解答例②(福祉分野)

 私は、社会から孤立していたり、生活が困窮している方に、状況(状態)を変えるアウトリーチで支援を行い、「助けて」と言えない社会を変えていきたいと考えている。

 取り組みの方法としては、まず、さまざまな支援の中から利用者自身が必要なものを選択できる形にした上で、利用しやすい状況を作り出すことがあげられる。利用者にとって一番身近な情報ツールのスマートフォンで検索できる支援サービスの情報発信や、簡素化した申請手続きでそのサービスを利用できるといったアウトリーチを行いたい。その際、適切なタイミングで、具体的な情報とサービスをピンポイントで提供できるかどうかという課題は残る。また、利用者の年齢や経済状況によっては通信機器を所有していなかったり、操作が困難であることも多く、アウトリーチのメニューの構築には、さまざまな工夫が必要といえる。しかし、このような身近な情報ツールを活用し、サービスを利用しやすくした取り組みは、その苦しさや孤立が深く、他者を信じることに慎重になっている人や、社会保障制度の利用手続きに時間や労力を掛けることが難しい人が、勇気を出して社会とつながる一歩を踏み出してもらえる成果はあると考える。

 方法の二つめとしては、多様な人々が関わり、縁が繋がるコミュニティ作りをあげる。地域の中高生・若者を中心に、「食・学習・スポーツ・遊び」の要素を持つコミュニティを作り、協力者と支援を行いたい。課題としては、場所や運営に関する問題への対応や、協力の輪をどう広げていくかということが想定される。しかし、複数の要素を持つコミュニティにすることで、支援を求めてくる人たちが気軽に訪れる場所にしたい。さらに、場所や運営面については、さまざまな年代や専門性のある地域の人々からの教えと協力が必要となるからこそ、この場所が「人の縁」を繋ぎ、新たな取り組みの発想が生まれる場所となりうると考えている。このコミュニティの存在とそこで生まれる出会いは、「側にいる人への共感」や「自分も何かできる」という、自発的な思いをもたらす。そして、そこには、互いに頼り頼られて協力を求め合うことが自然な地域の姿がある。このようなコミュニティでの活動は、苦しさを表に出せないでいる人達が、自然に声を上げやすい環境づくりを果たすのではないだろうか。

 以上のような取り組みを続ける中から、アウトリーチの手法を整理しさまざまなメニューを構築して効果を上げていくことが、国のガイドラインや自治体の政策に大きな変化を与えるという循環を生み出す。「自殺総合対策大綱大綱」で「ICTを用いたアウトリーチ」が明記されたことで、さまざまな自治体での取り組みが一気に広がっていったという事実がある。このような循環の中心を福祉の分野が担い社会を変えていくことは、誰もが安心して生きていくことができる社会を作るという意義を持っていると、私は考える。(1200字)