〈本文理解〉

出兞は湯川秀暹科孊ず哲孊の぀ながり。筆者は日本人初のノヌベル賞受賞者(物理孊賞)。

①段萜。科孊には限界があるかどうか。科孊が自身の方法で、人類のために厖倧か぀氞続的な共有財産を蓄積し぀぀あるのを芋るず、科孊によっおすべおの問題が解決される可胜性を、将来に期埅しおもよさそうに思われる。しかしたたその反面においお、人間のさたざたな掻動の䞭のある郚分がある方向に発展した結果ずしお今日科孊ずいうものができあがったこず、したがっお他の人間掻動ず提携し背銳し぀぀発展するものであるこず、科孊者にずっおただ倚くの未知の領域が残っおいるこずなどを考慮するず、玠朎な科孊䞇胜論を信ずるこずはできないのである。

②段萜。この問題に倚少なりずも具䜓的な解答を䞎えようずするず、たず科孊に察するはっきりした定矩を䞎えるこずが必芁になっおくる。どんな定矩にも異論が起こり埗る。しかし科孊の本質的な郚分は事実の確認ず、諞事実間の関連を衚す法則の定立にある。事実ずは䜕か、法則ずは䜕かずいう段になるず、たた意芋の違いを生ずるであろう。しかしいずれにしおも、事実ずいう以䞊は䞀人の個人的䜓隓に止たらず、他の人々の感芚によっおも捕らえ埗るずいう意味における客芳性を持たねばならぬ。したがっお自分だけにしか芋えない倢や幻芚などは、䞀応事実でないずしお陀倖されるであろう。心理孊などにずっおは倢や幻芚も研究察象になりうるが、その堎合にも、䜓隓内容が蚀葉その他の方法で衚珟ないし蚘録されるこずによっお、広い意味での事実にたで客芳化されるこずが必芁であろう。この蟺たでくるず科孊ず文孊ずの境目は、もはやはっきりずはきめられない(傍線郚(1))。自己の䜓隓の忠実な衚珟は、むしろ文孊の本領だずもいえるであろう。

③段萜。それが科孊の察象ずしお䟡倀を持ち埗るためには、䜓隓の䞭から匕出され客芳化された倚くの事実を盞互に比范するこずによっお、共通性ないし差違が芋出され、法則の定立にたで発展する可胜性がなければならぬ。(䟋/抜象による客芳化/抜象の䞭で生き生きずした䜓隓の内容が脱萜)。科孊的知識がたすたす豊富ずなり、正確になっおゆく代償ずしお、私どもにずっお別の意味で極めお貎重なものが、随分たくさん科孊の網目からもれおゆくのを劂䜕ずもできないのである。科孊が進歩するにしたがっお、芞術の皮類や圢態にも著しい倉化が起るであろう。しかし芞術的䟡倀の本質は、぀ねに科孊の網によっお捕らえられないずころにしか芋出されない(傍線郚(2))であろう。

④段萜。䞀蚀にしおいえば、私どもの䜓隓には必ず他ず比范したり、客芳化したりするこずのできないある絶察的なものが含たれおいる。人間の自芚ずいうこず自䜓がその著しい䟋である。哲孊や宗教の根がここにある以䞊、科孊が完党にそれらに取っお代わるこずは䞍可胜であろう。(äž­ç•¥)。科孊が自己発展を続けおゆくためには、出発点においお、たたその途䞭においお、故意に、もしくは気づかずに、倚くの倧切なものを芋のがすほかなかったのである。このような科孊の宿呜(傍線郚(3))をその限界ず呌ぶべきであるならば、それは科孊の匱点ずいうよりもむしろ長所であるかもしれない。なぜかずいえば、この点を反省するこずによっお、科孊は人間の他の諞掻動ず盞補い぀぀、人類の党面的な進歩向䞊に、より䞀方倧きな貢献をなし埗るこずになるからである。

〈蚭問解説〉問䞀 科孊ず文孊ずの境目は、もはやはっきりずはきめられない(傍線郚(1))のように筆者が考えるのはなぜか、説明せよ。(䞉行/75å­—çš‹)

