〈第1問〉

例年と同じく小問集合。内訳は力学3問、熱力学1問、電磁気1問、波動2問、原子2問
力学的エネルギーの保存、運動量の保存と衝突、熱力学の第1法則など物理の基礎といえる内容が多かったが、問題の設定を正しく把握しないと向きや符合を間違えてしまうため慎重に解き進める必要がある。問7の鏡に写った像の個数についてはどう考えたらいいのか分からない、という人もいただろう。反射による虚像とはどういうものかを理解する必要がある。

 

〈第2問〉力学総合

A 力学的エネルギー保存、衝突、射方投射
斜面を滑り降りる小球1の運動と衝突によって動き出す小球2の運動についての問題である。最後の問題の計算が少し複雑になるが内容は基本的であった。反発係数がeのとき、最高点の高さはeの2乗となることを用いると早く解ける。

 

B 慣性力のはたらく運動
一定の加速度で運動する台車上の斜面を滑り降りる小球の運動についての問題であった。慣性力を考えて解くことを誘導しているので、それに従えばよい。台車上の観測者から見た最大値を問われているので、鉛直投げ上げと同様に考えればよいが、慣性系と非慣性系の区別が曖昧だと難しく感じたかも知れない。

 

〈第3問〉電磁気総合

A 直流回路、コンデンサー、電気振動
コンデンサーが接続された直流回路における電流の時間変化、また定常状態におけるコンデンサーの電位差など基本的な内容であった。スイッチ2を閉じた後の振動の周期も頻出の内容であるが、コンデンサーが2つあることに注意が必要である。

 

B 電磁誘導
一様な磁場を通過するコイルに発生する電磁誘導、それによる誘導起電力、電流、電磁力などを総合的に問われる内容であった。現象そのものは基本的なものだが、電流のする仕事率という聞きなれない表現に戸惑ったかも知れない。抵抗による消費電力と同義である。また電流が反転するのは磁束の向きが変わったからではなく、増加から減少に転じたからである。よってジュール熱も磁束の変化が大きいときが一番大きくなる。

 

〈全体概観〉

全体として基本的な問題設定が多く、解き進めやすい問題であった。例年と比べて計算量、難易度ともに大きな変化はなかった。物理で差をつけたいならば、医学科で9割、他学部で7割ぐらいが必要となるであろう。また、前の設問で間違えたり分からなくてもその次の設問では改めて物理量を文字を使って表される問題も多くあった。最後まで諦めず解き進めていこう。

 

 

〈今後の対策〉

難しい問題を数多く解く、あるいは高度な知識を詰め込んでいく勉強ではなく、教科書にある基本的な物理現象についてしっかりと理解し、自分の言葉で説明できることを最初の目標にしていこう。
同じように見える物理現象も、初期条件や問題設定の違いで難易度は大きく変わる。出来た問題もしっかりと見直して、自分が正しく理解しているかを確認しながら勉強していこう。