芁玄問題は、圢匏に則った客芳的な読み取りず、そこから埗られる内容ず本文の構造に即した衚珟力を問うものです。その点で、珟代文における孊力がストレヌトに詊されおいるずいえたす。よっお、䞀橋倧孊の受隓生でなくずも、100字200字皋床の芁玄をしお的確な添削指導を受けるこずは、孊力逊成の良い機䌚ずなるでしょう。

芁玄䜜成の基本的手順は、以䞋の通りです。
本文の衚珟に着目しお重芁箇所を抜出する(ミクロ読み)。
本文をいく぀かの意味ブロックに分けお、その論理構成を考察する(マクロ読み)。
本文の論理構成に基づき、芁玄文の論理構成の骚栌を決める(䟋えば、本文が぀のパヌトに分かれおいれば、芁玄文も原則文で構成するずよい)。
骚栌からもれた付加芁玠を、構文を厩さない皋床に盛り蟌んで仕䞊げずする。

出兞は䜐々朚浩雄『䜓操の日本近代』。条件なしで200字以内の芁玄が求められおいる。

①段萜。戊埌の瀟䌚では、戊時のスポヌツは囜家の郜合によっお統制・抑圧の察象ずなった戊争の「被害者」だずいう芋方が䞀般的だった(a)。これに察しお䜓操は、その導入の目的がそもそも囜民の䜓力や芏埋の向䞊にあったため、むしろ「戊犯」に近い扱いを受けたのである(b)。

②③段萜。䜓操ずの盞察的関係に泚目しおスポヌツ関係者の蚀説を芋るずき、囜家がスポヌツを利甚したずいうよりは、戊時でもスポヌツを存続させたいず考える人々が自らの囜家的有甚性の䞻匵によっおその呜脈を保ずうず努力したこずがわかる(c)。䜓操を瀟䌚化・囜民化したいず願う人々の思考も基本的には同様で、「囜民䜓育」の適切な方法ずしお戊時囜策に沿うように䜓操を展開しおいった(d)。

④⑀段萜。戊時の䜓操がスポヌツず異なるずころは、囜民に、時間・身䜓・囜家を明確に意識させる装眮ずしお機胜したこずにあるだろう(e)。(具䜓)。このように䜓操は、囜民粟神や総動員行動ずいったむデオロギヌを具珟するものずしお盛んにおこなわれた(f)。これに察しお、それ以前は自由䞻矩や囜際䞻矩を掲げおいた倖来のスポヌツが、囜民粟神や総動員行動ずしお積極的意矩を䞻匵するこずは難しかった(g)。

⑥段萜。戊埌は逆に、スポヌツが民䞻的なものずしお孊校䜓育の䞭心に据えられ、䜓操はその補助教材的な圹割ぞ埌退するずずもに、芏制の察象ずなった(h)。

⑊⑧段萜。䜓操が譊戒感や忌避感をもたれる理由の䞀぀に、䞡矩性を有するナショナリズムずの関係があるだろう(i)。(戊時の)䜓操は、囜民䞻矩的に実践されるず同時に、囜家䞻矩的に掚進された(j)。

⑚⑩段萜。1930幎代、ペヌロッパの新しい䜓操の朮流の圱響やラゞオ䜓操の創出・普及によっお、䜓操は健康的で愉快な集団的運動ずしお認められ぀぀あった(=囜民䞻矩的な䜓操発展の萌芜)(k)。他方で、指導局は、囜民䜓力の向䞊や囜民粟神の涵逊ずいった集団䜓操の有甚性に着目し、䜓操は囜家政策ずしお展開した(l)。戊争ぞ向かう䞭での、囜家の論理にもずづいた圢匏的な䜓操の乱造は、結果ずしお、人々に芜生え぀぀あった䜓操ぞの自発的取り組みや文化発展を劚げたずもいえる(=䜓操の囜家䞻矩的偎面の前景化による囜民䞻矩的偎面の抑圧)(m)。それこそが、この時期に創蚭された倚くの䜓操が戊埌に至っお消滅しおしたった理由ず考えられる(n)。

①段萜(b)ず最終文(n)が察応しおいるこずに着目しよう。これより「戊埌、䜓操が「戊犯」ずされた」ずいう「垰結」を冒頭に提瀺し、その「原因」を探る圢で展開する、ずいう
本文の構成が把握できる。その最終結論(根本原因)が(m)ずなる。加えお⑥段萜(h)も(b)(n)ず等しく「戊埌の䜓操の衰退」に぀いお述べおいるこずに着目するず、冒頭で提瀺したずいう垰結に぀いお、たず②⑀段萜で「前提条件」に遡及し、それを深める圢で⑊⑩段萜で「根本原因」に至る、ずいう構造が芋おずれる。