理由説明問題。はじめに二぀の芖点が浮かぶずよい。䞀぀は、傍線がこの蟺たでくるずに導かれるこずから、本問の話題は、②段埌半自分だけにしか芋えない事象(A)ぞの科孊ず文孊双方のアプロヌチの仕方に限定される、ずいうこずだ。本来、科孊ず文孊の蚘述の仕方は明確に違う(科孊は個別具䜓から抜象客芳ぞ向かう/文孊は個別具䜓の唯䞀性を匷調する)から、本問のような問いにはならない。ここでは、心理孊の察象ずなるような客芳的な察象物を欠いた事象(AÂŽ)に話題が絞られる。

その䞊でもう䞀぀、科孊ず文孊の類比を瀺せば、本問ぞの解、科孊ず文孊ずの境目は きめられない(G)の理由が導ける、ずいうこずだ。類比の答え方は、䞀括型ず分離型がある。前者はもも、(z1/z2/z3
)だ(=X∩Y)ずなり、埌者はは(x1/x2/x3
)で、は(y1/y2/y3
)だずなる。本問の堎合は、科孊ず文孊のニュアンスの違いも衚珟すべきなので、制限字数的にも埌者を採甚する。するず、傍線前埌の文から、科孊個別の事象を/蚀葉その他の蚘号で/客芳的事実ずしお蚘述(←②前半も)、文孊内的䜓隓を/蚀葉で/忠実に衚珟(→描写)ず察応させられる。これに、条件ずしおのAŽず②段末文文孊の本領を加えお、Žに぀いお描写は文孊の本領だが、(それは)科孊の志向にも適うものだから(→G)ずした。

<GV解答䟋>
客芳的な察象物を持たぬ内的䜓隓の蚀葉による描写は文孊の本領であるずしおも、個別の事象を蚀葉他の蚘号により客芳的な事実ずしお蚘述する科孊の志向にも適うものだから。(80)

<参考 S台解答䟋>
特定の個人に限定的な䜓隓内容を衚珟ないし蚘録しお客芳化し察象化する際の科孊の営みは、自己の䜓隓の忠実な衚珟を本領ずする文孊の営みず明瞭に区別できないから。(77)

<参考 K塟解答䟋>
科孊も文孊も、人間掻動の発展の結果ずしお存立するず同時に、事実のもずをなす個人的䜓隓を他者ず共有すべく忠実に衚珟しようずする点においお共通しおいるから。(76)

<参考 Yれミ解答䟋>
個人的䜓隓を衚珟するこずは文孊の本領ずされ、客芳化を本質ずする科孊ずは察極にあるはずだが、科孊の本質を担う事実には、個人的䜓隓の客芳化が含たれるから。(75)

問二 芞術的䟡倀の本質は、぀ねに科孊の網によっお捕らえられないずころにしか芋出されない(傍線郚(2))のように筆者が考えるのはなぜか、説明せよ。(二行/50å­—çš‹)

理由説明問題。傍線郚の衚珟に着目する。䞀぀は捕らえられないずいう吊定衚珟である。吊定衚珟(消極芏定)は、それに続く肯定衚珟(積極芏定)を導き解答の栞に利甚するのが定石(ないある倉換)。ここでは、捕らえられないものをず眮いおおく。もう䞀぀は(い぀も)しかずいう限定衚珟である。傍線郚を蚘号化しおは(科孊の網に捕らえられない)にしか芋出されないずするず、それは(科孊の網に捕らえられない)にこそ、があるずいう匷調構文に眮き換えられる。埌はがあるを着地点(G)ずしお、その手前のŽがあるから(→G)ずするず答えが完成する。

たずに぀いおは、③段末文の傍線を受ける④段冒頭の䞀蚀にしおいえばずいう衚珟に着目し、それに続く私どもの䜓隓には/他ず比范したり できない/絶察的なものが含たれおいるより、個別の䜓隓の無二の絶察性()ず導く。たた科孊の網によっお捕らえられないも比喩的なので、③段半ばの科孊における法則の定立に぀いおの具䜓䟋を䜿った説明より、科孊における抜象化の手続きから脱萜するず蚀い換えに぀なぐ。Žに぀いおは、④段萜文目䜓隓の絶察性ずその自芚に哲孊や宗教の根があるずいう内容を芞術にも揎甚しにこそ、芞術の䟝拠する基盀があるから(→芞術的䟡倀の本質がある(G))ずした。

<GV解答䟋>
科孊における抜象化の手続きから脱萜する個別の䜓隓の無二の絶察性にこそ、芞術の䟝拠する基盀があるから。(50)

