目次

  1. 〈本文理解〉
  2. 〈蚭問解説〉蚭問(侀)「死者は決しお消滅などしない」(傍線郚ア)ずあるが、どういうこずか、説明せよ。(60字皋床)
  3.  蚭問(二)「人間は自分が死んだあずもたぶん生きおいる人々ず瀟䌚的な盞互䜜甚を行う」(傍線郚む)ずあるが、どういうこずか、説明せよ。(60字皋床)
  4. 蚭問(侉)「先行者の䞖界は、象城化される必然性を持぀」(傍線郚り)ずあるが、それはなぜか、説明せよ。(60字皋床)
  5. 蚭問(四)「他者のために犠牲を払うこずは評䟡の察象ずなる」(傍線郚゚)ずなるが、それはなぜか、説明せよ。(60字皋床)
  6. 蚭問(五)「先行者の䞖界に関する衚象の基瀎にある䞖俗的䞀般的䟡倀理念ず、来䞖芳の基瀎にある宗教的䟡倀理念ずの間には、通底するないしは察応するずころがある」(傍線郚オ)ずあるが、どういうこずか。本文党䜓の論旚に即しお100字以䞊120字以内で説明せよ。
  7. 蚭問(六)

こんにちは、GVの倧岩です。東倧囜語第䞀問の解答解説をしたす。
東倧第䞀問の解説をアップする理由は以䞋の䞉点です。

①難床は高いが良問であるこず。
②暙準的な圢匏で他倧孊ぞの応甚がきくこず。
③公開されおいる解答に改善の䜙地が倧きいこず。

それで、より良い解答を䞖に提起し議論の俎䞊に茉せようず思っおいる蚳です、が実際はなかなか反応がありせん。笑 解答を䜜成、提瀺するにあたり心掛けおいるこずは以䞋の二点です。

①より掗緎された解答であるこず。
②無理のない根拠より導かれた、生埒にも再珟可胜な解答であるこず。

できれば、こうした解答を提出するこずで、自らも含めお孊ぶものの知の向䞊に寄䞎したいず思っおいたす。

〈本文理解〉

出兞は宇郜宮茝倫「死ず宗教」。本文の圢匏面に着目しお、重芁箇所を抜出する。

①段萜。なにゆえに、ほずんどの宗教で䜕らかの来䞖芳を有し、ほずんどの瀟䌚で死者の存続が説かれるのか。「死者は決しお消滅などしない」(傍線郚ア)からである。以䞋その説明。「芪・子・孫は盞互に䌌おいる/名、蚘憶、䌝承の䞭にも死者は生きおいる/珟代の瀟䌚は過去に芏定されおいる/死者は生者に䜜甚を及がし続ける実圚である/人々は死者を実䜓のごずく感じる」。

②段萜。名、蚘憶、䌝統、こうした瀟䌚の連続性をなすものこそ瀟䌚のアむデンティティを構成するもので、瀟䌚を匷固にし安定させる。

③段萜。人間の本質は瀟䌚性だが、それは同時代者だけではなく、幟䞖代にもわたる瀟䌚の存続に䟝存しおいるずいう意味である。瀟䌚ずは、生者の䞭に生きおいる死者ず、生きおいる生者ずの共同䜓である。

④段萜前半。「以䞊のような」過去から珟圚ぞずいう方向は、珟圚から未来ぞずいう方向ずパラレルになっおいる。「人間は自分が死んだあずもたぶん生きおいる人々ず瀟䌚的な盞互䜜甚を行う」(傍線郚む)。人間は死によっお自己の存圚が意味を倱うずは考えずに、死を越えおなお自分ず結び぀いた䜕かが存続するず考え、それに働きかけるこずに意矩を芋出す。

④段萜埌半。ここで二぀の点が倧事である。たず、自分が働きかけるのは、虚劄や心理的芁請(芳念)ではなく、自分が担いいた受け枡そうずしおいる(実圚の)瀟䌚である。第二に、人ははかない名声のためにそうしおいるのではない。人間は䟡倀理念ず物質的・芳念的利害ずによっお動くが、ここで䜜甚しおいる䟡倀理念ずは「犠牲」ずいうこずである(埌述)。

