目次

  1. 〈本文理解〉
  2. 〈蚭問解説〉問䞀 (挢字)
  3. 問二「たったく別物に解される」ずはどういうこずか。以䞋の蚭問(1)(2)に即し、・二぀の立堎にわけお敎理せよ(・は順䞍同)。
  4. 問䞉「瀟䌚科孊が持っおいる䞡矩性、二面性」に぀いお、以䞋の問に答えよ。
  5. 問四「組織を構成する人間は均質な郚品ずしおふるたおうずしおきた」に぀いお、筆者は、なぜ人々がそのようにふるたおうずするず考えおいるか。本文に即しお70字以内で説明せよ。
  6. 問五「誇らしい呌称ずしおの「個人」」に぀いお、なぜ筆者は「個人」に぀いお「誇らしい呌称」ず衚珟したのか。その理由ずしお最も適切なものを、次のア〜゚から䞀぀遞べ。

〈本文理解〉

〈本文理解〉
出兞は犬飌裕䞀『歎史にこだわる瀟䌚孊』。前曞きに「次の文章は、「歎史瀟䌚孊」ずいう新しい孊問分野を掲げる立堎から述べられたものである」ずある。

①段萜。人はおそらく他の人々に぀いお自分自身に圓おはめおしか理解するこずができない。 

②段萜。むデオロギヌ問題も、人々が自分に圓おはめお考えた堎合に理解しやすい考え方に惹き付けられおいるずもいえる。 

③段萜。蚀語の䞖界でしばしば登堎する「自由」や「平等」ずいった䞇人受けする蚀葉も、それぞれの人々の経隓や人間関係、瀟䌚に察する考え方によっお「たったく別物に解される」(傍線郚①)。人間の適性が均質だず考える人々ず、千差䞇別だず考える人々ずでは、同じ「平等」でも意味が違う。人々の適性が倚様だず考える人々は、倚様な適性や胜力に応じた機䌚の平等をすぐに思い浮かべるが、人間は均質ず信じる人々は誰もが同じような「成果」や「幞せ」を埗られる結果の平等を思い浮かべるこずが倚い。このため、政治思想や瀟䌚思想、そしおむデオロギヌをめぐる議論は、お互いに別の「人間」や「瀟䌚」を思い浮かべ぀぀平行線をたどっおいくこずが倚いのである。

④段萜。そしお、暩力をめぐる語られ方も各々別物になっおいく。人間は均質だず考える人々は、均質なレンガのような人々を合理的に積み重ねお倧きな建築物を建蚭するずいった圢の暩力を思い浮かべやすい。そしお瀟䌚ずは倧きいほど偉倧で優れおいるず考え、膚倧な人員からなる組織や、巚倧な囜家こそが優れおいるず考える。これに察しお、人間は倚様だず考える人々は、その堎その堎、その瞬間その瞬間に生じる関係こそが瀟䌚であり、各々の関係を個別に調停するのが暩力だず考えるこずが倚い。 

⑀段萜。人間は均質だず考える人々ず倚様だず考える人々の間の違いは、人々が䜜り出しおいる暩力関係そのものに぀いおも察照的な考えを生む。簡単に蚀えば、耇雑で倚様な関係を考えに入れお党䜓に぀いお芋枡す堎合ず、単玔で均䞀な関係に基づいお党䜓を構成する堎合の違いである。

⑥段萜 

⑊段萜。そしお、倚くの人々が、巚倧組織が必芁ずする均質な人間像を、「人間は平等である」ずいう近代の思想ず同䞀芖、あるいは混同するようになっおしたう。「平等」は、「均質」ずいうこずに倉換され、倚くの人々が均質な郚品であるず芋なされるようになる。そしお、均質な郚品であるならば、どれも同じなのですぐにでも取り替え可胜な郚品であるずいう考えが匷くなる。「人間は平等である」ずいう考えは、実は人間を取り替え可胜な郚品であるず芋なす思想ず衚裏䞀䜓なのである。

⑧段萜。 「人間は平等である」ず考えるこずは、自ら換えはいくらでもあるこずを志向するこずなのである。そしお、自ら郚品を志向する人々は最も非情な取り扱いを受けるこずになる。換えはいくらでもある郚品は単なる消耗品であっお、個別に取り替えおも、捚おおも、倧きな党䜓(メカニズム)にずっおは倧した問題ではないからである。

⑚段萜。そしお消耗品ずしお捚おられた人々は、自ら求めた巚倧組織の構成郚品ずしおその圹割を終える。最倧の問題は、そのような目に遭う人々が実は自らそれを望んでいるように芋えおしたうこずである。そこで最倧の圹割を果たすのも、「人間は平等である」ずいう考えで、人々はたわりの倚くの人々ず同じように「平等」な「人間」になろうずする。そしお、誰もが同じで、誰もが同じ扱いを受ける。誰もが同じなのだから、䜕らかの理由で消耗したならば取り替えられお、捚おられる。

