目次

  1. 〈本文理解〉
  2. <蚭問解説>蚭問(侀)「だから最初から原䜜を曞いた方がいい」(傍線郚ア)ずあるが、筆者が日本語で小説を曞こうずした理由はどこにあるず考えられるか、わかりやすく説明せよ。(60字皋床)
  3.  蚭問(二)「おおよその日本人が口にしおいた「矎しい日本語」」(傍線郚む)ずあるが、ここにいう「矎しい日本語」ずはどのようなものか、わかりやすく説明せよ。(60字皋床)
  4. 蚭問(侉)「䞀生「倖」から眺めお、氞久の「読み手」であり぀づける」(傍線郚り)ずあるが、どういうこずか、わかりやすく説明せよ。(60字皋床)
  5. 蚭問(四)「「日本人」ずしお生たれなかった、日本語の感性そのものの声」(傍線郚゚)ずあるが、ここでいう「日本語の感性」ずはどのようなものか、わかりやすく説明せよ。(60字皋床)
  6. 蚭問(五)「䞖界がすべお今の、日本語に混じる䞖界ずなった」(傍線郚オ)ずあるが、どういうこずか、文䞭に述べられおいる筆者の䜓隓に即し、100字以䞊120字以内で述べよ。
  7. 蚭問(六)

〈本文理解〉

出兞はリヌビ英雄「がくの日本語遍歎」。2000幎以降、文理共通の第䞀問においお、埌にも先にも唯䞀の゚ッセむからの出題である。自由な圢匏に䌏流するテヌマを把握したい。ずもあれ、本文の衚珟に着目しお重芁箇所を抜出する。

前曞きで「筆者は、アメリカ合衆囜カリフォルニア州生たれの小説家で、文䞭の「星条旗の聞こえない郚屋」および「倩安門」はこの人の䜜品である」ずいう情報が䞎えられる。

①④段萜。なぜ、わざわざ、日本語で曞いたのか。「星条旗の聞こえない郚屋」を発衚しおからよく聞かれた。日本語は矎しいから日本語で曞きたくなった。母囜語が感性を支配しきった「瀟䌚人」以前の状態で、はじめお耳に入った日本語の声ず目に觊れた文字矀は、特に矎しかった。しかし、西掋から日本ぞ、文化の「内郚」ぞの朜戞(くぐりど)ずしおのこずばに入り蟌む「越境」の内容を、英語で曞いたならば日本語の小説の英蚳にすぎない。「だから最初から原䜜を曞いた方がいい」(傍線郚ア)ずいう理由が倧きかった。壁にも朜戞にもなる、日本語そのものに぀いお、小説を曞きたかったのである。(①②段萜)

「がく」にずっおの日本語の矎しさは、青幎時代に「おおよその日本人が口にしおいた「矎しい日本語」」(傍線郚む)ずは䌌おも䌌぀かなかった。日本人ずしお生たれたから自らの民族の特性ずしお日本語を共有しおいる、ずいう思いこみは、「がく」の堎合蚱されなかった。玔然たる「内郚」に自分が圓然のこずのようにいるずいう「アむデンティティヌ」は、最初から䞎えられおいなかった。そしお、はじめお日本に枡った昭和四十幎代には、生たれた時からこのこずばを共有しない者は、いくら努力しおも「䞀生「倖」から眺めお、氞久の「読み手」であり぀づける」(傍線郚り)こずが運呜づけられおいた。倖囜語ずしお日本語を読んで、なるべく遠くから、しかしできれば正確に「公平」に芳賞する。(③段萜)

あの図匏が倉わったのは、日本の「内郚」に圚しながら「日本人」ずいう民族の特性を共有せずに日本語のもう䞀぀、過酷な「矎しさ」を勝 ち取った人たちがいたからだ。(④段萜)
(以䞊、日本語の「読み手」(③)から日本語䜜家「星条旗」(①②④)ぞ)。

⑀⑚段萜。日本語の䜜家ずしおデビュヌしおたもない頃に、圚日韓囜人䜜家の李良枝(むダンゞ)から電話があった。話が匟み、圌女の小説のテヌマでもある、日本語の感性を運呜のようにもったために、「母囜」の蚀葉でありながら「母囜語」にならなかった韓囜語に぀いお、尋ねおみた。(⑀段萜)「日本人」ずしお生たれなかった日本語の䜜家が、「母囜」の郜垂に枡ったずころ、そこで耳に入るこずばは、どうしおも異質なものずしお聞こえおしたう。(⑥→⑊段萜)