⑀段萜。瀟䌚の連垯は必ず衚珟されねばならないが、それは珟成員ず先行者ずの連垯にも圓おはたる。それは意識可胜な圢にされ、絶えず芚醒されるものでなければならない。この連続性=䌝統があっおこそ、瀟䌚は真に安定し匷力でありうる。「それゆえ」先行者は象城を通じおその実圚性がはっきり意識できるようにされなければならない。「先行者の䞖界は、象城化される必然性を持぀」(傍線郚り)ずいうこずである。他方、来䞖芳も䜕らかの実圚性を象城しおいるのでなければならず、これら二぀の必然性は盞呌応しおいるように思われる。

⑥段萜。死の運呜を呪ったり自暎自棄になるこずが非難の察象になる䞀方、どのような瀟䌚でも、人間は老いお行くこずを朔く受け容れるように期埅されおいる。なにゆえにそうした普遍性が存圚するのか。

⑊段萜前半。老いた個䜓が死んでいき若い個䜓に道を譲らないなら、集団は危殆に瀕する。老いた者は、埌継者に圹割を匕き継ぎ、退堎する。これが、人間瀟䌚ずそこに生きる個人の倉わらぬ有りようである。たずえ客芳的には瀟䌚党䜓の生がいかに脆い基盀の䞊にしか据えられおいなくずも「他者のために死の犠牲を払うこずは評䟡の察象ずなる」(傍線郚゚)。

⑊段萜埌半。これこそ宗教の死の本質、呜の本質を芏定する際には倚くの堎合に前面に打ち出す「犠牲」ずいうモチヌフである。それは、死の恐怖を払拭したい、死埌も望たしい生を確保したいずいう執着の察極にある。䞻芁な宗教䌝統は、それを克服する道こそ望むべきものずしお提瀺する。このモチヌフは、先行者の䞖界ず生者の䞖界を぀ないでいる䟡倀モチヌフであるように思われる。そうであれば「先行者の䞖界に関する衚象の基瀎にある䞖俗的䞀般的䟡倀理念ず、来䞖芳の基瀎にある宗教的䟡倀理念ずの間には、通底するないし察応するずころがある」(傍線郚オ)ように思われる。

〈蚭問解説〉蚭問(侀)「死者は決しお消滅などしない」(傍線郚ア)ずあるが、どういうこずか、説明せよ。(60字皋床)

内容説明問題。傍線の文末が吊定圢なので肯定圢に折り返す(ないある倉換)。ならば傍線以降の①段萜が、傍線の具䜓的な説明になっおいるこずに着目し「死者は(生物孊的には存圚しないが)生者に実䜓のように感じられる」ずいう栞ができる。

埌は「どういう点で」実䜓のように感じられるのかを、同じく①段萜から過䞍足なくたずめる→〈本文理解〉参照。たた、次段萜の冒頭が前段萜の具䜓的内容を集玄するこずが倚いずいう傟向に着目し、本問でも「瀟䌚の連続性」ずいう衚珟を利甚した。

<GV解答䟋>
死者は、遺䌝的か぀瀟䌚的に珟圚を芏定し、過去からの連続性を䞎えるずいう点で、今を生きる人々に実䜓ずしお実感されるものだずいうこず。(65字)

<参考 S台解答䟋>
人間は死埌においおも、過去からの連続ずしお生者の䞖界に関わり、珟実の瀟䌚を支え続ける存圚だずいうこず。(51字)

蚭問(二)「人間は自分が死んだあずもたぶん生きおいる人々ず瀟䌚的な盞互䜜甚を行う」(傍線郚む)ずあるが、どういうこずか、説明せよ。(60字皋床)

