小論文は、ただの過去問ではありません。

そこには、いまの社会をどう見るか、どんな前提を疑うか、どの立場から問題を考えるかが詰まっています。

今回取り上げるのは、2020年度 岩手大学 人文社会科学部の小論文です。

テーマは「障害」。

障害を、本人の身体的・医学的な問題として捉えるのか。
それとも、社会の制度や環境との関係で生じる問題として捉えるのかです。

 

GV小論文ジャーナルでは、過去問の解答例を通して、社会の見方・考え方を読んでいきます。

今回の問題

2020年度 岩手大学/人文社会科学部

次の文章を読んで、問1と問2に答えなさい。

出典は渡辺一史『なぜ人と人とは支え合うのかー「障害」から考えるー』。

問1

「障害」について、傍線部①「まったく対照的な2つの考え方」が示されていますが、その内容を170字程度でまとめなさい。

解答例

「障害の医学モデル(個人モデル)」においては、障害は病気やケガなどによって生じる医学的・生物学的で個人に付随する特質と見なされ、ゆえに障害者個々が乗り越えるべき課題であると捉えられる。「障害の社会モデル」においては、障害は人と社会の相互作用によって生じるもので、ゆえに社会の側が障害者に不利をもたらす要素を積極的に取り除くべきと捉えられる。(170字)

問2

「個人」と「社会」という2つの観点から、解決すべき現代の問題を1つ取り上げ、それに対するあなたの意見を、600字程度で述べなさい。

解答例

 ジェンダー平等という課題は、そうあるべきだということに対して異論は少なくなってきているし、身近に高校生活を送る上でほとんど意識されることもないと思われる。一方、日本の国会議員や上場企業の役員における女性の比率は2割に満たない程度で先進諸国で最低水準にあり、いわゆる旧帝大のような上位大学や国公立工学部への進学においても女性比率は1割から2割台と極めて低い。このように主観的な肌感覚と客観的なデータが乖離している場合は、前者を見直す必要があるだろう。

 たしかに現在の大学入試のように公平な能力選別システムがある程度担保されているならば、そこに向け個人が能力を磨き競うことは社会にとって健全であろう。それでも、男女の能力差について科学的根拠はなく、実際先進諸国で女性比率の向上が実現している以上、日本のジェンダー規範における見えない意識の「壁」は高く分厚いものだと思われる。すなわち、個人レベルの意識はともあれ、社会の中で「女の子はそこまで勉強ができなくてもいい」「女性の幸せは結婚」「家事や育児は女性の方が向いている」などという古い意識や習慣が根強く残っているのではなかろうか。もちろん、こうした意識は徐々に劣勢になるだろうが、今を生きる女性にとって時間的猶予はないのである。そうした意識の「壁」を壊す上でも、クォータ制などの積極的差別是正措置を社会として導入することが検討されるべきではなかろうか。(600字)

 

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