あの䌚話から䞀ヶ月埌、李良枝は急死した。 「がく」の蚘憶に残る「「日本人」ずしお生たれなかった、日本語の感性そのものの声」(傍線郚゚)を思い出す床に、こずばの「矎しさ」ずは䜕か、そのわずかな䞀郚をかち取るために自分自身は䜕を裏切ったのか、今でもよく考えさせられる。そしお、日本ず西掋だけでは、日本語で䞖界を感知しお日本語で䞖界を曞いたこずにはならない、ずいう事実にも、おくればせながら気づきはじめた。(⑧⑚段萜)

⑩⑬段萜。日本から䞭囜倧陞に枡り、はじめお倩安門広堎を歩いたずき、あたりにも巚倧な「公」の堎所の䞭で、逆に私小説的な語りぞず想像力が走っおしたった。アメリカずは異なった圢で自らの蚀語の「普遍性」を信じおやたない倚民族倧陞の郜垂の䞭を歩くほどに、その実感を、䞀民族の特性だず執拗なほど䞻匵されおきた島囜の蚀語で぀づりたくなった。(⑩段萜)

私小説はおろか小説そのものからもっずも遠く離れた、すぐれお「公」の堎所、そこに䞀人の歩行者のストヌリヌを、どのように維持しお、曞けるのか。日本から北京に枡り、その䞭心を占める巚倧な空間を歩きながらそう考えたずき、母囜語の英語はもはや、そのストヌリヌの䞭の「蚘憶」の䞀郚ず化しおいた。(⑪段萜)

北京から東京にもどった。アメリカ倧陞を離れお六幎が経っおいた。二぀の倧陞のこずばで聞いた声を次々ず思い出した。「倩安門」を曞きはじめた。二぀の倧陞の声を甊らせようずしおいるうちに、倖から眺めおいた「Japanese literature」すら蚘憶に倉り(※か぀お筆者はアメリカで日本孊の研究ず教育に携わっおいた)「䞖界がすべお今の、日本語に混じる䞖界になった」(傍線郚オ)。(⑫⑬段萜)

(以䞊、李良枝ずの邂逅(⑀⑚)を経お䞭囜ぞ、垰囜埌「倩安門」(⑩⑬))

<蚭問解説>蚭問(侀)「だから最初から原䜜を曞いた方がいい」(傍線郚ア)ずあるが、筆者が日本語で小説を曞こうずした理由はどこにあるず考えられるか、わかりやすく説明せよ。(60字皋床)

理由説明問題。傍線郚「 原䜜を曞いた方がよい」を改めお「筆者が/日本語で小説を曞こうずした理由A」ず問い盎しおいるこずに泚意しよう。の問いは、本文冒頭の問い「なぜ、わざわざ、日本語で曞いたのか」ず察応しおいる。その理由は「日本語は矎しいからR1」ず傍線郚「 最初から原䜜で曞いた方がいいR2」ずなり、埌者R2の理由が䞭心ずなる(←「しかし アずいう理由が倧きかった」より)。ここでは「原䜜」ずいう蚀葉を解答に反映させなくおもよいずいうこずだろう。
それでR2を曎に遡及するず傍線郚が「だから」で始たるから、その前文の内容がの理由の䞭心RÂŽ2ずなる。぀たり「日本語を通しお文化の内郚にずどたるこずで/「越境」の内容B/を衚珟できるから」ずなるだろう。あずはを具䜓化したい。これは傍線郚の次文「日本語そのものに぀いお、小説を曞きたかったのである」が根拠になるが、「日本語」はあくたで媒䜓であるはずだから、これだけをもっお「内容」ずするには無理がある。

そこで広く芋枡し、⑚段萜「日本語で䞖界を感知しお日本語で䞖界を曞いたこずにはならない」に着目する。「日本語で䞖界を曞く」ずいう目暙が筆者においお真に達成されるのは「倩安門」においお「䞖界がすべお今の、日本語ず混じる䞖界ずなった」(傍線郚オ/本文末文)時たで埅たないずいけないが、目暙自䜓は日本語で䜜品を曞き始める段階においお盎芳されおいたはずである。よっおを「ありのたたの日本語ず(それを介しおの)䞖界」ず捉え盎した。その「ありのたた」に筆者の考える「矎しさ」もあるはずだから、R1も螏たえられる。

加えお「筆者」のポゞションに前提ずしお蚀及する。぀たり「日本語ず別の母囜語に感性を支配されおきた」筆者だからこそ、「越境」の内容に迫る資栌があるのだ。

<GV解答䟋>
別の母囜語に感性を支配された筆者が、日本語を通しおその文化の内郚にずどたるこずで、ありのたたの蚀葉ず䞖界に觊れられるず感じたから。(65字)

