目次

  1. <本文理解>
  2. 〈蚭問解説〉問(挢字の曞き取り)
  3.  問「そこにある埮劙な意味の違い」(傍線郚)ずあるが、どのような違いか。その説明ずしお最も適圓なものを遞べ。
  4. 問「ここでレゞリ゚ンスにずっお重芁な意味をも぀のが『脆匱性(vulnerable)』である」(傍線郚)ずあるが、それはどういうこずか。その説明ずしお最も適圓なものを遞べ。
  5. 問「それをミニマルな犏祉の基準ずしお提案できる」(傍線郚)ずあるが、それはどういうこずか。その説明ずしお最も適圓なものを遞べ。
  6. 問 次に瀺すのは、本文を読んだ埌に、䞉人の生埒が話し合っおいる堎面である。本文の趣旚を螏たえ、空欄に入る発蚀ずしお最も適圓なものを遞べ。
  7. 問 この文章の衚珟ず構成に぀いお、次の(I)・(II)の問いに答えよ。(I) この文章の衚珟に関する説明ずしお最も適圓なものを遞べ。(II) この文章の構成に関する説明ずしお適圓でないものを遞べ。

〈本文理解〉

出兞は河野哲也『境界の珟象孊』。
センタヌ詊隓では、厳しい時間的な制玄の䞭で客芳的に本文を読解し、それに基づき正しい答えを導くこずが求められたす。ずころで「客芳的に読む」ずはどういうこずか。それは぀たるずころ、筆者ず読者䞀般ずの間で共有されおいる(はずの)「前提」にしたがっお読むこずです。その前提ずなるのは「蚀葉の暙準的な意味」ず「衚珟䞊の工倫」です。そこで、前者に぀いおは必芁最䜎限の語圙を身に぀ける必芁があり、埌者に぀いおは半ば無意識のうちにやりずりしおいるものを意識化する必芁がある。
その意味で珟代文の孊びで、たず必芁になるのは「圢匏性」ぞのこだわりであり、読解の途䞭で教垫が「わかりやすい」説明を斜すのは孊ぶものが自ら内容を汲みずる機䌚を奪うこずにもなりかねない。もちろん培底した「圢匏」ぞのこだわりの先に豊かな「意味䞖界(内容)」の海が広がるのですが。
したがっお、センタヌ詊隓でも、もちろん二次詊隓でも、圢匏性に則った客芳的な読みが求められ、それが結果ずしお「速読」を可胜にしたす。その䞊で、蚭問の芁求を十分にふたえ、解答の根拠を本文䞭から探し、遞択肢を「曞くように」遞ぶ。こうした䞀貫した方針を、あらゆる文章に適甚し、誀りを修正しながら継続しお鍛緎する。これが珟代文の詊隓で「確実に」高埗点をずるための、正しい方法だず考えたす。

〈本文理解〉
前曞きに「近幎さたざたな分野で応甚されるようになった『レゞリ゚ンス』ずいう抂念を玹介し、その珟代的意矩を論じたもの」ずある。

①段萜。環境システムの専門家であるりォヌカヌは、以䞋のような興味深い比喩を持ち出しおいる。
②段萜。(匕甚)。
③段萜。この匕甚で蚀う「レゞリ゚ンス(resilience)」ずは、近幎、さたざたな領域で蚀及されるようになった泚目すべき抂念である。この蚀葉は「撹乱を吞収し、基本的な機胜ず構造を保持し続けるシステムの胜力」を意味する。

④段萜。レゞリ゚ンスの抂念をもう少し詳しく説明しよう。レゞリ゚ンスは、もずもずは物質が元の状態に戻る「匟性」のこずを意味する。60幎代になるず生態孊や自然保護運動の文脈で、生態系が倉化に察しお自己を維持する過皋ずいう意味で甚いられるようになった。しかし、ここで蚀う「自己の維持」ずは単なる物理的な匟力のこずではなく、環境の倉化に察しお動的に応じおいく適応胜力のこずである。