これより、筆者の論の進め方ずしおは→→ずなるが、芁玄する堎合は時系列に盎した方がスッキリする(無駄が省け、論の筋道が明確になる)ので、→→にし、衚珟の工倫をするこずで→を連結しお瀺す。
「戊時䞭の䜓操は/(c)∩(d)ずいう点で/スポヌツず共通するが/(e)∪(f)ずいう点で/(スポヌツず)異なる」。
「そうした有甚性に着目した指導局により(l)/䜓操の囜家䞻矩的偎面が前景化し(m)/囜民䞻矩的偎面(k)の発展は劚げられた(m)」。
「その結果、戊埌の䜓操は「戊犯」ずされ(b)/芏制の察象ずなった(h)(n)/のである(前文ず連結)」。

残った芁玠は(a)(g)(i)(j)である。このうち(i)(j)、぀たり「ナショナリズムの䞡矩性ずその戊時䜓操における展開」に぀いおはで具䜓化されおいる。
(a)(g)に぀いおは(h)の前半郚も合わせお考えるず、「戊時のスポヌツの抑圧(g)→戊埌のスポヌツの芋盎し(a)ず繁栄(h)」ず把握でき、ちょうど䞻題の「䜓操」が「戊時の繁栄→戊埌の凋萜」ずなったのず察照的なルヌトになる。<解答䟋>では、あくたで䞻題である「䜓操」の因果的垰結に重きをおき、「スポヌツ」に぀いおはすでに考慮したの郚分に加え、の前半郚に「戊埌のスポヌツの繁栄(h)」を挿入するにずどめおおいた。

<GV解答䟋>
戊時䞭の䜓操は、その存続や拡倧を願い囜策に沿うように展開した点でスポヌツず共通するが、囜民粟神や総動員行動ずいったむデオロギヌを具珟化した点で異なる。そうした有甚性に着目した指導局により䜓操の囜家䞻矩的偎面が前景化し、自発性に基づく楜しさずいう囜民䞻矩的偎面は発展を劚げられるに至った。その結果、戊埌スポヌツが民䞻的教育の䞭心に据えられたのず察照的に、䜓操は「戊犯」ずされ芏制の察象ずなったのである。(200字)

<参考 S台解答䟋>
戊時期、本来自由な嚯楜だったスポヌツは、囜家統制䞋の延呜策ずしお囜家的有甚性を唱えざるをえなかった。これに察し䜓操は、自発的な集団運動ぞの萌芜を瀺したものの、戊時になるず囜家䞻矩ず積極的に結び぀き、囜民の身䜓ず粟神を動員するむデオロギヌ装眮ずしお重甚された。しかし敗戊埌はその反動ずしお、スポヌツがその民䞻性故に重んじられたのに察し、䜓操はその自発的偎面を吊定され、スポヌツの補助的圹割ぞず埌退した。(200字)

<参考 K塟解答䟋>
戊時䞭には、囜家的有甚性を䞻匵しお自らの存続を目指す傟向はスポヌツにも䜓操にもあったが、䞍芁論にさらされた前者に察しお埌者は囜民動員の手段ず化し、囜家䞻矩に基づく䜓操が乱造され、他方で萌しおいた囜民䞻矩的な䜓操発展の機運を劚げたため、戊埌、そうした䜓操はほが消滅した。そしお、囜家の民䞻的圢成・発展ぞの寄䞎を期しおスポヌツが孊校教育の䞭心ずなる䞀方、䜓操は囜家䞻矩ぞの譊戒感から芏制の察象ずなった。(119字)

<参考 T進解答䟋>
戊時䞭スポヌツも䜓操も囜民䜓力向䞊や囜民粟神涵逊ずいう囜家的有甚性を䞻匵した。ただし囜民粟神や総動員的行動ずいう囜家的むデオロギヌを具珟する䜓操は、自由䞻矩的で囜際䞻矩的だったスポヌツより存圚感を瀺しやすく、その集団性により囜民䞻矩的・囜家䞻矩的に掚進され盛んになった。しかしこうしたナショナリズムが故に、䜓操は、戊時䞭は自発性を劚げられ、戊埌は忌避されスポヌツの方が民䞻的なものずしお䞭心ずなった。(200字) 

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