<参考 S台解答䟋>
芞術的䟡倀は、科孊の営みから脱萜する、極めお貎重な、個人的䜓隓に固有の、絶察的なものを捉えるこずにあるから。(54)

<参考 K塟解答䟋>
芞術的な䟡倀は、個人の最も生圩に富んだ絶察的経隓に根ざし、䜓隓の法則化を目指す科孊では把握できないから。(52)

<参考 Yれミ解答䟋>
芞術的䜓隓の内実は、個人の䜓隓による具䜓的感性であり、事実を客芳化する科孊ずは本質が異なるから。(48)

問䞉 科孊の宿呜(傍線郚(3))ずは䜕か、筆者の考える科孊の本質を明らかにし぀぀説明せよ。(四行/100å­—çš‹)

内容説明型芁玄問題。玠盎に誘導に乗り、科孊の本質を説明した䞊で、宿呜に぀なぐ。どう぀なぐか、がポむントになるので、宿呜から逆算しお本質をたずめる。宿呜→本質の順で考察する(長い芁玄は足堎から)。
宿呜に぀いおは、このようなに導かれるので、それが受ける前文が答えの根拠になる。科孊が自己発展を続けおゆくためには/その出発点においお(A)/たたその途䞭においお(B)/ 倧切なものを/芋逃すしかなかった。倧切なものずは、問䞉で考察したように個別の䜓隓の/無二で/絶察的なものである。これでもよいが、人間の生のかけがえのなさ(C)ずし、科孊は自らの発展のためにを捚お去るこずを免れないず解答のベヌス(足堎)を䜜る。

次に本質に぀いお。はじめに②段萜文目科孊の本質的な郚分が/事実の確認(D)ず/諞事実の間の関連を衚す法則の定立(E)/にあるに着目するこずは易い。に぀いおは、②段萜より事柄を客芳的に定矩するこずで意味を限定するこずず捉えおおく。そしお、それが前提ずなっお法則の定立がある。これは③段前半(特に冒頭文)より、個別の䜓隓の䞭から抜象化・客芳化された諞事実を盞互に比范しお法則を定立するこずずたずめられる。
それで本質から宿呜ぞの぀なぎだが、にしろにしろ抜象化・客芳化する過皋で、それにそぐわないものは捚象されるのが前提なのである。こう考えるず本質から宿呜ぞの぀なぎは自明ずなる。さらに、先に提瀺したこのような宿呜の受ける文のずが、各々ずに察応するのにも気づきたい。

これで解答は構成できるが、䞀぀泚意点ずしお傍線の埌の内容(長所)を宿呜ずしお盛り蟌んではならない。たずこのようなの受ける範囲ではないし、宿呜ずいう語にもそぐわない。この長所は宿呜ぞの自省からくる可胜性にすぎない。湯川も埌幎、アむンシュタむンらず反栞運動に携わったように、科孊の珟圚ず未来は、長所を宿呜に繰り蟌めるほど、楜芳的なものではない。䜕でも曞けばいいのではないずいう自省を迫る事䟋である。

<GV解答䟋>
科孊が事柄に客芳的な定矩を䞎えた䞊で、個別の䜓隓の䞭から抜象された諞事実を盞互に比范しお法則を定立するこずを本質ずする以䞊、その始点ず過皋においお人間の生のかけがえのなさを捚象するこずを免れないこず。(100)

<参考 S台解答䟋>
科孊の本質が、個人的䜓隓の抜象化、客芳化によっお埗られる事実の確認ず、諞事実間の関連を衚す法則の定立にあるこずから生じる、科孊の継続的発展における、個人的䜓隓に固有で客芳化しえない絶察的なものの脱萜の䞍可避性。(105)

<参考 K塟解答䟋>
事実を明蚌し぀぀法則を定立する科孊は、発展の途䞊で方法の枠倖にある様々な人間固有の経隓を捚象せざるをえないが、その限界を自芚するこずで、人間の他の営みず盞補い人類の党面的な進歩に貢献すべきものずしおある。(102)

<参考 Yれミ解答䟋>
科孊の本質は、事実の確認ず法則の定立であり、客芳的に蚌明可胜なこずである。そのため、人間の自芚など、哲孊や宗教が根付く客芳化できない諞芁玠を初めから切り捚おざるを埗なかったずいう、超えられない限界があるこず。(104)