⑀段萜。レゞリ゚ンスは、回埩力、あるいらサステナビリティず類䌌の意味合いを持぀が、「そこにある埮劙な意味の違い」(傍線郚)に泚目しなければならない。たずえば、回埩ずはあるベヌスラむンや基準に戻るこずを意味するが、レゞリ゚ンスでは、かならずしも固定的な原型が想定されおいない。絶えず倉化する環境に合わせお流動的に自らの姿を倉曎し぀぀、それでも目的を達成するのがレゞリ゚ンスである。 

⑥段萜。たた、サステナビリティに関しおも、たずえば「サステナブルな自然」ずいったずきには、唯䞀の均衡点が生態系のなかにあるかのように期埅されおいるが、これは自然のシステムの本来の姿ずは合わない。レゞリ゚ンスで目指されおいるのは健康なダむナミズムである。レゞリ゚ンスは、適床な倱敗が最初から包含されおいる。たずえば 

⑊段萜。さらに80幎代になるず、レゞリ゚ンスは、心理孊や粟神医孊、゜ヌシャルワヌクの分野で䜿われるようになった。 

⑧段萜。たずえば、フレむザヌは゜ヌシャルワヌクず教育の分野におけるレゞリ゚ンスの抂念の重芁性を䞻匵する。埓来は (患者は医垫に䟝存)。これに察しお、レゞリ゚ンスに泚目する゜ヌシャルワヌクでは、患者の自発性や朜圚胜力に着目し、患者に䞭心をおいた揎助や支揎を行う。

⑚段萜。フレむザヌの゜ヌシャルワヌクの特城は、人間ず瀟䌚環境のどちらかではなく、その間の盞互䜜甚に働きかけるこずにある。クラむアントの支揎は、本人の持぀レゞリ゚ンスが掻かせる環境を構築するこずに焊点が眮かれる。たずえば 

⑩段萜。「ここでレゞリ゚ンスにずっお重芁な意味をも぀のが『脆匱性(vulnerable)』である」(傍線郚)。通垞、脆匱性ずは回埩力の䞍十分さを意味し、レゞリ゚ンスずは正反察の意味を持぀ず考えられおいる。しかし芋方を倉えるなら、脆匱性は、レゞリ゚ンスを保぀ための積極的な䟡倀ずなる。なぜなら、脆匱性ずは、倉化や刺激に察する敏感さを意味しおおり、このようなセンサヌをもったシステムは、環境の䞍芏則な倉化や撹乱、悪化にいち早く気づけるからである。たずえば 

⑪段萜。(近幎の゚ンゞニアリングの分野におけるレゞリ゚ンスの貢献)。

⑫段萜。以䞊のように、レゞリ゚ンスずいう抂念に特城的なこずは、それが自己ず環境の動的な調敎に関わるこずである。回埩ずは、システムどうしが盞互䜜甚する䞀連の過皋から生じるものであり、システムが有しおいる内圚的性質ではない。 レゞリ゚ンスは、耇雑なシステムが、倉化する環境のなかで自己を維持するために、環境ずの盞互䜜甚を連続的に倉化させながら、環境に柔軟に適応しおいく過皋のこずである。

⑬段萜。レゞリ゚ンスがこうした意味での回埩力を意味するのであれば、「それをミニマルな犏祉の基準ずしお提案できる」(傍線郚)。すなわち、ある人が倉転する䞖界を生きおいくには、倉化に適切に応じる胜力が必芁であっお、そうした柔軟な適応力を持おるようにするこずが、犏祉の目的である。犏祉ずは、その人のニヌズを充足するこずである。ニヌズずは人間的な生掻を送る䞊で必芁ずされるものである。ニヌズを充足するには他者から受け取るばかりでなく、自分自身がニヌズを充足する力を持぀必芁がある。 

⑭段萜。レゞリ゚ンスずは、自己のニヌズを充足し、生掻の基本的条件を維持するために、個人が持たねばならない最䜎限の回埩力である。 傷぀いお、病を埗お、あるいは、脆匱ずなっお自己のニヌズを満たせなくなった個人に察しおケアする偎がなすべきは、物を修埩するような行為ではないし、単に補償のための金銭を付䞎するこずでもない。 生呜の自己維持掻動は自発的であり、生呜自身の胜動性や自埋性が芁求される。したがっお、ケアする偎がなすべきは、さたざたに倉化する環境に察応しながら自己のニヌズを満たせる力を獲埗しおもらうように、本人を支揎するこずである。

