全体概要

全体的に去年よりもかなり易化した。文章量も少なくなり、考察問題の読み取りも簡単になった印象を受ける。選択肢もわかりやすいものが多く、やっとまともなテストになった。化学に比べて点数がとりやすい形式の問題が多いので、平均点がもう少し高くなっていたとしても不思議ではない。

 

大問1

代謝とオペロン説に関する問題が出題された。前半2つはかなり解きやすく、正答率が高いだろう。しかし、問3は実験デザインに関する問題であり、不得意な人が多い問題であった。実験に対しての反論を考える必要があるので、正解を選択しにくい形式だ。

 

大問2

細胞膜と物質輸送に関する幅広い範囲の問題が出題された。問題自体は特に難しくなく、得点をとりやすい問題である。考察らしい考察も必要ないので、高得点を狙う場合は楽々解けて欲しい。

 

大問3

筋肉の仕組みと発生からの出題であった。これらの問題もかなり簡単であり、考察問題も誘導に乗れば素直に解ける問題だ。

 

大問4

生殖と植物の環境応答に関する問題が出題された。この範囲の問題の多くは花芽形成に関するものだが、今回は塊茎の形成に関する問題で戸惑った生徒もいるのではないだろうか。出題傾向は異なるが問題文から十分推察可能な問題であり、問1,2は容易な問題だろう。問3は大問1と同じく実験のデザインに関する問題であり、苦戦した生徒が多いと思われる。実験の意図、実験操作の意味をよく理解していなければ確信を持って選択肢を選ぶのは難しいだろう。

 

大問5

生態系の範囲から問題が出題されている。問1から考察が必要な内容となっている。牧草地と森林と聞いて、イネ科型と広葉型の生産構造図を連想できるかが鍵となっている。連想さえできてしまえば簡単に正解できる問題だが、生態系の優先植物を思い浮かべることができなければ難しいだろう。

 

大問6

生態系と進化に関する問題が出題されている。この大問内では問1が最も難しい問題であるように思える。動物界に所属する従属栄養生物の例としてサンゴなどの藻類と共生する動物、盗葉緑体を行うウミウシなどを挙げる生徒もいると思う。これらは一見独立栄養生物のように見えるが、実際は藻類の有機物を消費しているので有機物を栄養源とする従属栄養生物に分類される。それ以外の考察問題に関しては誘導に乗りやすい問題構成になっており、正解した人も多い印象だ。

 

対策

知識の暗記は当然必要だが、高得点を取るには実験デザインの問題を攻略しなければならない。実験に対する反論や可能性に関して考える必要があり、長期間の訓練が必要になる。過去の共通テストやマーク模試に類題が多く存在するので、それらの問題を深く考えるのが良い練習になるだろう。