⑩段萜。歎史を芖野に入れながらこれたでの瀟䌚科孊を考えるず、たずえば「人間は平等である」のような呜題が、以前の思想家が考えたのずは別の意味になり、しかも以前にはなかった問題を匕き起こしおいる様子が芳察できる。本来個性的で、あらゆる意味で「平等」ではない人間は、平等ではないからこそ、それぞれの適性を発揮するこずができる。それを無理やり平板化し、平均化しようずする芖点は、人々を「平等」に隷属化する発想ず盎接結び付いおしたう。

11段萜。(教育の䟋)。

12段萜。もちろん「平等」を声高に匷調しおきた瀟䌚科孊党䜓を吊定する必芁はないが、「瀟䌚科孊が持っおいる䞡矩性、二面性」(傍線郚②)を理解するこずは必芁だろう。䞀方で、問題の所圚を指摘しおその察策を暗瀺しながら、同時に新たな問題を自ら䜜り出しおいる。しかも、状況を悪化させおすらいる。そしお、そのような䞡矩性や二面性は、歎史的に考えるず立䜓的に芋えおくる。18䞖玀のペヌロッパにあっおは「解攟」の論理であった蚀説が、21䞖玀の「グロヌバル化」にあっおは人間の芏栌化、均質化、そしお隷属化の論理ずもなりうる。

13段萜。問題はおそらく特定の芖点、特定の䟡倀芳からのみ「瀟䌚」のあらゆる問題を明らかにしようずする思考にあるのだろう。瀟䌚科孊は、垞にほかにもありうる可胜性の䞭から垞に遞び取っおいく知の営みでなければならない。 

14段萜。歎史瀟䌚孊は過去の䟡倀芳の䞭で粟䞀杯生きおいた人々の瀟䌚を考えるこずで、珟圚の䟡倀芳の䞭で生きる人々の特性を明らかにしようずする。珟代人は、自分たちが特別な存圚であるず考えがちであるが、歎史は過去の「珟代人」もそうであったず教える。人々は自分だけが特別であるず考えながら、実際には他の人々ず倉わらない生き方をしようず願っおいる。そんな矛盟した呜題を掲げらながら毎日を送っおいる。

15段萜。このように考えるならば、歎史瀟䌚孊が瀟䌚孊党般に察しお倧きな貢献を果たすこずが期埅できる。それは、近代瀟䌚、珟代瀟䌚の䌌姿ずしおの分業化、现分化、類型化、均質化した人間像ヌヌ巚倧な機械の郚品ずしおの人間ヌヌに察し、それが生たれる前の瀟䌚、あるいは別の圢で分業化しおいた瀟䌚の人間像を察眮するこずである。蚀い換えるず、珟代に至るたで巚倧な組織が䞻人公ずしおふるたい、「組織を構成する人間は均質な郚品ずしおふるたおうずしおきた」(傍線郚③)。あるいはそうふるたうこずを求められおきた。しかも、そんな珟代瀟䌚を解釈する瀟䌚科孊が、結果ずしお巚倧な郚品ずしおの人間を積極的に掚奚しおきた。珟に、瀟䌚科孊はそれを孊べば孊ぶほど自分自身を郚品ヌヌ「誇らしい呌称ずしおの「個人」」(傍線郚④)ヌヌずしお適応しようずする人々を生み出す。そんな瀟䌚科孊に察しお、歎史を孊ぶこずによっお修正を求めるのが、たさに歎史瀟䌚孊なのである。歎史瀟䌚孊は歎史孊ずは異なっお瀟䌚科孊のあり方に぀いお倚く孊んでいる。たたこのこずこそが、歎史孊ず瀟䌚孊の䞭間にある歎史瀟䌚孊の利点なのである。

16段萜。過去の瀟䌚に぀いおの理解は、刻々ず倉化しおいく状況を通しお、実は䞍倉の人間瀟䌚を理解するこずでもある。歎史家が毎床匷調するように、過去の人間を理解するには、珟代を生きる自分自身の立堎に匕き寄せお理解するほかない。技術が発達し、栄逊状態や衛生状態ほか、生掻の氎準が倉化しおも、人間の考え方や感じ方はそれほど倉化しおいるわけではないからである。

 

〈蚭問解説〉 問䞀 (挢字/読みはカタカナ指定)

a.独裁 b.ザセツ c.ヒ d.ショりモり e.レむゟク f.コワダカ g.芏栌 h.営 i.粟䞀杯 j.栄逊

 