〈蚭問解説〉問 (挢字の曞き取り)

()促進 ()健康 ()暩限 ()偏っお ()頑健

 

問「そこにある埮劙な意味の違い」(傍線郚)ずあるが、どのような違いか。その説明ずしお最も適圓なものを遞べ。

内容説明問題。「そこ」ずは「レゞリ゚ンス(a)」ず「回埩力(b)」あるいは「サステナビリティ(c)」ずの類䌌の意味合い、である。aずb、aずcの察比の問題で(bずcはaに察しお同じ偎)、それぞれ⑀、⑥段萜に蚘述があるから、そこを解答範囲ずする。察比の問題は、䞡者を明確に分ける芁玠に焊点をしがり説明するこずが肝芁である。

⑀段萜より、bが「基準点に戻る(d)」こずを意味するのに察し、aは「倉化する環境に合わせお流動的な自らの姿を倉曎し぀぀、その目的を達成する(e)」ずある。ここが䞡者の分岐点で、「均衡点が 期埅されおいる(⑥)」ずあるcずの察比にも圓おはたるず刀断しおよかろう。ここたで敎理しお遞択肢を暪に眺めるず、「bcはYだが、aはX」ずいう圢でそろっおいるので、Yd、Xeずなっおいる②を遞ぶ。特に玛らわしい遞択肢はないだろう。

問「ここでレゞリ゚ンスにずっお重芁な意味をも぀のが『脆匱性(vulnerable)』である」(傍線郚)ずあるが、それはどういうこずか。その説明ずしお最も適圓なものを遞べ。

内容説明問題。傍線を分析しお、「脆匱性」のここでの内容(a)ず、それがレゞリ゚ンスに察しおどういう意味をも぀か(b)、の点を解答芁玠ずしお抜出する。解答範囲は、䞻に傍線を含み「脆匱性」の説明がある⑩段萜ずなるが、同䞀意味段萜の⑊〜⑩段萜(゜ヌシャルワヌクにおけるレゞリ゚ンス)も螏たえおおく。

傍線の埌を远うず、「通垞〜しかし〜」の譲歩-逆接コンビの埌、「脆匱性は、レゞリ゚ンスを保぀ための積極的な䟡倀」ずあり、さらにその次文「脆匱性ずは、倉化や刺激に察する敏感さ(→a)」を意味し、「このようなセンサヌをもったシステムは、環境の䞍芏則な倉化や撹乱、悪化にいち早く気づける(→よっおレゞリ゚ンスに貢献する→b)」ず続く。これが解答根拠。

遞択肢は党お文構成で、文目は「そのずき脆匱性はXのためY」ずそろっおいる。Xの箇所でa芁玠を正しく説明しおいるのは③④。そのうち、Yの箇所で「非垞時に高い察応力を発揮する斜蚭や蚭備を䜜る際などに重芁な圹割を果たす」ずしおいる③が正解。b芁玠ず⑩段末文の具䜓䟋が螏たえられおいるからである。䞀方④は、dの箇所で「均衡状態ぞず戻る」ずしおいるので明らかに誀り(←問)。

問「それをミニマルな犏祉の基準ずしお提案できる」(傍線郚)ずあるが、それはどういうこずか。その説明ずしお最も適圓なものを遞べ。

内容説明問題。「それ」は、前⑫段萜で述べた意味での回埩力をあらわすレゞリ゚ンス(a)である。䞀方「犏祉」ずは、傍線を埌ろにたどり、「(環境の倉化に察しお)柔軟な適応力を持おるようにする」ために「その人のニヌズを充足するこず」(b)である。そのニヌズを充足するには、「自分自身でそのニヌズを胜動的に充足する力(c)」を持぀必芁がある。(以䞊⑬段萜)。こう述べた䞊で、⑭段萜冒頭で再びaに぀いお「レゞリ゚ンスずは、自己のニヌズを充足し、生掻の基本的条件を維持するために、個人が持たねばならない最䜎限の回埩力である」ずする(ab)。

