化した生存欲求を貫培しようず人間が自然に挑んだ結果(a)/自然の摂理が毀損され(c・d)/自らの生存の物質的・倫理的基盀が倱われた(e・f・g)/ディストピアを招くずいうこず(b)」ず解答できる。
 
 
〈GV解答䟋〉
肥倧化した生存欲求を貫培しようず人間が自然にいどんだ結果、自然の摂理が毀損され、自らの生存の物質的・倫理的基盀が倱われたディストピアを招くずいうこず。(75)
 
〈参考 S台解答䟋〉
人間が自らの欲求に荒々しい自然を埓わせるような、欲求の䞀郚を絶察化し肥倧させた合理䞻矩ず結び぀き、自然の秩序から逞脱した状況を匕き起こしたこず。(72)
 
〈参考 K塟解答䟋〉
人間が自然に察しおいどみ、人間の欲求に自然を埓わせようずする際限のない努力が、かえっお自然や人間の本質を倱わせおしたうずいうこず。(65)
 
〈参考 Yれミ解答䟋〉
珟圚生じおいる、動怍物の生呜軜芖や自然環境砎壊、生ず死をめぐる倫理的問題などの背景には、人間が利己的な欲望に基づいお自然を制埡・支配しようずする䟡倀芳があるずいうこず。(84)
 
 

問「私は、単玔な自然、原始賛矎の論には、どうしおも䞎するこずができない」(傍線郚)ずあるが、なぜ著者はこのように考えるのか、説明しなさい。(行)

 
理由説明問題。問の解答範囲が①段萜の䞀぀目の「だが」ず二぀目の「だが」の間にあるのに察しお、問の解答範囲はその䞡偎にある。特に①段萜の冒頭文「このサノァンナに生きる人々の生掻は、荒々しい自然に察しお人間がきわめお受動的にしか生きないずき、人間がひきずらなければならない悲惚を私に芋せ぀ける」が根拠ずなる。こうした芋解を、筆者は知識ずしお理解しおしおいるだけではなく、著者は人類孊者ずしおサノァンナに生きる人々の生掻を身近に芳察した䜓隓から痛感しおいるのである(④)。以䞊より「荒々しい自然に察しお人間が極めお受動的にしか生きない堎合の悲惚な垰結を/サノァンナに生きる人々の生掻を身近に芳察した䜓隓をぞお著者は痛感しおるから」ず解答する。
 
 
〈GV解答䟋〉
荒々しい自然に察しお人間が極めお受動的にしか生きない堎合の悲惚な垰結を、サノァンナに生きる人々の生掻を身近に芳察した䜓隓をぞお著者は痛感しおいるから。(75)
 
〈参考 S台解答䟋〉
単玔な自然・原始賛矎論は、人間が自然を制埡するのに成功したあずで問題になるものであり、自然に埓属したたたの人間はみじめさで腹立たしいのでしかないから。(75)
 
〈参考 K塟解答䟋〉
サノァンナに生きる人々の生掻は、荒々しい自然に察しお人間がきわめお受動的にしか生きられないずきに生じる人間の悲惚さを著者に芋せ぀けるから。(69)
 
〈参考 Yれミ解答䟋〉
サノァンナの人々のように、人間が自然に察しお受動的に生きれば悲惚な事態になるのであっお、自然を生かしたり原始状態を理想化したりする論は珟実を無芖した芳念論に過ぎないから。(85)
 
 

問「人間の「自然状態」」(傍線郚)ずあるが、著者は、これがどのようなものであるべきだず考えおいるか、説明しなさい。(行)

 
内容説明問題。たず、著者は「理想の楜園/原始状態」ずしおの「自然状態」を吊定しおいるこずを確認する。その䞊で、著者が「あるべき」ず考える「人間の「自然状態」」はどのようなものか。根拠ずなるのは、②段萜「(私は)人類の歎史は/自然の䞀郚でありながら自然を察象化する意志をも぀ようになった生物の䞀぀の皮が/悲惚な詊行錯誀をかさねながら/個人の䞀生においおも/瀟䌚党䜓ずしおも/叡智を぀くしお〜/みずからの意志で自然の理法にあらためお垰䞀する/その暡玢ず努力の過皋ではないか(ず思うこずがある)」の箇所。ここは「歎史」に぀いおの説明だが、これを「自然状態」の説明ずなるように曞き換え、「自然の䞀郚であり぀぀自然を察象化する意志をもった人間が/悲惚な詊行錯誀を重ねながら/個人たたは瀟䌚党䜓ずしおの叡智を尜くしお/自然の理法に垰䞀した状態」ず解答する。
 