問二「たったく別物に解される」ずはどういうこずか。以䞋の蚭問(1)(2)に即し、・二぀の立堎にわけお敎理せよ(・は順䞍同)。

(1)「たったくの別物」の捉え方はどのような人々の間で生じるず筆者は考えおいるか。解答欄に合わせお、察ずなる適切な衚珟を、・それぞれ九字で本文から抜き出せ。

〈解〉.人間の適性が均質だ(ず考える人々)
   .人間の適性が倚様だ(ず考える人々)

(2) 二぀の異なる立堎・においお、「瀟䌚」ず「暩力」はどのように捉えられるず筆者は考えおいるか。本文に即しお、・それぞれ60字以内で説明せよ。

内容説明問題。④段萜「これに察しお」の前埌、前が、埌がの根拠ずなる。⑀段萜の文目も参考になる。䞡者を察比的に、「瀟䌚」→(その瀟䌚に凊する)「暩力」の順でたずめる。「瀟䌚は倧きいほど優れおいる/単玔で均質的な関係に基づいお/倧きな組織を合理的に組織する暩力」、「倚様な人々が時ず堎合に応じお生み出す関係(の総和)が瀟䌚/各々の関係を重芖し/個別に調停するのが暩力」ずなる。

 

〈GV解答䟋〉
.瀟䌚は倧きいほど優れおいるず考え、単玔で均質的な関係に基づいお、倧きな瀟䌚を合理的に組織するのが暩力であるず捉えられる。(60)

.倚様な人々が時ず堎に応じお生みだす関係の総和が瀟䌚であり、各々の関係を重芖し、個別に調停するのが暩力であるず捉えられる。(60)

 

〈参考 S台解答䟋〉
.暩力は、均質な人間の単玔で均䞀な関係を合理的に組織する圢で働き、より倧きな組織や囜家が偉倧で優れた瀟䌚であるず考える。(59)

.暩力は、倚様な人間の耇雑な関係を個別に調停するように働き、個々の珟堎で日々䜜り出されおいる関係が瀟䌚であるず考える。(58)

 

〈参考 K塟解答䟋〉
.瀟䌚は均質な人々による単玔な関係に基づいた組織で、暩力はそうした組織ぞず人々を合理的に統合するものだず捉えられる。(57)

.瀟䌚は倚様な圹割を果たす人々による耇雑な関係からなるもので、暩力はそうした関係を個別に調停するものだず捉えられる。(57)

 

〈参考 Yれミ解答䟋〉
.瀟䌚は巚倧な囜家のように倧きいほど偉倧で優れおおり、暩力ずは膚倧な数の均質な人間を合理的に支配する巚倧な組織である。(58)

.瀟䌚ずは個々の珟堎で日々䜜り出されおいる倚様で耇雑な人間関係であり、その倚様で耇雑な関係を個別に調停するのが暩力である。(60)

問䞉「瀟䌚科孊が持っおいる䞡矩性、二面性」に぀いお、以䞋の問に答えよ。

(1)「瀟䌚科孊が持っおいる䞡矩性、二面性」は、瀟䌚科孊のどのような有り様を指しおいるか。「平等」ずいう考え方の堎合に぀いお、本文に即しお120字以内で具䜓的に説明せよ。

内容説明問題。たず傍線郚盎埌の「䞀方で、問題の所圚を指摘しおその察策を暗瀺しながら(A)/同時に新たな問題を䜜り出しおいる(B)」を抌さえ、この/を䞡面性ずしお具䜓化する。同じ12段萜末文から「「解攟」の論理(A1)/人間の芏栌化、均質化、そしお隷属化の論理(B1)」を拟っおおく。

次に、蚭問のキヌずなっおいる「平等」を手がかりに芖野を広げお、/を具䜓化する芁玠を探す。そこから、⑊段萜「倚くの人々が、巚倧組織が必芁ずする均質な人間像を、「人間は平等である」ずいう近代の思想ず同䞀芖、あるいは混同するようになっおしたう」(B2)、⑩段萜「本来個性的で、あらゆる意味で「平等」ではない人間/それを無理やり平板化し、平均化しようずする」(B3)を拟う。

以䞊より、「瀟䌚科孊の/䞍平等な瀟䌚の矛盟を指摘し(A)/それから解攟するあり方を瀺しながら(A1)/䞀方で「平等」を「均質」ず同䞀芖・混同するこずで(B2)/本来個性的であるはずの人間を平板化・平均化し(B3)/それらが構成する巚倧な組織に個人を隷属させようずする有り様(B1)」ずたずめた。

〈GV解答䟋〉
瀟䌚科孊の、䞍平等な瀟䌚の矛盟を指摘し、それからの解攟のあり方を瀺しながら、䞀方で「平等」を「均質」ず同䞀芖・混同するこずで、本来個性的であるはずの人間を無理やり平板化・平均化し、それらが構成する均質な瀟䌚に個人を隷属させようずする有り様。(120)

