【第1問】小問集合

(1) 基本的な熱量保存の問題であり、計算も容易であった。
(2)仕事とエネルギーの基本問題であるが、「エネルギー変化量=外力のする仕事」を正しく認識してないと符合ミスなどをしてしまうかも知れない。
(3)身近なモバイルバッテリーに関する問題だが、電気素量についての理解が必要であり、電子の個数を求めることがやや難しい。
(4)電力量に関する計算問題。内容は基本的であるが、文章から的確に方程式を立てる数学の問題とも言えるため、苦手な人も多いと思われる。

 

【第2問】力のつりあい(実験)

水中のジャガイモにはたらく浮力についてさまざまな実験と考察を行っていく問題であった。力学の基礎となる力のつりあいについて理解出来ていれば、解答していくのは難しくない。だが浮力についてきちんと理解していないと、感覚に頼った解答となり大きく失点したかも知れない。浮力にも反作用があり、それは何から何にはたらくのか物体、液体、容器、床面に作用力線を作図し、グラフから考察していく必要がある。

 

 

【第3問】音波についてのさまざまな問題

音速の測定方法について、直接測る以外にも波動としての性質を利用して求めるという興味深い問題であった。波動としての特性はいずれも基本的な内容であり、公式を利用していく問題は計算ミスがなければ容易だったと思われる。ただ、測定誤差の原因を考察する問題は、問題と選択肢の内容が分かりにくく、試験中に落ち着いて判断するのは難しいであろう。

 

【全体概要】

公式を運用して計算していく問題、物理現象についての理解を確認する知識問題、そして身近なテーマについて実験や考察を行う問題、と全体としてバランスのよい内容であった。グラフから読み取れることから考察する内容は上位者は知識で判断することが可能であるが、それも含めて学力差であるので入試として十分機能していると言えるであろう。

 

【今後の学習】

教科書にある内容をただ覚えるのではなく、自分が経験したこと、感じたことなどを物理現象として捉え、どういう理屈があるのか? 条件を変えたらどうなるのか? などについて普段から考える習慣をもつようにしたい。私たちの身の周りにある様々な道具、あるいは自然現象など物理と関連する内容は多く存在している。自分で新しく気付けたなら物理の勉強がどんどん楽しくなっていくであろう。

 

数学・理科担当 砂川多津男