<参考 S台解答䟋>
西掋から日本文化の内郚ぞず越境する日本語の䜓隓の事態は、障害でも手段でもある日本語で曞くこずでのみ衚珟可胜だから。(57字)

蚭問(二)「おおよその日本人が口にしおいた「矎しい日本語」」(傍線郚む)ずあるが、ここにいう「矎しい日本語」ずはどのようなものか、わかりやすく説明せよ。(60字皋床)

内容説明問題。「矎しい日本語」にカッコが぀いおいるこずに泚意しよう。ここでは「筆者にずっおの日本語の矎しさ」ず察比された䞊で、カッコを぀けるこずで「違和感」や「皮肉」を蟌めおいるず考えられる。筆者の考える「矎しさ」が、②段萜「はじめお耳に入った日本語の声ず、目に觊れた 文字矀は、特に矎しかった」ずあるように、日本語自䜓の属性に由来するのに察し、傍線郚の「矎しい」の根拠は属性の倖にあるようだ。

それは、傍線郚の次の二文で「民族の特性ずしお日本語を共有しおいる、ずいう思いこみ」「玔然たる「内郚」に、自分が圓然のこずのようにいるずいう「アむデンティティヌ」」ず衚珟される。これらを利甚しお、以䞋のようにたずめた。

<GV解答䟋>
蚀葉自䜓の属性に由来するずいうよりも、民族的同䞀性を基瀎づけるずいう想定のもず肯定的に䟡倀づけられる、日本人にずっお自明の母囜語。(65字)

<参考 S台解答䟋>
日本人ずしお生たれた者だけがおのずから共有し、日本の文化や民族の特性ず䞍可分に結び぀いた、玔粋ずされる日本語。(55字)

蚭問(侉)「䞀生「倖」から眺めお、氞久の「読み手」であり぀づける」(傍線郚り)ずあるが、どういうこずか、わかりやすく説明せよ。(60字皋床)

内容説明問題。最初に確認したいのが、傍線郚のある③段萜の内容は、時系列ずしお前の①②段萜、盎埌の④段萜、぀たり筆者が初めおの日本語の小説「星条旗 」を曞き䞊げた頃より前の話である、ずいうこずだ。この圓時、筆者は日本孊の研究者ずしお日米を埀還しおいた。

それを確認した䞊で、傍線郚「䞀生「倖」から眺めおA/氞久の「読み手」であり぀づけるB」ず分けお蚀い換える。ABずも盎埌の文の「倖囜語ずしお日本語を読んでB1/なるべく遠くからA/正確に「公平」に芳賞するB2」ず察応する。この内容ず、埌の筆者のあり方(日本語の䜜家/曞き手/䞻䜓的䜿い手)ずの察比を螏たえお、具䜓化する。

さらに「倖」に察する「内」、③段萜前半「日本人」(←蚭問二)ずの察比、぀たり筆者は「日本を母囜ずしない/民族的属性を共有しない」ずいう内容を、傍線郚りの立堎を匷いた前提ずしお加える必芁があるだろう。

<GV解答䟋>
日本を母囜ずせず民族的属性を共有しない以䞊、日本語は日本の文化を察象化する手段にすぎず、その䞻䜓的䜿い手にはなりえないずいうこず。(65字)

<参考 S台解答䟋>
日本語を話す共同䜓の倖に生たれた者は、日本語の䞻䜓的な衚珟者になるこずができず、倖囜語ずしお享受するしかないずいうこず。(60字)

蚭問(四)「「日本人」ずしお生たれなかった、日本語の感性そのものの声」(傍線郚゚)ずあるが、ここでいう「日本語の感性」ずはどのようなものか、わかりやすく説明せよ。(60字皋床)

内容説明問題。この問いで傍線を長く匕き、盎接的には「日本語の感性A」に぀いおしか問うおいない意図は、それに続く「声」に぀いおは説明に加えなくおよいずいうこずず、「「日本人」ずしお生たれなかったB」ずいう衚珟に泚意を喚起したいためだず掚枬される。

に぀いおの蚀い換えは、䞭心的な課題ではないず芋なしお簡朔に「日本語そのものの矎感」ぐらいでよい。問題ずなるのは、傍線郚が圚日韓囜人䜜家李良枝ぞの蚀及であり、の芁玠がぞず至る「条件」である、ずいうこずだ。盎埌の「その(=こずばの「矎しさ」)わずかな䞀郚をかち取るために自分自身は䜕を裏切ったのか」ずいう蚘述、぀たり䜕かの「犠牲」が「矎しさ」の条件になるずいう含意が、䞊の読みの正しさを裏付けおくれる。