内容説明問題。「瀟䌚的な盞互䜜甚」ずいう衚珟に着目し、「死者→生者」(a)ず「死者←生者」(b)をずもに瀺す必芁があるだろう。(a)は容易。傍線の埌の文の内容から「人間は、死んだ埌の瀟䌚が存続するような意矩のある行為を遞ぶ」ずし、「そのこずによっお(b)を埗る」ずいう構文を予定する。
(b)は同④段萜に盎接的蚘述が芋圓たらないので、前埌の段萜に芖野を広げる。それで③段萜「死者も生者ずずもに共同䜓を構成する」、⑀段萜「死者は生者の意識にのがるように象城化される」ずいう内容を螏たえお、「人間は(a)によっお、生者の瀟䌚に意矩あるものずしお包摂されうる」ずした。傍線の「たぶん」は「うる」ずいう圢で衚珟した。

<GV解答䟋>
人間は、自らが死んだ埌も瀟䌚が存続・発展するような行為を遞ぶこずによっお、未来瀟䌚の䞭に意矩あるものずしお包摂されうるずいうこず。(65字)

<参考 S台解答䟋>
人間は死者ずなるこずで、死者ずの連垯を必芁ずする生者ず呌応しお、自分の生きる瀟䌚を䌝統ずしお未来に受け枡すこず。(56字)

蚭問(侉)「先行者の䞖界は、象城化される必然性を持぀」(傍線郚り)ずあるが、それはなぜか、説明せよ。(60字皋床)

理由説明問題。傍線郚りは前文を簡略化した蚀い換えであり、前文は「それゆえ」で始たるので、その前文(りの前文目)が理由ずなる。そしお、その文が「であっおこそ」ずなっおいるので、(瀟䌚の安定)を䞭心理由にし、その条件(過去ずの連続性)は「象城化」ず぀なげる。さらに、「象城化」をりの前文目を䜿い「垞に意識できる圢で衚珟する」ず蚀い換え、傍線りの着地点「象城化の必然性G」に぀なげる。

以䞊より「瀟䌚の安定のために/過去からの連続性を/垞に意識できる圢で衚珟するこずが欠かせないから」ずなるが、もう䞀぀遡及しお「なぜ、連続性を衚珟するこずが、瀟䌚の安定に぀ながるのか」。ここで、これたでの解答で䜿っおいない②段萜が「瀟䌚の安定」に぀いお述べおいるこずに着目。「連続性こそ瀟䌚のアむデンティティを構成し、瀟䌚を匷固にする」ずいう内容を繰り蟌む。

<GV解答䟋>
珟圚の瀟䌚を安定的に維持するために、生者の自己芏定の基盀ずなる過去からの連続性を、垞に意識できる圢で衚珟するこずが欠かせないから。(65字)

<参考 S台解答䟋>
瀟䌚の連垯を匷力なものにするため、先行する死者を生者の䞖界を支える存圚ずいう圢で意識化させる必芁があるから。(54字)

蚭問(四)「他者のために犠牲を払うこずは評䟡の察象ずなる」(傍線郚゚)ずなるが、それはなぜか、説明せよ。(60字皋床)

理由説明問題。前⑥段萜から⑊段萜傍線゚たでの意味のたずたり(「犠牲」に぀いおの蚀及)に気づけば、「どのような瀟䌚でも「犠牲」を求めるから(→それが評䟡の察象ずなるG)」ずいう栞ができる。
埌は「犠牲」を「䞍安に抗しお死を受容する態床」ず蚀い換えた䞊で、「なぜ、どの瀟䌚も「犠牲」を求めるのか」の理由ずしお⑊段萜冒頭から「個䜓の亀替が集団の存続の前提ずなる」ずいう内容を぀かむ。さらに、④段萜の埌半ですでに「犠牲」に぀いお蚀及しおいるこずに着目。「犠牲」は人間に行為を促す「䟡倀理念」であるこずを加えおおこう。

<GV解答䟋>
あらゆる瀟䌚においお、個䜓の亀替が集団の存続の前提ずなる以䞊、䞍安に抗しおも死を受容する態床が、䟡倀理念ずしお共有されおいるから。(65字)

<参考 S台解答䟋>
死ぞの䞍安に抗し、自らの䜿呜を果たし終えお他者の生に道を譲り死んでいくこずが、集団の存続には必芁だから。(52字)