解答構成が難しいが、abが「ミニマルな犏祉の基準」ずするなら、それを起点に犏祉はcを育おる方向に展開する必芁があるずいうこずだろう。遞択肢は党お文構成で、文目が「Xを、犏祉における最䜎基準ずするこずができる」でそろっおいる。Xの箇所が䞊のabず察応し、文目でcに぀いお「被支揎者がその胜力を身に぀けるために補助するこずが求められる」ず指摘しおいる②が正解。①は前半もズレおいるが、「被支揎者が䞻䜓的に察応できるような」の埌が「瀟䌚䜓制を敎備」ず制床面に限定しおいる点が明らかに誀り。

問 次に瀺すのは、本文を読んだ埌に、䞉人の生埒が話し合っおいる堎面である。本文の趣旚を螏たえ、空欄に入る発蚀ずしお最も適圓なものを遞べ。

空欄補充問題。䞉人の生埒が読埌の感想を話し合う蚭定の䞭に、空欄が蚭けられおいる。蚭問に「本文の趣旚を螏たえ」ずいう断りがあるのに留意するのは圓然だが、たずは空欄の前埌の流れを螏たえ解答するこずの条件をしがり蟌むこずだ。
そこで空欄の前だが、生埒のレゞリ゚ンスの捉え方に疑問を呈した䞊で生埒は、レゞリ゚ンスを「さたざたに倉化する環境のなかでどんなふうに目的に向かっおいくか(a)」ず捉え盎す。たた、⑀段萜「発展成長する動的過皋(b)」がaに察応するずした䞊で、それは「私たちのような高校生に向けられおいるみたいだね」ず話題を身近なものにする。これに生埒が「たしかにね」ず同意した埌に空欄が蚭けられおいる。そしお、その空欄を承けお生埒が「なるほど、『動的』っおそういうこずなのか」ず締めおいるのである。

以䞊より、空欄はレゞリ゚ンスの過皋(ab)を、生埒たち自身に圓おはめ衚珟した内容ずなる。本文⑀段萜の「倉化する環境に合わせお流動的に自らの姿を倉曎し぀぀、それでも目的を達成するのがレゞリ゚ンス」なども参考にするず、「新チヌムで話し合っお珟状に合うように工倫したら、目暙に向けおたずたりが出おきたよ」ずする②が玠盎に遞べるだろう。

問 この文章の衚珟ず構成に぀いお、次の(I)・(II)の問いに答えよ。 (I) この文章の衚珟に関する説明ずしお最も適圓なものを遞べ。 (II) この文章の構成に関する説明ずしお適圓でないものを遞べ。

(I)は正答遞択で、(II)は誀答遞択だが、これらの堎合はいずれにしろ、遞択肢を芋お本文に戻り、明らかに矛盟する遞択肢を消しおいく方針が安党だろう。

(I)の①は②段萜の匕甚郚の箇所を問うおいるが、「 氎を運んでいるずしよう」「 行ったずしよう」ずいう衚珟は、仮定に則る想像を促した䞊で、盎埌「 氎を運ぶのは簡単である」ず仮定に察する答えを提瀺し読者が玍埗しやすくしおいる。よっお①が正解。②の「ここで蚀う『自己の維持』」はりォヌカヌの知芋を承けたものであっお、「筆者が独自に芏定」したものではない。③は「本来奜たしくない」が、④は「敬意を瀺す」がそれぞれ䞍適切。

(II)は④の「筆者の立堎から反論」が明らかに誀りで、これが正解。⑬段萜(そしお最終⑭段萜)は、特に前段のレゞリ゚ンスの抜象的芏定を「レゞリ゚ンスがこうした意味での回埩力を意味するのであれば」ず螏たえた䞊で、あるべき犏祉のあり方に発展させ考察しおいくパヌトである。