 
〈GV解答䟋〉
自然の䞀郚であり぀぀自然を察象化する意志をもった人間が、悲惚な詊行錯誀を重ねながら、個人たたは瀟䌚党䜓ずしおの叡知を尜くしお自然の理法に垰䞀した状態。(75)
 
〈参考 S台解答䟋〉
無気力に自然に埓属した状態ではなく、既成の手本ずしおあるものでもなく、「人工的」にみずからの意志で自然の理法にあらためお垰䞀する詊行錯誀を重ねるべきもの。(77)
 
〈参考 K塟解答䟋〉
自然を察象化する意志によっお、悲惚な詊行錯誀をかさねながら、個人や瀟䌚が、自然の理法に垰䞀しながら、叡知を尜くしお぀くりだすべきもの。(67)
 
〈参考 Yれミ解答䟋〉
本来自然の䞀郚であるはずの人間が、無気力に自然に埓属するのではなく、人類の叡智を぀くしお自然を察象化する努力をかさねるこずによっお、あらためお自然の理法に垰䞀する状態。(84)
 
 

問「この難問」(傍線郚)ずあるが、どのようなこずか、具䜓的に説明しなさい。(行)

 
内容説明問題。「問題」ずいう蚀葉は倚矩的(question/problem/issue/matter)であるが、「難問」の堎合は「解決すべき(難しい)課題(problem)」ず捉えればよいだろう。本文によるず、前③段萜冒頭で、二十䞖玀埌半のアフリカ瀟䌚(サノァンナの囜)の生掻は「半䞖玀あたりのフランスの怍民地支配によっお、どれだけふみにじられたあげくのものであるかずいうこずは、簡単に蚀い぀くせない」(a)ずあり、以䞋、その歎史的背景が具䜓的に述べられる(③)。そしお、④段萜冒頭で「どうすればいいのか」ず承け、それをこの囜の人たちが考え぀づけおきた「この難問」ずし、ここに傍線郚が匕かれおいる。以䞋、著者なりの「難問」に察するアプロヌチが具䜓的に挙げられ、「こうした傍目八目の理想論」は珟圚の政治情勢やフランスの桎梏のために簡単には実珟しそうもない(→「難問」)ず述べられおいる(④二文目)。
 
こう芋るず「この難問」ずは、「半䞖玀あたりのフランスの怍民地支配によっおもたらされた(a)/アフリカの荒廃の珟状(X)に察しお/どうすればいいのか(Y)/ずいう解決困難な課題」ずいうこずになる。に぀いおは、③段萜を参照するのが筋であろうが、蚘述が具䜓的すぎおたずめにくい。に぀いおは、④二文目の「どうすればいいのか」に぀いおの著者の具䜓的な考察を参照しお、抜象化するずよい。さらに、に぀いおも「珟状(③)→著者のアプロヌチ(④二文目)」を逆にたどり、「アプロヌチ」から「珟状」を浮き圫りにする圢で具䜓化しおみるずよいだろう(「アプロヌチ」の䞭に「珟状」は螏たえられおいる)。
 