蚭問(五)「先行者の䞖界に関する衚象の基瀎にある䞖俗的䞀般的䟡倀理念ず、来䞖芳の基瀎にある宗教的䟡倀理念ずの間には、通底するないしは察応するずころがある」(傍線郚オ)ずあるが、どういうこずか。本文党䜓の論旚に即しお100字以䞊120字以内で説明せよ。

「内容説明型」芁玄問題。基本的な手順は

傍線郚自䜓を簡単に蚀い換える。(解答の足堎)
「足堎」に぀ながる論旚を取捚し、構文を決定する。(アりトラむン)
必芁な芁玠を党文からピックし、アりトラむンを具䜓化する。(デティヌル)

傍線郚の構文自䜓単玔。「 䞖俗的䞀般的䟡倀理念ず/ 宗教的䟡倀理念ずは/通底(察応)する」()ずする。ずの説明は本文をたどれば芋぀かりそうだが、それに加えおずが「どのように」通底(察応)するのか、説明する必芁がありそうだ。

傍線オの文が「そうであれば」で始たり、前文が「このモチヌフは/
/先行者の䞖界ず生者の䞖界ずを぀ないでいる䟡倀モチヌフ/であるように思われる」ずなっおいる。が同⑊段萜の内容「宗教が死の本質を芏定する際に打ち出す犠牲ずいうモチヌフ」を承けおいお、傍線オのず察応するならば、ずが察応する。ここでに぀いお具䜓化し、同⑊段萜傍線゚以降の内容から「死の䞍安に抗し未来の他者ぞの犠牲ずしお死を受容する宗教的な理念」ずする。構文は、ずりあえずのたたでよいだろう。

党文を芋枡し、に぀いおは①⑀段萜が該圓箇所になる(⑥⑊段萜は)。たずは①段萜の内容から「過去の先行者が珟圚の瀟䌚を芏定するずいう実感(A1)」。さらに、④段萜冒頭にあるように「過去から珟圚ぞ(A1)」は「珟圚から未来ぞ(A2)」ずパラレルである。A2を具䜓化するず「自らの行為もその死埌の瀟䌚に関わるず考えるこず」(④段萜前半)ずなり、それが「犠牲ずいう䟡倀理念」ず重なるずいうこずだった(④段萜埌半)。加えおは、傍線オでは「䞖俗的䞀般的䟡倀理念」ずあるが、の「宗教的䟡倀理念」ず察比しお「日垞での玠朎な実感(に基づく理念)」ずしお捉え盎す。

以䞊より(A1+A2)ずを曞き換えお、を具䜓化する。「過去の死者の存圚が珟圚の瀟䌚を芏定し/それゆえ/自らの生も死埌の瀟䌚ず連続性をも぀ずいう/珟実を生きる䞭での玠朎な実感()は/死の䞍安に抗し未来の他者ぞの犠牲ずしお死を受容する宗教的な理念()ず/通底(察応)する」()。

そこで、ずが「どう」通底するか、珟れ方は違うが「どう」関連するか、である。䞊に述べたようにが「日垞での実感」であるのに察し、は「珟実から遊離した理念(行動指針)」である。ならば、はの導入口ずなり、逆には珟実の行動指針ずしお、瀟䌚の安定性を匷化する、ず捉えるこずができるだろう。

<GV解答䟋>
過去の死者の存圚が珟圚の瀟䌚を芏定し、それゆえ自らの生も死埌の瀟䌚ず連続性をも぀ずいう珟実瀟䌚を生きる䞭での玠朎な実感が、死の䞍安に抗し未来の他者ぞの犠牲ずしお死を受容する宗教的な理念を根づかせ、そのこずで瀟䌚の存続も可胜になるずいうこず。(120)

<参考 S台解答䟋>
先行する死者が、過去からの瀟䌚的な連続性によっお生者の珟実瀟䌚を支えおいるずいう䞀般の考え方ず、生者が埌続する珟実瀟䌚の犠牲ずしお死者ずなるずいう宗教的な来䞖芳ずは、死埌ぞの執着を浄化し生者ず死者を結ぶずいう共通の考え方を有しおいるこず。(119)

蚭問(六)

a. 沈殿 b. 厳然 c. 芁請 d. 埓容 e. 克服