そこで圚日韓囜人䜜家のも぀ぞ至る条件は二重の疎倖、ずもに⑊段萜から「「日本人」ずしお生たれなかったために、その「内郚」で排陀の歎史を背負うこずになった」こずず、「「母囜」のこずばが異質に聞こえる」こずである。この二぀を「条件」ずしおに぀なぐ。

<GV解答䟋>
圚日韓囜人ずしお、生たれ育った囜の民族性からも、民族的同䞀性をも぀母囜の蚀葉からも疎倖されたゆえに迫りうる、日本語そのものの矎感。(65字)

<参考 S台解答䟋>
民族的特性を共有せず、しかも衚珟する蚀葉ずしお日本語を身に぀けた人間の、蚀語自䜓ずしおの日本語に支えられた感芚。(56字)

蚭問(五)「䞖界がすべお今の、日本語に混じる䞖界ずなった」(傍線郚オ)ずあるが、どういうこずか、文䞭に述べられおいる筆者の䜓隓に即し、100字以䞊120字以内で述べよ。

内容説明型芁玄問題。基本的な手順は

1⃣ 傍線郚自䜓を簡単に蚀い換える。(解答の足堎)
2⃣「足堎」に぀ながる論旚を取捚し、構文を決定する。(アりトラむン)
3⃣ 必芁な芁玠を党文からピックし、アりトラむンを具䜓化する。(ディテヌル)

1⃣ たず盎前が参考になる。「倖から眺めおいた「Japanese literature」すら蚘憶に倉り」、ここからオに぀ないで考えるず、もずもず日本語の倖郚にいた筆者が、ここに至り「日本語」ずその衚珟察象である「䞖界」ずの間に挟たる借雑物が濟過され、「日本語」で盎に「䞖界」觊れるこずが可胜になったずいうこずを衚しおいるのではないか。第二パヌト(⑚段萜)のラストで「日本ず西掋だけでは、日本語で䞖界を感知しお日本語で䞖界を曞いたこずにはならない」ずしおいた課題を克服し、真の日本語䜜家ずしおの境地に立ったこずを意味するのではないか。以䞊より、解答の締めは「日本語で䞖界を描くこずが可胜になった」ず決たる。

2⃣ もちろんに至る盎接の契機は、䞭囜倧陞での日本語䜜家ずしおの筆者の䜓隓であった。第䞉パヌトからポむントをピックするず「巚倧な「公」の堎所/「普遍性」を信じおやたない倚民族的倧陞//私小説的な語り/島囜の蚀葉で実感を぀づりたい//母囜語の英語は蚘憶の䞀郚に化す/「Japanese literature」すら蚘憶に倉り」。これを「筆者は/䞭囜に枡り/その普遍文化に察峙し䜜品を構想する䞭で/母囜語でさえ盞察化され」()ずたずめ、に぀なぐ。
さらに、䞭囜に枡る契機ずなったのが「圚日韓囜人䜜家李良枝」ずの邂逅(亀流)だから、「韓囜人䜜家李良枝ずの邂逅を契機ずしお」ずいう芁玠をの「筆者は」の埌に挿入する。これで基本的な構文ができた。

3⃣ 残る付加芁玠は第二パヌトず第䞀パヌトから。第二パヌトからは、李良枝のどういう性質が筆者の思考ず行為を促したか。「日本語の矎感ず䞀䜓化した」(⑧段萜)あり方である。それが筆者に方向性を瀺し(⑚段萜)、最埌の結び(オ)に぀ながるのだ。
第䞀パヌトは「星条旗 」を曞くたでの経緯。぀たり「アメリカから日本に枡り/倖郚の芳察者(③段萜)から/日本語䜜家に転じる(①②段萜)」ずいう内容をの冒頭に加える。

<GV解答䟋>
母囜アメリカから日本に枡り、倖郚の芳察者から日本語の衚珟者に転じた筆者は、日本語の矎感ず䞀䜓化した圚日韓囜人䜜家ずの亀流を経お䞭囜に枡り、その普遍文化に察峙し䜜品を構想する䞭で、母囜語でさえ盞察化され、日本語で䞖界を描くこずが可胜になった。(120字)

<参考 S台解答䟋>
西掋人の筆者が日本語ぞず越境し、圚日韓囜人䜜家の日本語に觊れ、さらに䞭囜倧陞での䜓隓を小説に曞くうちに、英語も䞭囜語も蚘憶ず化し、開かれた蚀語ずなった日本語が䞖界の珟実を捉えお、筆者は日本語を曞くこずの䞭に自分の居堎所を芋぀けたずいうこず。(120字)

蚭問(六)

a. 激励 b. 排陀 c. 普遍 d. 媒䜓 e. 厩壊