そこで、④二文目の筆者なりのアプロヌチの芁玠を順に抜出するず、「フランスの制床・技術・考え方・蚀語を芋習うのをやめる(b)/皮盞な「近代化」をいそがない(c)/生掻の基局郚から祖先以来の生掻様匏や技術を再怜蚎する珟地語を甚いる(d)/怍民地分割できめられた囜境を絶察化せず近隣諞囜ず協力する(e)」ずなる。これず③段萜から、サノァンナの囜の珟状(X)に぀いおは、「圚来の生掻様匏・技術・蚀語(→思考や感性)の衰退(b・d)/近隣諞囜ずの察立(e)」のような「半䞖玀あたりのフランス怍民地支配によりもたらされた倚倧な傷跡」(a)が残る、ずたずめるこずができる。それに察する「どうすればいいのか」(Y)に぀いおは、どのように「生掻の基盀を回埩するのか」(d)、どのように「文化的な独自性(自尊心)」(b)を保ちながら「経枈の発展(安定性)」(c)を達成するのか、ず具䜓化するこずができる。
以䞊より「半䞖玀あたりのフランスの怍民地支配により/圚来の生掻様匏や技術、固有の思考や感性が奪われ/近隣諞囜ずの察立も抱え/珟圚も倚倧な傷跡を残すサノァンナの囜で/どのように生掻の基盀を回埩させ/経枈的な安定性ず文化的な自尊心ずの䞡立を図るか/ずいう解決困難な課題」ず解答できる。
 
 
〈GV解答䟋〉
半䞖玀䜙りのフランスの怍民地支配により圚来の生掻様匏や技術、固有の思考や感性が奪われ、近隣諞囜ずの察立も抱え、珟圚も倚倧な傷跡を残すサノァンナの囜で、どのように生掻の基盀を回埩させ、経枈的な安定性ず文化的な自尊心ずの䞡立を図るかずいう解決困難な課題。(125)
 
〈参考 S台解答䟋〉
半䞖玀あたり続いたフランスの怍民地支配により、過酷な生掻を䜙儀なくされた二十䞖玀埌半のアフリカ瀟䌚に察する倖郚の者の芖点からの理想の倉革論は、珟実の政治情勢や、あらゆる面で圢をかえお存続しおいるフランスの桎梏のために、簡単には実珟しそうもないずいうこず。(127)
 
〈参考 K塟解答䟋〉
半䞖玀あたりのフランスの怍民地支配により、人的資源ずしお村人が狩り出され、安物の商品ず貚幣経枈が流し蟌たれ、フランス語の矩務教育によっおフランスに隷埓するように思考や感性を根底から䜜り倉えられおきた状況をどうすればいいのかずいう、解決困難な問い。(123)
 
〈参考 Yれミ解答䟋〉
アフリカの人々は長い間、フランスの怍民地支配によっお物資を搟取され人的資源ずしお䜿われ、その結果、荒廃した圌らの暮らしには安物の商品ず貚幣経枈が流入し、さらに、フランス語の匷制によっお思考や感性たでもが぀くりかえられおきた。こうした悲惚な状態から、どうすれば抜け出せるのかずいうこず。(142)
 
 

問「私の孊んだ人類孊の知識ず、私がよそ者であるずいうずりえを掻かし」(傍線郚)ずあるが、「ずりえ」ずいうのは具䜓的にどのようなこずか、説明しなさい。(行)

 
内容説明問題。本問の「よそ者であるずいうずりえ」(④埌半)は問の「頭からざぶりずかぶるなたの感情」(圓事者性)(â‘€)ず察になるものである。匷い根拠ずなるのは傍線郚の前文「傍目八目の理想論は、珟実の政治情勢や、あらゆる面で圢をかえお存続しおいるフランスの桎梏のために、簡単には実珟しそうもない」。傍線郚の䞀文は、これを「ただ」ず承け、今埌条件が敎えば、そうした自分の考えを実行に移しおみたい、そのずきに「人類孊の知識」ず「よそ者であるずいうずりえ」が掻きるずいうのである。「傍目八目」は圓事者でないからこそ、ここでは「珟実の政治情勢」やか぀おの宗䞻囜「フランスの桎梏」に囚われないからこそ、客芳的で(←傍目)先を芋越した(←八目)刀断が可胜になるずいうこず。⑀段萜ずの察応関係から「抜象的な思考にみちかれた確信」(a)も解答に反映させるずよい。以䞊を螏たえお次のように解答した。「珟地の政治情勢や/今も残る怍民地時代の桎梏のような/利害関係から離れた立堎で/人類孊の知識に基づく/理論的に劥圓性の高い斜策を(a)/積極的に提案できるこず」。
 
なお、④段萜の埌ろから二文目「倖来者は土地の人に「教える」のではなく、むしろ土地の人の知識や経隓の深い意味を「孊んで」、それを成熟させる觊媒になるこずが倧切なのではないだろうか」を根拠ずしお䜿っおも無効だろう。これは、倖来者の「望たしい姿勢」に぀いおの筆者の芋解を述べたもので、よそ者であるこずに内圚する「ずりえ」を述べたものではないのだから。
 
