傾向と対策

今回が初めての共通テストとなり、試行調査の問題と同じような内容だと受験生にとっては厳しい結果もあるかも、と予想していたがそこまで平均点が下がることもなく、全体的には例年とそれほど変わってない印象を受けた。 共通テストにおける最も大きな変更となるのは、日常にある具体的な現象、道具などを物理的に考察して、その原理や応用について判断していく、といったものである。

 

それは今回では、ダイヤモンドの輝く原理、蛍光灯が点灯する原理、などがあたるが内容は高度だが数式で処理する問題は基本公式を使うものしかなく、光の全反射や原子のエネルギー準位を理解していれば定性的な問題であり正解にはたどり着ける問題だった。

 

もう一つ共通テストのおける問題内容の変更で気になるのは、実験により得られた誤差を含む現実的なデータから現象について考察していく問題である。今回はグラフから判断する問題はあったものの、表の数値から判断する問題はなかった。 こういった変更点は今回は受験生を苦しめる内容ではなかったが、次回以降も要注意であり物理を公式を覚えて使う練習だけにとどまるような勉強では高得点を取るのは難しいだろう。

 

ではどういう対策が必要かというと、もちろん物理現象を公式を使って定量的に処理する、というのは重要であるがその様々な物理現象について何が原因となってどう結果に影響を与えたかを常に考察していく姿勢を持たないといけない。公式はどう導出するのか、少し条件を変えたらどう結果が変わるのか、望ましい結果を導くためにはどういう工夫が必要なのか、この原理をどう利用して私たちの生活に役立ててるのか、などである。

 

具体的に言えば、ダイヤモンドがガラス玉より輝くのは全反射により入射した光の大部分が跳ね返ってくるからであり、ダイヤモンドそのものが輝いてるわけではない。どうカットすればより輝くのか研究を繰り返しあの美しい姿になったんだな、じゃあどんな形が最適なんだろう。または問2のBでは電磁誘導により電流が発生し磁場から力を受けて動き出すが、やがて導体棒の速度が等しくなることで磁束の変化がなくなってって電流が流れなくなったんだな。じゃあ斜面を上らせたらどうなるんだろう、摩擦があったら、導線が切れたら、、、どこを変化させれば目的とする運動が行えるのか。 日常生活で使っている道具の原理、あるいは当たり前の自然現象、身近なところから物理的な考察をしていく。知識として持つことは調べれば答えはすぐ出るかも知れない。もちろん全く予想つかないこともあるだろうし、見当違いの結果に終わることもあるだろう。が、考えるという行為が物理センスを格段に向上させる。

 

数学・理科担当 砂川多津男