全体

筆頭問題が2題、選択問題が3題から2題という形式は例年と変わらず、文章量も昨年並であった。全体の難易度としては去年と比べてやや難化した。依然として文章量は多く、長い文章の中から必要な情報を抜き取る読解力と、短い時間で素早く丁寧な計算力が求められる問題であった。一部の大問の後半など、誘導が弱く時間のかかってしまう問題もあるため、短い時間の中で解いていくためには解ける問題とそうでない問題を素早く判断して、時には飛ばす判断も必要であっただろう。

 

第1問 [1]数と式 [2]図形と計量

[1]数と式

[1]は無理数の値を評価する定番の問題であった。誘導に丁寧に乗れば後半までスムーズに解けたであろう。ただ最後の小数点以下の数字を答える問題は、解いた経験が今までに有るか無いかで解法に差がついたと思われる。

 

[2]図形と計量

[2]は日常生活における棒の影の長さについての問題で、影のできる面が途中から斜面になったことで考えにくかった受験生も居たことだろう。棒と影が垂直ということから定義の三角比、有名角以外の三角比では表を用いるということを連想できれば誘導に乗って解けたと思われる。最後の影の坂にある部分の長さに関する問題は、これといった誘導もなかったため解法が浮かぶまでに時間を要するだろうが、多少式の形が変であっても正しく計算を進めることで答えまで辿り着けるため、式の形が変であっても計算を進めていく勇気も時には必要である。

 

第2問 [1]二次関数 [2]データの分析

[1]二次関数

[1]は座標平面上の動点に対して面積を考える問題であった。規則を正しく理解し時刻によって点の位置が変わり面積の式も変わることに気づければ話としては容易いが、自分で文字設定をしなくてはならないため、その形式に慣れていなければ少々難しかったであろう。

 

[2]データの分析

[2]はヒストグラムや箱ひげ図、散布図の読み取りに関する標準的な問題。定番な問題が続いたので比較的解きやすかったように思える。標準偏差を用いた計算問題は中々見ないタイプの問題だったため、難しくはないが初見の問題への対処が問われる問題だった。

 

第3問 場合の数と確率(選択問題)

箱の中のカードを取り出し確認して戻す試行を繰り返していく場合の数と確率の問題。徐々に試行の回数が増えていくが、誘導が丁寧なため比較的解きやすかったであろう。後半も会話文や読み取る文章が少々長いが、解くための誘導になっているので正しく読み取って解答したい。

 

第4問 整数の性質(選択問題)

n進法に関する基本的な問題と一次不定方程式に関する問題。n進法に関しては表示方法の規則を正しく理解できれば解けるであろう。ただし一部、解法に不定方程式や倍数の考え方が必要であった。後半は一次不定方程式に関する問題であったが、式を自力で導出する必要があるためそれさえ作れれば比較的解きやすい大問であった。

 

 

 

第5問 図形の性質(選択問題)

星型の平面図形の線分比や点の位置関係に関する問題。前半はメネラウスの定理と比の計算、後半は方べきの定理を正しく扱うことができれば解き進められただろう。誘導も比較的丁寧なため、正しく読めれば後半まで解けたように思われる。

 

今後の学習

来年度からは新課程となり選択問題がなくなり全問必答(整数の分野がなくなる)となるので、選択問題の選び方に悩むことはなくなる。ただし、データの分析の分野に外れ値や仮説検定の考え方、確率の分野に期待値の考え方が追加されるので、来年度以降に限ったことではないが教科書の内容から言葉の定義や意味、公式の正しい使い方を身につける必要がある。また、共通テストになってから文章量や計算量など短い時間でいろんなことを処理する力が求められているので、普段の学習から素早く正確な計算や長い文章から必要なことを正しく抜き取ることを心がけたい。GVでは公式の使い方はもちろん、文章の読み方や思考の流れなど参考書にはあまり書いていないような部分まで、試験本番自力で思いつくことができるように指導していきます。

数学担当 平安塁一