〈GV解答䟋〉
珟地の政治情勢や今も残る怍民地時代の桎梏のような珟実の利害関係から離れた立堎で、人類孊の知識に基づく理論的に劥圓性の高い斜策を積極的に提案できるこず。(75)
 
〈参考 S台解答䟋〉
圚来の生掻様匏や技術に関する人類孊的知芋や倖来者の芖点に立ち、土地の人が持぀知識や経隓の深い意味を孊び、それを成熟させる媒介ずなるこずができるずいうこず。(77)
 
〈参考 K塟解答䟋〉
土地の人たちの䌝承を集めたり瀟䌚制床や習俗を比范しながら探ったりしお、土地の人の知識や経隓の深い意味を孊び、それを成熟させる契機ずなるずいうこず。(73)
 
〈参考 Yれミ解答䟋〉
筆者はペヌロッパの人間でも珟地の人間でもないために、客芳的な芖点で珟地の人々の生掻様匏や技術を再怜蚎でき、その知識や経隓を孊び成熟させる媒介になり埗るずいうこず。(81)
 
 

問「頭からさぶりずかぶるなたの感情」(傍線郚)ずあるが、どのような感情か、具䜓的に説明しなさい。(行)

 
内容説明問題。④段埌半で「よそ者であるずいうずりえ」に぀いお述べた䞊で(→問)、⑀段冒頭で「ずはいうものの」ず反し、「いたの私にずっおは/日々の䜓隓のなかで(a)/頭からざぶりずかぶるなたの感情の前に/抜象的な思考にみちびかれた確信などずいうものが、いかにかげのうすいものでしかないかを思い知らされるこずの方が倚い(b)」ず続く箇所に傍線郚はある。ここで「日々の䜓隓」ずいうのは、その次文(本文末文)にある珟地の人々ずの゚ピ゜ヌドのような「党䜓からみればずるにたらぬ気䌑めにすぎない」(c)ものでありながら、著者(圓事者)にずっおは「ささやかな充足感」(d)を感じさせるものである。以䞊を根拠ずした䞊で、傍線郚の比喩衚珟を「抜象的な思考」ずの察比を螏たえお「五感に盎接蚎えかけおくるような/具䜓的な感情」ずし、以䞋のように解答する。「孊問的知識に基づく抜象的な思考ではなく(b)/珟地の人々ずずもに日垞の生掻を営む䞭で䜓隓される(a)/瀟䌚党䜓からするずささいな事柄であっおも(c)/圓事者にずっおは重倧な(d)/五感に盎接蚎えかけおくるような具䜓的な感情」。
 
 
〈GV解答䟋〉
孊問的知識に基づく抜象的な思考ではなく、珟地の人々ずずもに日垞の生掻を営む䞭で䜓隓される、瀟䌚党䜓からするずささいな事柄であっおも、圓事者にずっおは重倧な、五感に盎接蚎えかけおくるような具䜓的な感情。(100)
 
〈参考 S台解答䟋〉
ペヌロッパの怍民地支配に螏みにじられおきたアフリカの人々の生掻を目の圓たりにするこずで生じ、人類孊的な知芋に基づく抜象的な思考に導かれた確信の脆匱さを思い知らされる、自分の心を激しく揺さぶる生々しい感情。(102)
 
〈参考 K塟解答䟋〉
知りあいの村人に頌たれお、この土地に倚い髓膜炎で重䜓だった男の子の呜を救うために、地元の病院たで、倖来者の著者の小型トラックで圌を運んだずきに抱いた、実生掻の䞭で珟実に村人の圹に立っおいるずいう充足感。(101)
 
〈参考 Yれミ解答䟋〉
自然環境の面においおも政治的・経枈的な面においおも悲惚な生掻を送っおいるアフリカの人々の珟地に腹立たしさすら感じながら、䞀方で、珟地の人の圹に立おたこずにささやかな充足感を感じるこずもあるずいうような、䞀人の人間ずしおの珟実味のある感情。(119)
 
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