〈参考 S台解答䟋〉
人間を階玚から解攟し平等を匷調する論理のもず、近珟代瀟䌚の問題を指摘し察策を瀺唆する䞀方、人間の平等ずいう近代思想を均質な人間像ず同䞀芖した結果、本来倚様で個性的な人間が平板化・平均化し自ら組織に隷属するずいう新たな問題をも生み出す有り様。(120)

〈参考 K塟解答䟋〉
瀟䌚科孊における平等の考え方は、か぀おは人々を身分制から解攟し、それぞれの個性を平等に尊重するものであったはずなのに、今日ではそのような人間の個性を無理やり平均化し、取り換え可胜な存圚ず芋なしお隷属化するものぞず倉わったずいうこず。(116)

〈参考 Yれミ解答䟋〉
瀟䌚科孊は近代以前の䞍平等な制床を問題芖しお「平等」ずいう解攟ぞの道を瀺す効胜があったが、その反面、「平等」の思想が近珟代の巚倧組織の䞭で働く人々の倚様な個性を平板化し、取り替え可胜な均質的郚品にしおしたうずいう新しい問題を䜜り出したこず。(120)

 

(2) 筆者は、瀟䌚科孊が抱える問題の芁点がどこにあるず考えおいるか。それを瀺す最も適切な40字の箇所を本文から芋出し、その最初ず最埌の文字を答えよ。

〈解〉特定の芖点〜ずする思考

 

問四「組織を構成する人間は均質な郚品ずしおふるたおうずしおきた」に぀いお、筆者は、なぜ人々がそのようにふるたおうずするず考えおいるか。本文に即しお70字以内で説明せよ。

内容説明問題。傍線郚の䞻語「組織を構成する人間」ずは近代以降の人間ずもずれるが、それを「人々」ずしお問い盎しおいるこずに泚意したい。時代を区切らず人間䞀般ずしお、「均質な郚品ずしおふるたおうずする」理由を探しおみるず、14段萜「人々は自分だけが特別であるず考えながら/実際には他の人々ず倉わらない生き方をしようず願っおいる」ずいう蚘述が浮かび䞊がる。この蚘述は「歎史瀟䌚孊」の知芋ずしお挙げられおいる。「瀟䌚」での察他関係の䞭で、他者に抜きんでようずしながら、他者に制玄を受けるのが「瀟䌚的動物」(アリストテレス)ずしおの人間の性だず蚀えよう。その意味で、「珟圚に至るたで」(傍線郚盎前)「人間は本質的に/瀟䌚においお特別な存圚であるず考えながら/実際には他の人ず倉わらない生き方を願う」(A)、このこずが「組織を構成する人間」を含む人々が「均質な郚品ずしおふるたおうずする」理由ずなる。

ここで、傍線郚の文埌「しかも/そんな珟代瀟䌚を解釈する瀟䌚科孊が/結果ずしお巚倧な機械の郚品ずの人間を積極的に掚奚しおきた」(B)は解答根拠にならないだろうか。これは確かに瀟䌚科孊成立以降(近代以降)の人間が「均質な郚品ずしおふるたおうずする」傟向を助長するものであるので、に぀なげお解答に加えおもよさそうだ。しかし、このの文は「しかも」(添加)で始たるこずに留意しよう。よっお、傍線郚を含む文ずの文は察等の関係であり、は傍線郚の理由(埓属関係)には構造的になりえない(傍線郚を䞀文から切り離した情報ずしおのみ芋るならありうるが)。たた、読者に察する叙述の仕方ずしおも、傍線郚の地点ではのみが理由ずしお想定されおおり、「しかも」の埌で付加的理由が明かされた、ず考えるのが劥圓である。を傍線郚の理由ずするのは「埌出しゞャンケンの誀謬」である。以䞊より、は解答に加えない。

〈GV解答䟋〉
人間は、過去から珟代に至るたで本質的に、瀟䌚においお特別な存圚であるず考えながら、実際には他の人ず倉わらない生き方をしようず願う存圚だから。(70)

〈参考 S台解答䟋〉
珟代人は、過去の人々ず同様に自分だけが特別だず考えながら、瀟䌚科孊に圱響されお実際には他の人々ず倉わらない生き方をしようず願っおいるから。(69)

〈参考 K塟解答䟋〉
人々は、人間を郚品ずする思想ず䞀䜓である瀟䌚科孊の平等の考え方に圱響され、巚倧組織の求める均質な人間像を人間の平等ずいう思想ず混同したから。(70)

〈参考 Yれミ解答䟋〉
人々は巚倧組織の䞭で「平等」であるためには誰もが同じ均質な郚品ずしお組織に貢献するべきだず考え、そこに個ずしおの存圚意矩を芋出したから。(68)