〈本文理解〉

 
出典は浅野智彦「消費社会とはどのような社会か?」
 

問一「商品の持つ相対化・均質化の力」(傍線部(ア))とあるが、どういうことか、80字以内で説明しなさい。

 
〈GV解答例〉
近代社会では商品に自由にアクセスし消費することで、伝統社会が規定した身分的制約を相対化し、近代的個人に相応しい欲求に適った機能を手にすることができるということ。(80)
 
〈参考 S台解答例〉
消費社会において、個人内の自然な欲求に訴える物語を伴う商品は、外部から伝統的な諸制約を受けていた人々を、自由に商品へとアクセスできる消費者に変えるるということ。(80)
 
〈参考 K塾解答例〉
伝統的秩序を可視化していた物が商品となることで、誰もが社会的制約から解放され、自らの自然な欲求を充足させるためにそれらを自由に消費できるようになったということ。(80)
 
〈参考 Yゼミ解答例〉
商品化されたモノは、個人が自由にアクセスできるものとなり、人々をかつての伝統的な身分制度から自由な、社会的諸規定に縛られない消費者へと変える力をもつということ。(80)
 

問二「商品の流通する空間は次第に物語空間へと変貌していく」(傍線部(イ))とあるが、ここでいう「物語空間」とはどのような空間か。80字以内で説明しなさい。

 
〈GV解答例〉
商品の物質的機能性よりも記号的差異性が重視されることで、機能から解放された欲求が生産システムの変数として操作され、需要が自己準拠的に産み出される消費社会の空間。(80)
 
〈参考 S台解答例〉
機能から自由になり差異を表示する記号となった商品が他の商品と連鎖して一定の記号システムとして働き、消費者間の相互差異化の欲求を刺激して需要を生み出し続ける空間。(80)
 
〈参考 K塾解答例〉
商品の機能を求める自然な欲求から解放され、相互差異化を競う人々の志向に即した記号のシステムとして組織化された商品群によって、需要が不断に喚起されるような市場。(79)
 
〈参考 Yゼミ解答例〉
人間の自然な欲求として商品の機能を求めるのではなく、広告戦略によって作り出された、他者との差異化を示すための記号として自ら需要を作り出すシステムによる空間。(78)
 

問三「フォードの生産システムの要は、その徹底した機能性と合理性とにあった」(傍線部(ウ))とあるが、どういうことか。80字以内で説明しなさい。

 
〈GV解答例〉
人間的な欲求の自然性を想定し、それを準拠として一律の需要を充足する観点から合理的に商品の機能を開発した点に、近代の世界像に適うフォードの本質があったということ。(80)
 
〈参考 S台解答例〉
世界を一貫して合理化しようという近代社会の運動を背景として、フォード社は、自然な人間的欲求の充足を目標に、自動車の部品や組立工程を徹底的に規格化したということ。(80)
 
〈参考 K塾解答例〉
人間に内在する欲求を満たすという目標を効率的に達成するために、生産過程の規格化を進めて、自動車を大量かつ安価に提供するのがフォードの手法の核心だったということ。(80)
 
〈参考 Yゼミ解答例〉
フォードは、人間の自然な欲求を満たすことに照準を置き、それに応えるために、無駄を省くことで安価な製品の大量生産を可能にすることを重要要視していたということ。(78)
 

問四「消費社会の進展は、だから、他者志向さえをも次第に困難にしていくような過程なのである」(傍線部(エ))とあるが、どういうことか。本文全体の論旨をふまえたうえで、160字以内で説明しなさい。

 
〈GV解答例〉
現代の消費社会は、商品を機能性から解放し多元的な現実感覚をもたらすことで、アイデンティティも伝統や個人の内面という一貫した論理ではなく他者の視線に準拠し記号的に消費することで構成されるものに変えたが、消費に伴う物語の多元化がさらに進行すれば、現代人の準拠する他者までも不透明になり、アイデンティティが混乱するということ。(160)
 
〈参考 S台解答例〉
消費社会化の進行は、世界が一元的でなく多元的なものだという感覚を浸透させ、伝統や個人的信念にしたがっていた人々は、変化する他者の視線に準拠して、モノの記号的価値を利用した自己像を構成するようになった。しかし、記号的価値自体がさらに多元化・細分化すれば、自己像の操作によるアイデンティティの構成までも難しくなるということ。(160)
 
〈参考 K塾解答例〉
物の機能を求めるのではなく商品群を提示する記号や物語を消費するようになると、合理性や進歩を追求する近代の一元的世界観が変容し、人々を多元的世界観のなかで伝統や自己ではなく他者に準拠して自我を形成するようになるが、物語の多元化が進み記号的価値が細分化すると、他者を媒介とした自己形成も徐々に難しくなっていくということ。(158)
 
〈参考 Yゼミ解答例〉
商品の機能を求める消費活動は、伝統や社会的制約から人々を解放したか、広告戦略の発達にともない、商品は他者との差異化を示すシステムとなり、他者の目に映る自分という記号的価値を生み出すこととなった。しかし、差異化するための基準となる他者も状況に応じて変化するため、人々の消費は何を基準とすればよいかわからなくなるということ。(160)
 

問五(漢字の書き取り)

(a)接触 (b)防衛 (c)厳密 (d)貢献 (e)戯画