傾向と対策

共通テストで特徴的な、考察やグラフ、図の読み取りが多く出題された。問題を紐解いてしまえば多くの問題集で扱われている問題と同じ内容である。 そのため、問題文、図、グラフから読み取った情報をうまく処理することが高得点への鍵である 今回のテストでは計算量多く、回答時間が不足する生徒が多い印象を受ける。愚直に計算するのではなく、工夫を取り入れて計算の負担を小さくするトレーニングも今後は効果的になるかもしれない。出題範囲は例年通りであり変化はなかったが、二次試験に見られるような問題が出題されている 大問1で出題された限界イオン半径比などは、難易度が高めの二次試験によく見られる問題である。共通テスト対策では、マーク式の問題のみではなく、難易度の高い記述式問題集も触っていく必要があるだろう。また、共通テストになってからは平衡や反応速度の範囲がよく出題される。苦手な生徒が多い範囲なので十分対策を練ってから臨みたい。

 

第1問

大問1では基礎的な理論化学の問題が出題された。多くの問題は難易度が高くないが、約分しづらく計算に時間がかかる問題が多かった。ここで計算に時間を取られ、心理的に余裕がなくなることが多いのではないだろうか。そして、珍しく限界イオン半径比に関する問題が出題された。この問題は二次試験に出題されることが多い問題で、共通テスト対策のみをしていると経験しないままになる可能性がある。今回は難易度が低めな問題だったが、今後はより高難度な問題も視野に入れて対策していく必要があるだろう。

 

第2問

大問2では物質の変化、化学平衡の範囲から問題が出題された。共通テスト対策をしっかり行なった受験生であればよく見る形式の問題だったのではないだろうか。反応速度の比などに十分注意を払えば、点数を落としにくい大問であった。

 

第3問

大問3では例年通り無機化合物の範囲から出題されている。知識問題は見慣れたものが多い反面、問3では金属と水素の関係性を理解し、グラフの読み取りが必要になる問題であった。しかし、化学反応式を書けば、すぐに関係を理解できただろう。化学反応式を用いるとミスを減らし、物質間の関係性を明確に示せるため、ぜひ普段から化学反応式を描いて問題を解いて欲しい。

 

第4問

大問4も例年通り有機化合物の範囲から出題された。どの問題も見慣れた問題が多く、難しい大問ではなかった。時間が十分にある状況ではどの問題も正答率は悪くないと思うが、時間がない中で正確に問題を解くのは難しかったと思われる。

 

第5問

大問5では平衡の問題が出題された。特に後半の問題が、問題文を読み数式の意味を理解しなければ解けない問題だった。最後の最後でこの問題は、時間が足りなかった生徒にとっては厳しかっただろう。時間が残っている場合でも、問3Cの問題などは回答が難しい生徒も多いはずだ。問題文の例から法則を読み取り、それを未知のパターンに応用する力が求められている。